アビスシェルダー系超級とアニメ再現系生産型アホ二人。   作:内藤悠月

5 / 48
なんとか投稿できたぜ……。



【アビス】の影を踏む魔竜

 【マクロス・グランバロア】には複数のクランが集まっている。

 それはこの船がただの寄合所帯であることに由来しているが、その結束は国に属するクラン間にくらべれば強いと言っていいだろう。

 それ自体はグランバロアでは珍しいことではないが、特にこの船においてはその性質が強く出ているのだ。

 マスターが主体となる船団だからか、あるいは皆がある意味ではぐれものであるがゆえか。

 

 大小様々なクランが【マクロス・グランバロア】を拠点としているが、力関係や利害関係、発言力によっておおむね7つのクランに集約される。

 

 船団の核であり、【マクロス・グランバロア】を所有する船団のオーナー、<超時空船団>。

 空への憧れを捨てられなかった者たち、<スカイエース>。

 七つの海*1を踏破し宝を手に入れることを目指す海賊団、<ヴァンキッシュ>。

 宇宙戦艦を作り上げることしか考えていない<ネオスペース>。

 変わったものばかりを作り上げる者が集まる<マクロスシティ商工会>。

 なぜか貿易船団に所属せず、自らの手で販路を作り上げるのだと気炎を上げる<ガルホート交易団>。

【マクロス・グランバロア】に望まれて参入した金属創造と人形作成のスペシャリスト、<ポメラニアンズ>。

 

 これらのクランの合議制によって船団はその意志を決定している。

 そのため、船そのものの動きが無秩序であり、定期的に純竜級の群れと戦闘する羽目になることも多い。

 だが、それでもこの船は沈まずに突き進んできた。

 その最大の理由は、これである。

 

「あるだけの武器と人形全部出せ! 伝説級相手に出し惜しみできねえぞ!」

 

 生産職の武装化。【マクロス・グランバロア】に集う生産職のほどんどが戦闘能力を持ち、その能力を振るうことを一切躊躇しない。

 その型にはいくつか種類があるが、一貫して言えることが一つある。

 それは、その全員が蓄積型と呼ばれる力を持つことだ。

 

 決戦型。なんらかのリソースを貯めてそれを戦闘能力に転化する戦闘スタイルのことを指す。

 広範な定義で言えば、レベルを上げることすら含まれるが、この場合当然レベル以外のものを指していることが多い。(例外として、【暴食魔王】のような際限なくレベルを上げそのステータスを増大させる能力を保有する超級職も存在する)

 さらにそこから、貯めたリソースを消費して出力を確保するのか、貯めた量によって出力を発揮するのかにも分かれるが……生産職はそのほとんどが後者である。

 

「《舞え、我が呪いよ(ダイン)》」

「《インスタントウェポン》《魔素充填》《サンドシャード》」

「《起動(アウェイクニング)》《神威す幻想》」

「【試作型天竜砲】用意ィ!」

 

 自らが打った魔剣をモンスター化して操る必殺スキル。

 事前に作り貯めた塵から武器を簡易生成するスキル。

 作成時に魔力を注ぎ込むことで武器の性能を引き上げる【魔剣鍛冶】のスキル。

 所有する武器を完全破壊することで攻撃にへと転化するスキル。

 所有するゴーレムを起動するスキル。

 自らが作成したゴーレムを弾丸のように射出するスキル。

 天属性魔法の収束によって斜線上のものをえぐり取る魔力式大砲。

 

 そのどれもが、作り上げたものを積み上げることで戦力にへと転化する力を持つ。

 数を増やせばそれだけ戦闘能力を増す。極めてわかりやすい構図である。

 

 それ以外にも戦闘型による遠距離攻撃も含め、大量の砲撃がキメラにへと殺到し……。

 

「やったか!」

「言うなバカ!」

 

 衝撃の煙の中から、全く無傷の漆黒の竜体をさらけ出した。

 

「き、効いてねえ……」

 

 まるで重油を絡め取ったかのような黒。その形を変えることなく、傷すらなかった。

 そして、のそりと首を【マクロス・グランバロア】の方へと向ける。なにかをツギハギにしたようなその頭部はそのアギトを開き……。

 

「ブレス警戒! 防御!」

「《ピンポイントバリア》展開!」

 

 真珠色のガスに似た光線を吐き出した。

 それは【マクロス・グランバロア】の備える攻性防御によってそのすべてを焼き尽くされたが、そのブレスの色からそこにいた誰もが最近討伐されたあるUBMを連想した。

 

「やつの名前は!」

「【カンゴルゴーム・スクラップ・ドラゴン】、推定伝説級! 種族はキメラです!」

「【アビス】、じゃないんだな!?」

 

 【アビスシェルダー】。そしてその分体。現在グランバロアが総力を上げて残党の捜索を行っているモンスターだ。

 その脅威度は分体ですらはっきり言ってSUBMを凌駕しかねない。たとえ伝説級、あるいは亜竜級であっても見つけ次第総力を以て討伐することが推奨されるだろう。

 

 そして、その知らせを聞いたと同時に戦闘型のクランが【カンゴルゴーム・スクラップ・ドラゴン】にへと攻撃を仕掛けた。

 空には生身で飛ぶもの。戦闘機。地対空ヘリ。空を飛ぶ城。アイアンマンスーツ。

 海には複数の海賊船に、エンブリオと思しき武器を構えた一団が。

 

 分体が進化したか、それとも亜種か。その可能性を考えたのだ。

 だが、接近して攻撃を仕掛けてもその攻撃は通らない。

 

 いや、海賊船のマスターの砲撃だけはわずかに傷をつけ、その表皮の油のようなものを剥がすに至っている。

 仲間と連携して、より強いマスターを送り込むのに適した進化を遂げたエンブリオであり、攻撃力に長けたものではない。

 それであるのに、どういうわけか。

 

『どけどけ! 俺が来たぞ!』

「どこのバカ……ジークアクスと赤いガンダム!?」

 

 そして、そこに突撃してきた二体のガンダム。《海上歩行》を改造し、人形の脚部に適応させた装備スキルとジェットスラスターによって海面を跳ねるように【カンゴルゴーム・スクラップ・ドラゴン】にへと接敵し、その手に持ったライフルを浴びせた。

 そして、それは()()()()()()()()()()()()()()()

 

『~~~~! めちゃくちゃかってえ!』

「むしろなんでお前の攻撃は通ってんだよ!」

 

『どういうことだ? 説明しろ観測班!』

「さっきから総攻撃しても攻撃通ってねえんだよ! 通ったのはお前らと」

 

 A*(エースター)はその言葉を聞いて考える。彼の乗る【ガンダムズズィー】……モデルを赤いガンダムとしながら、多くの箇所にデザインと性能に改造が加えられたものの持つ鉄球も【カンゴルゴーム・スクラップ・ドラゴン】にダメージを与えられている。

 エンブリオの海賊船と、マチュ、そしてA*(エースター)

 それらの共通点はなにか。

 

『……! 【マクロス・グランバロア】を突っ込ませろ!』

「はぁ!?」

A*(エースター)がやれって言ってるならやれ! 多分正解!』

「ああ、わかったよ! 時間稼げ!」

 

 魔竜は形を変える。

 その全身から、どこかの遺跡から引っ剥がしてきたようなセントリーガンが複数、生えたのだ。

 自らに傷つけうる敵手と、周囲をうろちょろするうっとおしいハエを落とすためか。

 先々期文明の技術を使用して作られたその銃器は魔力の供給を前提とした魔力式銃器。思わぬ追加報酬に色めき立つ戦闘班だが、そもそも攻撃が通らなければ話にならない。

 そして当然その銃器はこちらに向けられている。

 

 全身から光魔法の光線がほとばしった。

 

「ひぃっ! ゴジラかよ!」

 

 戦場に立つ全員が回避行動を余儀なくされた。

 光魔法は攻撃自体の速度に秀でているが、攻撃力と攻撃範囲、そして攻撃間隔は他の属性に劣る。だが、魔力式銃器ならばその欠点の多くが踏み倒せる。攻撃範囲も攻撃力も、攻撃間隔も数でどうにでもなる。

 その脅威は船団を襲い……。

 

「《我は星を食らう獣(スコル)》」

 

 その全てが闇に覆われ、掻き消えた。

 数多くのマスターが居るということは、それだけ状況に対する銀の弾丸となるエンブリオが存在するということだ。

 

『よくやった! 俺に任せろ!』

 

 マチュはその乗騎とともに、【カンゴルゴーム・スクラップ・ドラゴン】へと突撃を仕掛ける。目標は全身の兵器。

 せめてアレを削らなければ、突撃する【マクロスグランバロア】が削られかねない。そうでなくても戦力が減る。

 

 マチュは【カンゴルゴーム・スクラップ・ドラゴン】の出すセントリーガンのストックを狙い【プラズマビームライフル】を発射する。

 生産職でしかないマチュには本来できない芸当だが、【サ◯コフレーム】は様々な機能を補強する。それによる補正によって、本来のDEXを超える精密狙撃を可能にした。

 

 【プラズマビームライフル】は【試作型天竜砲】と同じく、魔力式大砲に分類される武器だ。搭載された魔法はプラズマ弾を発射するというもので、火属性に次いで火力を出しやすい。

 遺跡に搭載されるような量産型の防衛装置ならば簡単に溶断してしまう威力があるのだが。

 

「数発当てねえと溶けねえ……!」

 

 【カンゴルゴーム・スクラップ・ドラゴン】は異常なほど硬い。

 明らかになんらかの特殊性を帯びた防御能力である。

 

 それでも【プラズマビームライフル】と【ヒートホーク】の二刀流でちまちまとセントリーガンを削り取っていたさなか。

 

 それは【カンゴルゴーム・スクラップ・ドラゴン】に向かって突っ込んできた。

 【マクロス・グランバロア】である。

 十分な加速もなく、ただぶつかっただけ。戦闘のため、接敵していたがために攻撃力を出せるほどの加速が得られなかったのだ。

 

 だが、その衝撃で【カンゴルゴーム・スクラップ・ドラゴン】のHPは確かに削れた。

 《看破》で見て取れるほどのダメージが入ったのだ。数%だが。

 

 それに、【マクロス・グランバロア】はただの戦艦ではない。

 起き上がれないとはいえ、ロボットなのだ。右腕を構成する戦艦を持ち上げ、【カンゴルゴーム・スクラップ・ドラゴン】に叩きつける。

 そんな馬鹿げた攻撃すら、可能だった。

 

 予期せぬダメージに悲鳴を上げる【カンゴルゴーム・スクラップ・ドラゴン】。

 まるでありえないものを見たかのような表情すら向けている。

 

『やっぱり正解だ。やつはリソースと質量! その両方で足切りする防御能力もちだ!』

 

 赤いガンダムから、その声が響く。

 

『総員! 遅延戦闘だ! 死ぬ気で戦え!』

 

 A*(エースター)はそう、指示を出した。指揮権があるわけではないが、そこにいる誰もがA*(エースター)は頭が回るタイプだと知っていた。

 だからこそ、すぐにその指示の意味を理解し、戦い方を変えた。

 

マチュ! お前は使い走りだ! 人呼んで来い!』

『人って言ったって!』

『とっておきが、今<南海>に来ている。お前と私の作った【ジークアクス】なら見つけられる』

『【ジーク◯クス】だっての!』

 

 A*(エースター)マチュの指摘を無視する。取り合っていると時間がいくら合っても足りない。

 

『“深海棲艦”を探せ! あいつなら確実に奴をやれる!』

*1
デンドロの海は<北海><東海><南海><西海>に分類され7つもない




本当はあとがきに設定とか盛っておきたいんですが、勢いで書いて勢いで投稿しているんで設定周りのテキストとか用意ないんですよねぇ……。
実際本文できるとさっさと投稿してしまいたくなって設定書き込む余裕なくなるともいう。
ここ結構書き込んでる作者さん、すごいや。

追記:
【カンゴルゴーム・スクラップ・ドラゴン】の足切り防御ですが、出していないエンブリオの質量も計算されます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。