ジャンシアーヌ達が守っている基地にSR16達が向かってからサーチライトで周囲を照らしている基地が見えた。
微かに銃声が鳴り響く中、SR16はチャージングハンドルを引いて装填すると軽く深呼吸した。
「そろそろ着きます!そちらの状況は!」
《夏祭りよりも賑やかだよ!倒しても次々と沸いて来やがる!》
SKSが喚きながら狙撃し続けているのか通信からけたたましい銃声が鳴り響いている。
《後どのくらいで着くの!》
「ETA*11分後」
《基地はえらく賑わってるわ。救援小隊は可能な限り急いで!》
「了解!」
G36がジャンシアーヌとの通信を終えた時、SR16の通信を繋いだ人物がいた。
《SR16!生きてるか!》
「なに?レスター?」
「レスター?」
「私のヘリ操縦士」
SR16は軽く説明すると通信を続けた。
「うん」
《なら良かった!俺も流石にこいつら相手には疲れてきな。早く来てくれよ》
「もう少しだから我慢して」
《我慢って言ってもな……あぁッ!?俺のヘリに一発当てられた!?クソッタレの鉄血のクソビッチがぁッ!》
レスターはそう叫んで発砲しているのか激しい銃声がSR16の耳に響くとSR16はすぐさま通信を切り、溜め息をついた。
「えーと……個性的な人ですね……」
「騒がし過ぎてたまにイラッとするけどね」
SR16のその言葉に回りは苦笑いした時、漸く基地の内部に到着した。
ホバリングしながら降下するヘリから見える基地の状況をM4が見ると基地の防壁やバリケード、望楼を利用して戦う人形達が見え、人形達は応戦しつつ破壊されたダミーを常に交換しながら防御の隙の無い防衛戦を行っていた。
「陣地戦か……私達じゃ使えない戦術ね……」
M4はそう言って上手く守られている戦況を見ていると通信が届いた。
《救援小隊!聞こえますか!着陸地点にはまだ敵がいます!今、駆除していますのでもう少し待ってて下さい!》
通信からの声を聞いたSR16は下を見ると着陸地点でM3があわあわとしながら鉄血の迎撃を行っていた。
事態は急を要するにと考えたSR16は仕方ないと行動に出た。
「どうやらトラブルだね……SOPⅡ」
「え?なに?」
「突っ込め。時間が無い。私も飛び下りてカバーする。自慢の榴弾の威力を鉄血に味合わせて」
「ッ!?分かった!いっくよー!」
SOPⅡはそう言ってM203グレネードランチャーを取り付けると鉄血に向かって榴弾を発射、そして飛び下りた。
「先に行く」
「え……あ、はい……」
G36のその言葉を聞いてSR16は飛び下りると空中で発砲、鉄血に弾を当てながら土煙と共に着地、飛び出したSOPⅡをカバーしながら周囲の鉄血を瞬時に排除していく。
「きゃあぁぁッ!?来ないで!!」
鉄血のリッパーが味方であるM3に迫った所でSOPⅡが撃退、バラバラにした。
そんな事をするので当然の様にSOPⅡの手には。
「大丈夫?」
「ギアァァァァァッ!?」
撃退したリッパーの生首がつかまれている。
「SOPⅡ。余計な物は早く捨てて。そして早く苦戦している仲間の援護しないと」
「きゅ、救援小隊の方ですか!」
SR16はそれを聞いて視線を向けると。
「ヒイィィィッ!?」
M3にビビられた。
「何で?」
「アッハハハ!SR16の顔怖いからだよ!」
SOPⅡが爆笑しながらSR16に指を指しながら言うとSR16はSOPⅡのを肘でみぞおちを一発殴るとSOPⅡは悶えて悶絶する。
「それよりも何を言いかけたの?」
「え……?あッ!?鉄血が混乱に乗じて基地に入り込んだみたいです!指揮官が危ないかもしれません!」
「……指揮官を失えばこの基地は終わりだ。指揮官を救援しに行く」
「よっしゃ!やるぞぉ!」
SR16とSOPⅡが基地に向かおうとした所でジャンシアーヌからの通信が入った。
《問題無いわ。雑魚が数人紛れ込んだだけよ。既に他の小隊を向かわせてるし、SR16を乗せてたヘリパイロットが思いがけないくらい強くてね……殆んど一掃されたわ。それよりも貴方達の戦場は正門よ。そこの鉄血主力に集中して》
「了解指揮官。行くよSOPⅡ。適当に暴れてればM4達もすぐに来る。他の味方との連携を忘れないでね」
「何だかSR16が隊長みたいになってない?」
「言ってる場合?近くに隊長がいないんだから仕方ない。ほら、キビキビ動く」
SR16はそう言ってSOPⅡに配置に着く様に促すとSR16も自身の戦場へと向かった。
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SR16とSOPⅡが正門まで来ると数任せに突っ込んで来る鉄血兵を相手に戦う味方がおり、SR16は援護を始めようと動こうとした所でSOPⅡが駆け出した。
「いや、ちょっと待ってSOPⅡ」
SR16は止めようとしたが既にSOPⅡは榴弾を発射して前へ飛び出したのだ。
「退いた!退いた!」
SOPⅡはそう言って飛び込むとアクロバティックな動きで鉄血兵を翻弄しつつ殲滅していく。
「全く……ごめん、SOPⅡを一緒にカバーして」
「あ、はい!分かりしました!」
そう言ってSR16の隣で戦うMP40は発砲、その姿を見たSR16は暫く見つめた後、呟いた。
「此処に配属されていたのか……」
「え?」
「いや、何でない」
SR16は既に過去の事だと思いながら飛び出したSOPⅡを援護し、的確に鉄血兵を倒した。
SR16が放つ銃弾は撃ちにくい隙間と言う隙間を潜り抜けて行き、SOPⅡの隙を突こうとする鉄血兵を撃ち倒していく。
SR16達が援護を続けているとそこへM4達も合流した。
「救援小隊です……」
「あ、はい……」
「彼女達凄いですね……」
SOPⅡの榴弾を組み合わせた猛攻とそれを支えるSR16の的確な援護射撃は鉄血兵の攻勢を弱めるには最適だった……が、SOPⅡはあまりに突出しており、SR16はそれを何とか援護していると言うのが実態だった。
「SOPⅡ!撃つ時は他の人形との連携に気を配って!前に出過ぎて他の仲間が撃ちづらくなってるわ!防御陣形を忘れたの!」
「え……だって遅いんだもん……いちいち合わせてたら何時まで経っても終わらないよ」
SOPⅡはそう言って鉄血兵への猛攻を続け、SR16は溜め息を吐きながらマガジンを交換しようとした所で弾入りのマガジンが無いのに気付く。
「ちッ……SOPⅡに気を取られ過ぎた……」
SR16は舌打ちすると近くに落ちていたリッパーのサブマシンガンを手にして片手で構えた。
「SR16!?それ鉄血の武器だよ!?」
「問題ない」
SR16はそう言って素早くリッパーのサブマシンガンを構えて発砲した。
怒涛の勢いで放たれるエネルギー弾の反動をものともせず自身のスティグマではないにも関わらず正確な射撃にG36達は驚いた。
「鉄血の武器を使えるなんて……」
G36のその呟きにSR16は答えた。
「戦場じゃ同じ武器を使ってる暇は無いから……自然とこうして鹵獲した武器を使う訓練も経験したんだ」
「どんな隊にいたんだお前……?」
「さぁ……私にはもう思い出せないから……」
SR16はそう言って弾切れになったリッパーのサブマシンガンを捨てて今度はヴェスピドのアサルトライフルを撃ち続ける。
その様子を見ていたジャンシアーヌ達は信じられない様子でSR16を見ていた。
「し、指揮官様……あれって……」
「鉄血の武器よ……鉄血の武器をIOP製の人形の筈のSR16が使いこなすなんて……スティグマはどうなってるの……?」
ジャンシアーヌはSR16のこの異常な戦闘手段に考え込んだ後、画面を見るのを止めた。
「後にしましょう」
「えッ!?あれを放っておくんですか!?」
「仕方ないでしょ……今は鉄血の撃退に急がしんだから……詳しい事はまたペルシカさんに聞けば良いのよ聞けば」
ジャンシアーヌはそう言って再び戦闘の指揮に戻り、カリーナはそれもそうかと再び補佐に戻る。
その頃、SR16は落ちている武器を何度も拾っては変えて鉄血兵を凪払い始め、遂には自らも前へと出た。
リッパーのサブマシンガン、ヴェスピドのアサルトライフル、イェーガーのスナイパーライフルそして壊れた味方ダミー達の銃。
鬼神の如きSR16の戦いは歯止めが無くなり、自身のスティグマに左右されない命中精度を維持していた。
「1体……2体……3体、4体……埒が明かない……」
SR16は最後に拾った銃の弾も無くなるとナイフを逆手に持って鉄血兵に突っ込む。
「……リミッター解除……13%……」
SR16はそう呟くとその動きは更に速くなり、地面すら抉る程の脚力を見せた、その瞳は本来の黒色の瞳から赤色に染まっており、今までの動きとは別物でまるで獣だった。
駆け出して接近するSR16に鉄血兵は発砲するがそれを針に糸を通す様に避けるSR16には当たらず、ジャンプし、近くの壁を蹴って鉄血兵の頭上へと飛んでそのまま中心に降り立つと一回転する要領でナイフを振るい、鉄血兵の首を切り裂いた。
鉄血兵の首を切り裂いたSR16はそのまま再び駆け出し、次々と来る鉄血兵を斬り捨て、最後にナイフを投擲して当て、残った鉄血兵に向かってそのまま腕を突っ込む様に突き刺して貫いた。
「凄い……」
MP5は唖然としながら言うと人工血液だらけになった腕を抜いたSR16を見たG36は冷や汗をかきながらM4に問う。
「彼女は……本当に何者なんですか……?」
「……私達の……新米時代の教官だったと言えば良いでしょうか……それ以外は彼女の事は知りません……」
M4はそう言って呆然と空を見上げる形で立ち尽くし、目を瞑っていたSR16は目を開けると元の瞳の色に戻り、そのまま歩き出すと投擲したナイフを回収し、静かに鞘に収めた。
「……任務完了」
そう呟いたSR16の周りにあるのは鉄血兵の残骸のみだった。