XM7に鎮圧されたSR16は暫くは大人しくなった。
そう暫くだ……。
「ペルシカリア博士!SR16がまた!」
「またなの!?まだ1時間も経ってないんだけど!?」
ペルシカは自身の研究の再開をしようとするもその度にSR16が問題を起こした。
ペルシカは頭をかきむしりながら急いでSR16が収容されている製造仕立ての人形達が集められている部屋へと向かうとそこには。
「あぁ……またやってる……!」
そこにあった光景はSR16が他の人形三体を痛め付けて落ち着いた姿だった。
痛め付けられた人形三体は唸りながら転がり、他にも部屋にいた比較的大人しい性格をした人形達は部屋の片隅で怯えていた。
「SR16……もうその辺にしなさい……」
「……こいつらが先に仕掛けた。私は悪くない」
「良いも悪いもやり過ぎよ。全く……流石に乱暴が過ぎるわよ……今日製造されたばかりなのに後何人くらいの人形達を整備室送りにするつもりなの?」
ペルシカは怒りを通り越して呆れと頭痛に襲われる中、人形の一人が叫んだ。
「こ、こんな奴を同じ部屋になんかしないでよ!何時暴れるか分かったもんじゃないわ!」
「そ、そうよ!早く連れていって!」
「お願いです……わ、私は……この人と一緒だなんていやです……!」
人形達が口々に言い始め、SR16はまた拳を握りしめた所でペルシカがSR16の肩を掴んだ。
「ほら、行きましょう。新しい部屋を用意するわ」
ペルシカはそう言ってSR16肩から手を離してそのまま手を掴むとそのまま部屋を出た。
廊下をペルシカと歩くSR16はうつ向く。
「ごめん……私だって分かってたんだ……迷惑を掛けるのは……」
「……別に構わないわよ。それよりも明日は忙しくなるんだから早く休みなさい」
ペルシカはそう言ってSR16の頭を撫でるとSR16に新しく宛がわれた部屋へと辿り着いた。
部屋の中は完全に個室になっており、中には誰もいない。
簡素な造りの一人部屋だった。
「私は研究が残ってるから行くわね。もう騒ぎを起こさない様にね。特に喧嘩」
「分かってるよ……」
ペルシカの言葉にSR16は不貞腐れながら部屋へと入ると扉が閉じられた。
静かな空間がそこにある中、SR16は部屋の壁にもたれるとそのまま目を閉じた。
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翌朝、SR16は車に乗せられたグリフィンの本部へと連れていかれていた。
道路を走る車の中から外を見つめるSR16は退屈そうに欠伸をかいた所でグリフィンの本部へと辿り着いた。
SR16は与えられたIDで中に通り、そのままエレベーターで四階まで昇るとブリーフィングルーム室の前までやって来た。
時間を確認すると5時50分となっており、少し早い時間だった。
SR16は軽く溜め息を吐くと意を決して部屋の扉を開けば二体の人形が椅子に座って待機していた。
「あ?誰だお前?」
中にいた一体である足を組んで行儀悪く座る赤いシャツとショートデニムパンツを着た茶髪のショートが特徴的な人形が威圧的な雰囲気をSR16に向けた。
「隊長が言っていた新人さんですか?」
もう一体である威圧を放ってくる人形とは違う落ち着いた雰囲気を出すシスターの服装をした金髪のサイドテールが特徴的な人形がニコやかに言うと威圧的な人形は鼻を鳴らす。
「こんな陰キャぽい奴が新人?ハッ!隊長は何を考えてるのやら……こいつの何処が役に立つのさ?」
赤シャツの人形はそう言って馬鹿にした様な言葉でSR16を挑発する。
SR16はその挑発に苛立ちを覚えて睨みつけると赤シャツの人形は喧嘩を売られたと判断して座っていた席から立ち上がるとSR16の近くまで歩くとガンを飛ばす。
「何だぁ?俺とやろうってか?」
「望むならやるけど?」
「新人如きが俺と喧嘩すると来るとはねぇ……御望み通りにその小綺麗な顔に青アザ付けてやるよ!!」
赤シャツの人形はそう言って拳を振るい、SR16は受け身を取って反撃に転じる姿勢を取った所で。
「止めなさい」
二人の頭を掴んでぶつけられ、二人は悶える中で誰がやったのかと見るとXM7がニコニコと笑いながら二人を見ていた。
「もうブリーフィングの時間よ?喧嘩は後で沢山しなさい」
「喧嘩は良いんだ……」
「強ければ良いんだよ……このクソ隊長に……アイタッ!?」
赤シャツの人形は目の前にいるXM7にクソと言った所で拳骨を貰うとXM7が二人に各々、視線を向けて席に座る様に促し、二人は渋々、席に着いた。
それを見たXM7は満足げに頷くと座っている彼女達の前まで歩く手をパンッ!と叩いた。
「はーい!ブリーフィングを始めるわよ~。各自、セカンダリーレベルを開いてね」
XM7のその言葉を聞いてSR16はセカンダリーレベルへ繋げると電子世界での面々と目の前に隻眼のブルドックみたいな何かが浮いている。
「新人ちゃんの為に紹介するわね。このブルドックみたいなのはうちの指揮官となるレスターでーす!」
「えー……ゴホン!こいつの自己紹介は兎も角……俺がお前が今日から世話になる小隊、ハウンド・レイスの指揮官のレスターだ。まぁ、よろしく。具体的な作戦説明の前に二人を紹介する。そこの喧嘩早いのがレミントンMSR。隊の狙撃主だ。そしてシスター服のそいつはマーベリックM88。前衛担当でこの隊の盾役だ。お前達、こいつが新入りのSR16だ。仲良くしてやれよ?」
レスターの軽い紹介を受け、MSRはそっぽを向き、マーベリックは優しい笑みを浮かべて手を振る。
「そしてもう知ってると思うがこの隊の隊長を勤めるのがXM7。こんなんだが頼りになる隊長……の筈だ。お前を含めて初めてハウンド・レイスは始動する。よろしく頼むぞ?」
「……は?初めて?」
SR16は聞き間違いかと疑う中、マーベリックは困った様な笑みを浮かべつつ答える。
「分かるわ~。確かに困惑するよね?実は私達ね」
「任務なんて一つも受けた事が無い新参小隊なんだよ。しかも実態がグリフィンの問題児を集めて固めとこうなんて言うお偉いさん共の思惑で作られたんだぜ?ちッ……反吐が出る……」
「何はともあれ。人数が足りなかったから任務を任せられなかったって言うのもあるからね。これでようやくスタートよ!」
XM7はそう言って笑いながらサムズアップし、SR16はそれを見て思いっきりこの先が思いやられると思いながら項垂れるしかなかった。