グリフィンの黒騎士   作:謎多き作家

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模擬戦 ~中編~

模擬戦が開始され、セカンダリレベルの精密に築かれた森林地帯の戦場を映像越しに見つめる指揮を取るジャンシアーヌそして補佐としてカリーナ。

 

ジャンシアーヌの選んだ小隊は視界の悪い森林の中をクリアリングしながらゆっくりと進む姿を見ながら通信を開いているペルシカにジャンシアーヌは問う。

 

「それで本当の真意は何ですか?」

 

《真意?》

 

「SR16を小隊に入れるだけなら臨時だとしても配属された指揮官の権限で無理矢理にでも入れられる筈です。模擬戦なんて必要ない……ですが貴方は模擬戦で彼女を納得させる事を選んだ……何故ですか?」

 

《……そうね》

 

ジャンシアーヌの問いにペルシカは考える素振りを見せた後、答えた。

 

《一言で言えば……彼女の扱うに足る力量を貴方が持ってるって教えたい事と……そろそろ友達とか必要かな~て》

 

「は?」

 

ジャンシアーヌはペルシカのその一言に唖然とするとペルシカは答えた。

 

《だって貴方も見たでしょ?私は靡きませんって所》

 

「はい……」

 

《あの子は昔から不器用でさ製造初日から臆病な所があってね。部屋の隅に固まったと思ったらいきなり辛辣な言葉を連続で吐かれたのよ?流石にショックだったわ~アレ。そのせいで他の製造したての人形達と上手くいかなくてさ。いっつもボッチ決め込んじゃってたのよ》

 

「うわ……」

 

ジャンシアーヌはそれを聞いてSR16との初めての対話を思い出しつつペルシカの言ったその光景を思い浮かべると何とも言えない悲しいものが出来てしまった。

 

「あはは……」

 

側で聞いていたカリーナも苦笑いするSR16のボッチ経験談にジャンシアーヌは仲間の人形とは遥かに比べ物にならないくらいに扱いにくいタイプだと悟った。

 

《不器用で臆病。その癖、素直じゃない。とても警戒心が強い戦術人形……それがSR16よ。一人でそつなく任務をこなしてるけど……必ず何処かで限界が来るわ。分かるわよね指揮官さん?》

 

「……えぇ、分かりますよ。それを彼女に対して証明します」

 

ジャンシアーヌは相手が歴戦の戦術人形SR16に対し、勝算があると言わんばかりに言って見せた。

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所変わってセカンダリレベルの森林をSR16は警戒を強く持ちながら背を低くして進んでいた。

 

気配を殺し、周囲を探り、獲物を探す獣の如く感覚を研ぎ清ます。

 

「……ッ!?」

 

SR16は遠くから響いた微かな音に気付いた。

 

身体を更に縮めて草木で身を隠し、様子を伺う。

 

「……敵を視認……戦術人形……G36、MP5、イングラム……だけ……?」

 

グリフィンにおける人形の小隊は基本的には5体の編成で構成される。

 

小隊によって様々で、3体を見ただけでも編成的には防御を意識したものだと推測できるが他の2体の存在が見えない以上、断定はSR16には出来なかった。

 

SR16は戦闘を一時避け、その場から離れた。

 

その様子を見ていた人物が小隊に連絡を入れた。

 

《SR16が退きました。恐らく予想を下回った人数だったので警戒したのだと思います。ですが彼女は奇襲を得意とします。周囲への警戒を常にお願いします》

 

「分かりました。そちらも気を付けてください。貴方の言う通りなら必ず貴方方お二人も探しだそうと思いますから」

 

連絡を受け取ったG36はそう言うとMP5は緊張が解けた様に冷や汗を流した。

 

「お、おっかな過ぎますよ……私、全く気が付きませんでした……」

 

「そうですね……噂には聞いていましたが指摘されるまで気配にすら気が付きませんでした……」

 

G36は3体での行動の際、警戒を厳重にして歩いていた。

 

人影はおろか気配も無く、G36は徐々に気を抜けていきそうになる程に何も無かった。

 

しかし、通信相手に指摘され、改めて気配を探れば微かな気配があった。

 

その気配に気が付いたG36はゾッと寒気を覚え、銃を握る手に力が入った。

 

今すぐにでも気配に向かって撃ってしまいたい衝動に駆られつつ、当初の立てられた指揮官のプラン通りに行う為にG36は堪えたのだ。

 

《G36。接敵が無ければそのまま前進を続けて。他の二人はG36達と距離を取りつつG36達を追ってSR16が再び姿を現すのを待って。何時、また現れるか分からないから気を抜かないで》

 

「分かりました。御主人様」

 

《了解しました。指揮官》

 

指揮官を受けた面々は指示通りに動き、森林の中を進む。

 

1時間……2時間……3時間……。

 

セカンダリレベルで戦う人形達は戦闘はおろか接敵すら起こらない状況に緊張感を覚える中、草影に隠れて地面に地べたに座ってナイフを弄るSR16は違和感が覚えた。

 

「……長過ぎる」

 

模擬戦にしても此処まで長いとなると中止されても仕方ない。

 

鉄血との戦争の中でもある以上、緊急事態が起こる可能性もあるからだ。

 

だが、いつまで経ってもそんな声は出ない。

 

「ペルシカ……何か仕掛けた……?」

 

SR16はそう呟きながら相手がどう出るか?そして残りの敵の人数を炙り出すには何が有効なのか?

 

SR16は静かに余裕を持って思案し続ける。

 

チェスの様に一手また一手と打ち続ける。

 

「焦りは死神を呼び、恐怖は石となる……慢心と蛮勇は枷となり、敵への慈悲は裏切りをもたらす……我らは戦場の戦士……恐れるな……微かな勝機であっても掴み取らん……」

 

SR16は呪文の様にぶつぶつと呟きながらカチャカチャとSR16のレールにショートスコープを取り付け、サイレンサーも取り付けた。

 

その後に近くの木にナイフを刺し、そこにSR16の銃身を置き、支えにすると静かに狙いを定めた。

 

スコープに撃つっているのはイングラムの頭で、キョロキョロと周りを見渡すイングラムに完全に狙いを定めたSR16は引き金に指を当てた。

 

残った利き手で距離に合わせてゼロイン調整を終わらせると後は待った。

 

「ふぅ……」

 

SR16は静かに息を吐き出して狙いを定め……。

 

パシュンッ!

 

発砲した。

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