けいおんアウトブレイク   作:アドルフ大佐

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閲覧ありがとうございます
更新遅れまして、申し訳ないです
本来は今回、vsドライ編と律と唯編をセットにする予定でしたが、期間的に間に合わずvsドライ編だけになってしまいました
律と唯編は現在進行30%ほどなので、次回の更新で掲載します


第二十一話 意志

 

振り下ろされたドライの拳に憂が死を覚悟した瞬間、一筋の閃光ドライの右腕を貫いた。

「間に合ったみたいだね…憂!生きてるかい?」

「…外傷は見られません…命に別状ない様です」

快活な声の持ち主は『蜂須賀 千尋』、『幹部』の1人にして『ランキング6位』の強者。

蜂須賀とは逆に、感情の無い淡々した喋り方をする小柄な少女は『六道 睦月』、蜂須賀同様『幹部』の1人にして、『ランキング8位』の実力者。

今しがたドライの右腕を撃ち抜いた閃光は、小柄な六道には不釣り合いな程の全長と厳つさを持つ彼女の専用武器、超高エネルギー長射程狙撃ライフル『アルテミス』から発せられたビームによるものだった。

圧縮されたエネルギーは一筋の閃光となり、あらゆるものを貫く。

常人をはるかに上回るグールの肉体とて、例外ではない。

「てめェ…邪魔すんな!」

狩りの邪魔をされ、激昂したドライは凄まじいスピードで間合いを詰め、必殺の一撃を繰り出す。

しかし、ドライの攻撃は空を切った。

ドライの攻撃が届くより早く、蜂須賀のテレポートにより2人はドライの後方、憂の近くに移動していたからだ。

ドライが振り返ると同時に再び『アルテミス』が火を噴く。

ドライが間合いを詰める間にリロードを済ませ、蜂須賀のテレポートで移動すると同時に狙いをつけていたからだった。

しかし、今度はドライもその閃光を上半身を捻って躱した。

先程は気配の探知を怠った為、右腕を射抜かれたものの、今回は集中力を切らさなかった。

通常の銃火器を上回る弾速を有する『アルテミス』だが、その弾速を更に上回る反射速度があれば躱す事は不可能ではない。

事実、引き金を引くタイミングと撃つ角度さえ判っていれば常人ですら銃弾を躱す事は不可能ではないのだ。

もっとも、それを可能にする身体能力があればこその話ではある。

ドライが攻撃を躱したのと、蜂須賀や六道の視界が暗転したのはほぼ同時だった。

一瞬、世界すべての明かりが消えたのかと錯覚する程の暗闇。

「ヒヒッ…見えねェだろ?…ようこそ、光の無い世界へ…てかァ?」

ドライは移動しながら喋っているのだろう、声のする方向がまばらだ。

これがドライの持つ能力、『ブラックアウト』。

対象の視界を完全に封じる能力。

人間はもちろん、多くの生物は外部の情報の多くを『視覚』によって得ている。

戦闘において重要な事は『情報』だ。

情報をいかに仕入れて、分析するかが生き死にを分けると言っても過言ではない。

普段、視覚からの情報に頼っている人間が急に視覚を奪われたら…ここに来て、奇襲により有利であった蜂須賀達は一転、窮地に立たされていた。

蜂須賀も六道も達人級の使い手ではある。

視覚が働かない状況でも微かな音や気配で物事を察知出来るが、相手が音や気配を消す事に長けている場合、それは絶対的な不利に等しい。

そして、ドライは音や気配を消す事に関して達人級の使い手であった。

(…まずい状況…千尋や私の防御力じゃ敵の攻撃は防げない。…出来る事は…)

六道は一つの可能性に賭けた。

現在、視覚を奪われているのは自分と蜂須賀だけなのではないか?

もしかしたら、平沢妹は視覚を奪われていないのではないか?

「平沢妹!後ろを!」

六道は叫んだ。

六道の叫びで、長年パートナーを組んでいる蜂須賀もその意図を察した。

蜂須賀は回し蹴りを、六道はライフルで互いに前方を薙ぎ払う。

しかし、どちらも攻撃は空を切り、また、躱された感覚もなかった。

音を立てず、気配を消したドライは六道達のすぐ後ろにいたからだ。

あとは左腕で一閃するだけで、目障りな邪魔者を排除出来る。

「うあぁぁぁぁ!!」

雄叫びと共に憂の拳がドライの右脇腹に突き刺さった。

「おごッ!!」

(何でだよッ!何でこいつが動けんだよッ!)

ドライは六道の考え通り、憂を戦闘不能とみなし、能力を行使していなかった。

人の枠組みから外れ、人外となる事を選んだその時から…いや、もしかしたら生まれてからずっとだったかも知れない。

ドライは人を侮っていた。

故に、彼は知らない。

人はその意志の強さを以って限界を超える力を持つ事を。

決して折れない強い意志があれば、人は何度でも立ち上がるという事を。

憂の一撃で吹き飛んだドライは壁に叩きつけられ、ほぼ同時に左胸を『アルテミス』によって射抜かれた。

「なッ…何だ、と?」

(おかしいだろッ!見えてねェ筈だ…何で正確に心臓を撃ち抜けんだよッ!)

六道からすれば、憂が敵を捉え、壁まで吹き飛ばしてさえくれれば、あとは自身の『演算』能力で何とかなると踏んでいた。

音による方角と位置の分析、壁に叩きつけられた際の角度、様々な予測し得る最大限のシュミレーションから導き出された一撃は寸分の狂いなく敵の心臓を撃ち抜いた。

暗闇など、六道の計算をもってすれば大した障害ではない。

「着弾を確認…次は頭部を撃ち抜きます」

淡々とした口調で呟き、素早い動作で次弾を装填し、構える。

「さァせるかよォォォ!!」

ドライは壁にめり込んだ体を自力で引きずり出し、六道の攻撃を躱そうとした刹那、腹部に凄まじい衝撃を感じた。

「ゲフッ!…何で、てめェが…てめェが!!」

ドライの言葉を遮る様に閃光がドライの頭部を撃ち抜いた。

自力で攻撃を躱そうとしていたドライを引き止めたのは憂の渾身の一撃だった。

最後の力を振り絞って放った一撃が、この『殺し合い』の命運を分けたのだ。

力尽き、倒れる憂の身体を蜂須賀は優しく支えた。

「…よくやった。」

蜂須賀はそれだけを言うと、憂をそっと抱き締めた。

「…さっきのが平沢の報告にあったセクター4でしょうね。能力持ちとは思いませんでした…全部で何体いるのか判りません。…急ぎましょう」

「この娘は連れて行く。ここに置いといたんじゃ犬死にだ…あたしの能力なら、影響ないし、構わないだろ?」

「…お任せします」

蜂須賀の提案を六道はあっさり受け入れ、蜂須賀は憂を担いで部屋を出る。

「さて、どうする?…外の1位か、中の平沢か」

蜂須賀の問いに六道は少しだけ悩んだ後、いつもの様に淡々と答えた。

「…平沢と合流すべきです。下手に1位と合流すれば死にます」

 

 

 

 

 




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