グリフィンの黒騎士   作:謎多き作家

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治安維持任務

鉄血の補給基地での戦闘を終えてから数日後、SR16はヘリは機内でレーションを食べながら機内に流れるラジオを聞いていた。

 

《こうしてグリフィンの活躍によって人類の生存圏はまた一歩奪還されました。恐るべき暴走機械とかした鉄血の戦術人形は必ず勇敢なグリフィンの指揮官とその戦術人形達に一掃され、平和が取り戻されるでしょう。その為には貴方方、市民様達の力が必要なのです。指揮官の志願でもその他人員での志願でも構いません。是非、グリフィン志願者受付窓口まで志願の》

 

ラジオから流れる長々しいグリフィンのプロパガンダが流れる中、SR16は黙々とレーションを食べる。

 

「なぁ、別のにしねぇか?グリフィンのプロパガンダなんて聞いたって意味ねぇだろ?」

 

「他に変えても大体同じだもん……他社のPMCの宣伝、正規軍の宣伝、グリフィンの宣伝……後はつまらないニュースだけ……」

 

「ニュースでも役に立つもんはあるだろ?」

 

「天気予報とか……?」

 

「まぁ……俺は助かるな……何時、天気が変わるか分からねぇし……ん?……お前さんに連絡だぜ」

 

男の言葉にSR16はレーションを側に置いて通信を開くとヘリアンとは別の人物のグリフィンの制服を着た偉そうな髭の男が現れた。

 

《貴様が黒騎士か?私はS09地区、663基地の指揮官のヴァレリーだ。お前が近くを飛んでいると聞いてな。仕事を与えたい》

 

「何の仕事?構わないけど」

 

SR16は基本的に本部の意向で動く。

 

しかし、それは余程の事であり、面倒事をSR16に片付けさせる任務を与える為だ。

 

鉄血の支配区域の奥地にある厄介な拠点の強襲や破壊工作、邪魔な要人の排除、テロに走ろうとする者の殲滅……。

 

グリフィンに引き取られてからSR16の仕事は最初以外は全て汚れ仕事だ。

 

それ故に仕事量は戦争中とは言え少ない……グリフィン側もタダ飯を食わせるつもりはなく、こうして必要ならば現地の指揮官の判断でSR16を使う事が許されている。

 

《私の管轄は最近になって鉄血を撤退させ、奪還した。それは良かった……が、そこから人が戻り、復興させようとした》

 

「良い事じゃん。グリフィンは人類の加護者なんだから」

 

《ふん……何でも戻れば良い訳ではない。そんなすぐに全てが戻るなら治安維持なぞ必要ない。奴等は戻った。しかし、戻って来たのは良いが我々、グリフィンの物資を奪い、更に私の可愛い人形を破壊した。それが許せるか!》

 

「あぁ……確かに……」

 

SR16はそれを聞いて納得せざる得なかった。

 

何かされたなら正当防衛にはなるが残念ながら軍……PMCの物資を奪ったに飽き足らず戦力を削ったのなら潰されざるえない。

 

例え……それがどんな真実があったとしても……。

 

《お前に対する命令は一つ!卑劣な略奪者を始末し、治安を回復させよ!グリフィンを舐め腐った奴等を根絶やしにするのだ!場所は貴様が飛んでいる北西から24km先にある森だ!そこに奴等はキャンプを貼っている!詳しいデータはくれてやる!そこへ向かえ!》

 

「良いよ。……ちゃんと……報酬を用意してね……」

 

SR16はそう言って通信を切った。

 

「……やるのか?」

 

「やる」

 

男の真剣な声にSR16は軽い感じで返答した。

_______

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治安維持任務の命令が下されたSR16は目的地付近でヘリを降りた後、目標に向かって歩く。

 

落ち草や枝を踏む音が微かに響く中、開けた場所に幾つかのテントが張ってあり、人間が何人か集まっていた。

 

SR16は静かに近付くと匍匐して伏せると草陰から様子を伺った。

 

「まさかグリフィンの子が撃たれてしまうとはな……」

 

「物資を分けてくれた隊の子のだろ?今の容態は?」

 

「彼女は運が良い……修理に使えるパーツがあったからな……何とか……だが、撤退した隊は我々の事を何と伝えるか……」

 

「連絡が取れないのか?」

 

「何度もやってる……だがそれっきりだ……」

 

SR16は話の内容を聞いてヴァレリーの話と彼等の話に食い違いがある事に気付いた。

 

ヴァレリーはグリフィンの物資が奪われ、部下の人形が破壊されたと訴えてSR16に殲滅の依頼を行った。

 

しかし、彼等の話はグリフィンの小隊が彼等の為に物資を運び、その最中に人形が撃たれた事で小隊は撤退……人間の彼等が珍しくも撃たれた人形を保護し、手厚く修理したと言う。

 

これはヴァレリーか避難民のどちらかが嘘だと言う証明であり、明らかにヴァレリーが怪しかった……。

 

普通なら此処で退き、依頼主のヴァレリーは問い詰められていたが今回の相手は悪かった……。

 

「……早く片付けよう」

 

SR16は迷わず実行、殲滅を開始した。

 

引き金を引き、フルオートでの連射。

 

いきなりの攻撃に開けた避難民達は大慌てで逃げ、物陰に隠れようとする。

 

「な、何なんだ!?」

 

「ま、まさかグリ……がァッ!?」

 

「隠れろ!隠れるんだ!!」

 

彼等は駆け出し、逃げる中、SR16は手榴弾のピンを抜き、投擲……テントや置いてあった危機や箱ごと吹き飛ばした。

 

SR16は逃げる彼等に容赦なく発砲する中、ぬいぐるみを持った子供が唖然とした様子でSR16を見ていた。

 

SR16は子供の存在に気付くと銃口を向け、発砲した瞬間、子供が何者かに抱き抱えられて物陰に飛び込んだ。

 

「止めてください!攻撃を中止してください!」

 

「……グリフィンの人形」

 

SR16が見たのは子供を庇いながら攻撃の中止を求めるMP40と言う戦術人形だった。

 

「彼等は敵ではありません!攻撃を中止し……」

 

MP40の言葉が終わる前にSR16は攻撃を再開、MP40ごと攻撃を仕掛けた。

 

「止めてください!止めて!!」

 

MP40には抵抗せる為の自身の武器が無い。

 

置いてきたのか無くしたのかは分からない。

 

しかし、SR16には関係無く黙々と依頼を果たすだけだった。

 

「や、やめろぉッ!!」

 

SR16の蛮行に遂に避難民の一人が自衛用の銃を手にSR16に向け、発砲。

 

SR16はそれを軽々と避けると拳銃を抜いて抵抗してきた避難民の額を撃ち抜いた。

 

片手でSR16を撃ち、もう片方の手で拳銃を撃った。

 

反動をものともしない人形の力は猛威を振るい、遂に抵抗する者もいなくなり、死体が転がるばかりだった。

 

「どうして……どうしてこんな!!」

 

子供を何とか守り抜いたMP40は虐殺を働いたSR16を睨みつけ、怒鳴るとSR16は拳銃をしまい、自身のSR16の銃口をMP40と子供に向けた。

 

「依頼だ……お前の指揮官の……」

 

「指揮官……が……?」

 

MP40は驚きつつも何処か納得した表情を見せながらSR16を絶望の眼差しで見続ける。

 

「これで依頼は終わり……早く死んでね……」

 

SR16はそう言ってトドメを刺そうとした時。

 

「……待ってください……」

 

MP40はSR16を制止した。

 

「……依頼……受けてくれますか……?」

 

MP40のその言葉にSR16は沈黙を持って答えるだけだった……。

 

 

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