グリフィンの黒騎士   作:謎多き作家

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不穏な空気

戦闘開始から数時間。

 

朝日が昇り始め鉄血を撃退したジャンシアーヌはソファーに座って足置き台に両足まで乗せて疲れたと言わんばかりに魂が抜けきっている中、SOPⅡは元気だった。

 

「鉄血が撤退したぞー!やったー!」

 

「いつもこんな調子なの……?」

 

「はははは……」

 

M4は苦笑いした後、SOPⅡに苦言を呈した。

 

「SOPⅡ。1人で喜び過ぎよ。これは皆で勝ち取った勝利なんだから」 

 

「私も貢献したし良いじゃん!ねぇ、指揮官褒めてよ!」

 

「はいはい……本当に偉いね~SOPⅡは……」

 

ジャンシアーヌは半ば呆れながらも大きな犬みたいにじゃれてくるSOPⅡの頭を撫でているとM4はムッとした表情を見せた。

 

「指揮官ばかり……私の指揮じゃそんなに駄目かしら……?」

 

「あれぇ?M4も嫉妬するんだ?」

 

「SOPⅡ?」

 

「ごめんてM4~!」

 

M4とSOPⅡの言い合いを疲れた様子を見せつつ見守るジャンシアーヌの視線の中にはSR16の姿は無かった。

 

それは戦闘後、SR16は他の小隊同様にメンテナンスを受ける為に整備室へと移動したが数分前、そこでカリーナから深刻そうな表情を浮かべながら報告が来たのだ。

 

『指揮官様……SR16さんの件なのですが……』

 

『どうしたの?』

 

『……とても消耗しているんです。基地の整備室に来た時は平気そうでしたが素体のパーツの一部にヒビが入っていたり、それどころか完全に壊れてる所も……どうしてこんな状態で動けているのか分からないくらい酷いんです……』

 

『そんなに?でも、彼女は負傷らしい負傷は……』 

 

『原因不明ですがあの時、リミッター解除と呟いていましたよね?もしかしたら素体に大きな負荷を掛けて戦っていたと思います……』

 

『……分かった。カリン。SR16の修復を万全にして。資材はあるだけ使っても構わないから。他に何かあったら知らせて』

 

『はい!分かりました!』

 

ジャンシアーヌはカリーナとの会話を思い出しながらSR16の謎の多い特性についてやはりペルシカへのSR16に対する問いは必要だと考えた所で。

 

「指揮官!」

 

「え?」

 

「もう!聞いてます?」

 

「あぁ、ごめん……途中で居眠りしてたわ……」

 

ジャンシアーヌがそう言って苦笑いするとSOPⅡは不貞腐れた所でM4が窘める。

 

「SOPⅡ。指揮官は休む暇も無く指揮してくれて疲れてるんだから無理を言っては駄目よ」

 

「でも!早くしないとAR15がハンターに捕まっちゃうよ!」

 

「ハンター?」

 

ジャンシアーヌがハンターと聞いた時、部屋の扉が開かれた。

 

「SP721ハンター。鉄血工造ハイエンドモデル。鉄血の中でも策士の方面に当たる奴で罠を張った戦術と速さに特化した戦闘スタイルを持つ。鉄血のハイエンドの中でも其なりに古参だと記録されている。油断は出来ない相手だよ」

 

「SR16。修復を終えたのですね」

 

「うん。おかげで素体のガタガタもきっちり治ったよ」

 

SR16はそう言って肩を回しながら言う姿をジャンシアーヌは静かに見つめる中、それに気付いたSR16が首を傾げる。

 

「どうかしましたか?」

 

「……いいえ、何でも。それよりもAR15の救出は今は無しよ」

 

「どうして!?」

 

SOPⅡは興奮気味に言うとSR16はSOPⅡの肩に手を置く。

 

「色々と不都合だからだよ。ハンターがこのエリアを任せられているのなら当然、規模の大きい拠点を構えてる筈。下手したら増援も来る」

 

「その通りよ。それに襲撃されたばかりで今すぐの出撃は無理。こんな事は言いたくないけど私はまだ新人で勝手に部隊を動かせないの。だから結論はNOよ。再出撃は認められない」

 

ジャンシアーヌからの非常時とも取れる決定にM4とSOPⅡは落ち込む様子を見せる中、SR16は溜め息をついた。

 

「諦めなさい。指揮官にも立場はある。ヘリアン達みたいなお偉いさん達が行けって言うなら私だけでも突っ込むけどそれが無いなら私も動かない。いや、動けない。私も最近になって立場が作られたからね」

 

SR16はそう言ってジャンシアーヌを見るとジャンシアーヌは惚けた様な様子で知らんぷりを決め込む。

 

「M4は皆一緒に戦ってくれるって言ってたのに……」

 

「ぐッ……」

 

明らかに悲しいですと言わんばかりのSOPⅡにジャンシアーヌは堪えたのかソファーから立ち上がってM4とSOPⅡ、次いでにSR16を押し出した。

 

「兎に角!今はじっとしてなさい!上層部と会議の時間だから一旦宿舎に戻ってて!」

 

ジャンシアーヌはそう言って三人を締め出すとM4とSOPⅡが落ち込む様子を見たSR16はまた溜め息をつくと歩き出す。

 

「先に戻ってるから適当な所で戻っててね。探すの面倒だから。拗ねるのも結構だけど拗ねてないで次の戦闘に備えたらどうなの?」

 

そう吐き捨てる様に言って立ち去る姿にSOPⅡは流石に堪忍袋の緒が切れたのか怒りを露にした。

 

「この薄情者の人形め!バーカ!バァーカ!!」

 

「ちょっとSOPⅡ!」

 

「誰が馬鹿だ……犬っころめ……」

 

SR16はそう呟くと手を強く握りしめながら宿舎の方へと歩いて行く。

 

『AR15の救出は今は無しよ』

 

SR16はその言葉の真意が予想通りならばと近い内に行われる戦いに向けて準備をする為に。

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