アビスシェルダー系超級とアニメ再現系生産型アホ二人。   作:内藤悠月

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<魔王崇拝教会>

 ■

 

 それは神話すら霞むほどの過去である。

 

 かつて世界を三邪神が支配し、地獄と化していた頃。ティアンと呼ばれる前の人々は、無力だった。

 無限の暴威に晒され、それに抗うだけの力もない。

 

 だが、何もしなかったかといえばそれは間違いである。

 人は、消して諦めない。

 どんな過酷な状況であっても、極小の彼方に希望があるというならば手を伸ばす。

 

 人の役割によって、生まれついで無限へと至ったものがいた。

 だが、殺された。

 のちに来たる“同胞”が来るまで生きながらえたのならば、また違っただろうが。

 

 異界より狭間の獣の力を得て抗おうとしたものがいた。

 だが、殺された。

 もとより人に従わぬ力、手懐けようとしたこと自体が誤りであった。

 

 星々の彼方より来たれり界渡りの船にすがったものがいた。

 だが、殺された。

 今もなおその遺骸は人々を守り、育んでこそいるが、確かにその生命は破れ死に去った。

 

 世界を侵す呪いの剣を手に取ったものがいた。

 だが、殺された。

 始まりの剣は砕け、もはや地へとそのリソースは帰っている。

 

 命と見れば見境なく襲い喰らう樹木を植えたものがいた。

 だが、殺された。

 その樹木が邪神を打倒したとして、次はその樹木が人々を襲うだけだっただろうが。

 

 そして。

 世界を支配する魔と()()()()に手を伸ばしたものがいた。

 無論、死んだ。

 

 だが、それは今も世界に残る。

 退去することもなく、未だに地の底に蠢動を続けている。

 

 

 ■

 

 <魔王崇拝教会>はアルター王国の歴史に度々あらわれては消える、よくわからない邪教の類だ。

 <魔王崇拝教会>という名称自体、俗称であり本来の名称は不明。誰もその名を語ろうとしないためである。

 正体不明の“魔王”を崇め立て、それによってジョブにもよらぬ力を得るという……まさしく邪教。当然のように生贄の儀式といったものを執り行うため、時の権力者(と宗教の存在が不都合な管理AI)によって定期的に絶滅させられている組織なのだ。

 また、ここでの魔王とはジョブの【魔王(ロード)】ではないことがわかっている。

 

 この組織の特異性は、その不死性にある。

 何度掃除しようが、数十年経てばまた湧いて出てくる。

 おかしなことに、同じ教義……いや、同じ崇拝対象の組織が、だ。

 

 そして、信者に与えられる恩恵もまた、本物。

 本物であるがゆえに、滅ぼさざるを得ない。

 

 怪しげな玉虫色に輝く瞳により、もはや人と呼べぬ知覚能力を得る。

 あるものは自分だけにしか見えない足場を知覚する。

 あるものは空間と空間に隙間を知覚する。

 あるものはあらゆるものが切断された世界を見る。

 

 それに干渉すれば、常識にはありえぬ現象が引き起こされる。

 何もないところに立ち、隙間に通したものは瞬間移動し、切れぬはずのものが切れる。

 

 見ることによって、それが現実になっている。

 

 そこそこの生贄(リソース)でその目は手に入るのもあって……社会に存在することが許されない。

 

 <魔王崇拝教会>は何者かの手足なのだ。

 陰謀めいたことを成したという記録こそないが……、大小さまざまな犯罪行為に手を出しそのたびに滅ぼされている。

 

 それは今日、オーコ子爵領で蜂起を起こした。

 目的も不明なまま。

 

 

 □

 

「……と、言うのが<魔王崇拝教会>、いやこういうべきでしょうね。【魔王契闊 メイザース】のあらましよ」

「なんのなんのなに!?」

 

 重大情報を唐突に流し込まれたウルティマ、大困惑。

 しかもいきなり<UBM>の名前が出てきたのも驚きである。

 

「あら、言ってなかったかしら。<魔王崇拝教会>は【魔王契闊 メイザース】というこの地に埋まっている<UBM>の手足なのよ」

「初めて聞いたけど!?」

 

 女王の脳骸はこういう女である。

 その能力のせいなのか、視座そのものが異常に高く……そのせいで話がよくすっ飛ぶ。

 必要なことだけ話してあとは放置をよくやる。

 ウルティマも自分でよく付き合ってられるなと考えてしまうほどである。

 

「能力は……異界知覚。知覚のチャンネルを切り替える能力を契約者に与えるものよ」

「それは、どういう?」

 

「見たままに世界を歪められるわ。あなたの腕が断ち切られたのもそれね」

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