SR16は目を開けるとそこは整備室だった。
SR16は身体をゆっくりと起こして周りを見渡してから修復していた右腕を動かして感覚を確かめているとカリーナがやって来た。
「あ、SR16さん!修復は終わりました。どうですか?違和感はありますか?」
「右腕は何とも無いね……でも……何だろう……何だか頭を覗かれてた気分がする……寝惚けてるのかな……」
「そ、そうですか!でも一応データ上では特に問題はありませんね。何かあればまた言ってくださいね!はは……あはは!」
カリーナはそう言って何かを誤魔化す様な素振りを見せつつあちこちの機器を弄り始め、SR16はその様子を怪しみつつも気にしない事にし、修復台から降りて背伸びをしながら整備室を出ていく。
その様子をチラチラと見ていたカリーナは完全にSR16がいなくなったのを確認すると安堵の溜め息が出たのだった。
_______________
___________
_______
SR16は基地の通路を歩いて宿舎へと向かっている中、SR16の元に暗号化された通信が入った。
「この通信の仕方は……奴らか……」
SR16は面倒臭そうにしつつも通信に出た。
《はぁーいSR16。久しぶりね》
「何の用?私は今は雇われてる暇は無いよ?」
《えぇ、そうなの?困ったわね……人が欲しいのよね。今何処にいるの?》
「私の居場所は基本的に極秘事項だよ。ヘリアンにも言われてるよね?」
《そうだけどねぇ……貴方今、グリフィンの基地に滞在してるじゃない。しかもこれから援護してくれるって言う指揮官の》
「……ハッキングした?」
《言い方が悪いわよ。少し閲覧しただけよ》
通信相手のその言葉にSR16は頭を抱えていると通信相手は続ける。
《ヘリアンからすぐに御達しが来るわ。集合地点とかも伝えられてね。装備を整えておいてね。あ、それはそうとSR16》
「なに?」
《貴方を使ってる指揮官って優秀?》
「……優秀だよ。とてもね」
《そうなんだ。安心したわ。じゃあ、現地で落ち合いましょう。SR16》
通信相手はそう言って通信を切るとSR16は溜め息をついた。
________
______
___
「と言う事ですので指揮官。私は暫くの間はその小隊の援護に向かいます」
「本当に突然ね……まぁ、ヘリアンさんにも言われたから良いけど……」
SR16は要請の話をジャンシアーヌに話し、ジャンシアーヌは困惑しつつ受け入れた。
ジャンシアーヌはハンターとの戦闘報告をする際にヘリアンから新たな任務として鉄血の機密に関わる隠されたファイルの調査に向け、派遣される小隊の援護を命令されていた。
その際にヘリアンから任務と共に言われたのはSR16を援護する小隊に一時的に組み込むとの話だった。
「一匹狼をしたがる貴方には珍しく受け入れてるし……貴方の知り合いなの?」
「……黙秘します。指揮官も既に知っているかと思いますがその小隊は情報の殆どを残しません。それがその小隊の特徴であり、深入りすべきでないと言う意味にもなります」
SR16のその言葉にジャンシアーヌは暫く沈黙した後、深い溜め息をつく。
「分かったわ。別に面倒な事になりそうな事には深入りするつもりはないしこれ以上、追及しないわ。それよりもSR16」
「何ですか?」
話は終わったのではと思っていたSR16はジャンシアーヌに視線を向けて首を傾げているとジャンシアーヌは微笑みながら言う。
「無事に戻ってきなさい。基地の皆が心配するわよ」
「……言われなくても帰ってきますよ」
意図が読めない。
SR16はジャンシアーヌのその言葉を素直に受け止めようとはしなかった。
SR16を使ってきた者達の殆どは何かしら裏がある。
薄汚れた任務を一身に受けてきたSR16にとって、関わりがまだ浅いジャンシアーヌとの信頼関係はまだ構築しきれなかった。
だが、それでもSR16の胸は何処か暖かかったのだ。
________
______
___
ジャンシアーヌ達が作戦を開始する前にSR16はレスターの操縦するヘリに乗って合流する小隊の元へ向かっていた。
「久しぶりじゃないか?彼奴らと仕事するのは?」
「そうだね。何度か仮隊員みたいな感じで活動はしてただけなんだけどね」
「彼奴らの実力と活動を考えればお前は適任の存在なんだろうな。此方の事情さえ無ければお前はもしかしたら」
「レスター。私は一人でいるのを止めた訳じゃない。今は一時の宿の中にいるだけ。どうせあの指揮官も私を受け入れたりしない」
「そうか?良い関係は築けていると思うんだがな。あの指揮官は他とは違う。人形を仲間として扱い、大切にする。他にもそんな指揮官はいるが彼奴は別格だ」
「人形性愛者だって言いたいの?」
「いや、そこまで言ってない……まぁ、確かにその線もありそうな感じはあるが……」
レスターはそう言って苦笑いし、SR16は銃の状態を確認し続ける。
二人の間に沈黙が続く中、レスターは言う。
「お前は忘れちまったかもしれないが……お前も仲間を大切にしてきた奴だ。昔も。これからもな」
「何が言いたいの?」
「そろそろ居場所を作れ。あの指揮官。ジャンシアーヌなら大丈夫だ。信じて向き合え。お前も内心じゃ気に入ってるんだろ?」
「……善処する」
SR16はそう言ってマガジンを装填するとチャージングハンドルを引っ張った。