グリフィンの黒騎士   作:謎多き作家

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バラバラのAR小隊

暗闇の中、SR16は歩いていた。

 

先の見えない暗闇の中、水を踏む音が何度も響く。

 

SR16は此処は何処だと辺りを見渡しながら進むと視線の先に何人もの人間の死体が転がっていた。

 

SR16は下を見ると踏んでいた水は血だった。

 

それを見たSR16は恐々、両手を見るとその手は血で染まり、服にも大量の血液が付着していた。

 

「ち、違う……私は……!」

 

SR16は動揺し、後ずさった時。

 

「両手を挙げなさい!」

 

SR16はその言葉を聞いて振り替えると銃を構えている人物がいた。

 

その人物はSR16の視界がボヤけて何者か分からず、動揺する中、その人物は後ろの悲惨な光景を見たのか警戒を強めている。

 

「なんて事を……!」

 

「ち、違う!私は何も!」

 

「弁明は貴方を連れ帰ってからさせるわ!武装を速やかに解除しなさい!■■■、拘束して!」

 

その人物の指示で他の人物も現れるとすぐにSR16を取り押さえSR16を拘束し、無理矢理歩かせた。

 

「違う!私じゃない!やったのは!」

 

SR16は必死にそう叫んだ時、SR16の視界の先の物陰に血に濡れたもう1人のSR16が笑っていた。

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SR16はセカンダリレベルから意識を戻し、目をゆっくりと開けると身体を起こして頭に触れた。

 

「またか……」

 

SR16はそう呟いて忌々しげに顔を歪ませるとそこへカリーナがやって来た。

 

「お疲れ様でした~。惜しかったですね……どうかしましたか?」

 

「……いや、何でも」

 

カリーナはSR16の変化に気付き、声を掛けたがSR16は誤魔化した。

 

SR16に過去は存在しない。

 

それは彼女の記憶が何十にも渡ってロックされているからだ。

 

過去はあっても閲覧出来ない……させるつもりはない。

 

そんな状態にSR16の記憶は置かれ、SR16の記憶は常に曖昧だった。

 

時折、SR16は悪夢と言うべき何かを睡眠を取った際に見ていた。

 

何故か人間の大量の死体と血溜まりの中に血塗れの状態のSR16がおり、その姿を仲間とおぼしき誰かにに見られ、拘束される。

 

連行される最中、何度もSR16が弁明を叫ぶ中、そこにもう1人の血塗れのSR16が笑って見ていた……と言う物だった。

 

SR16にとって人を殺す行為には抵抗が無い。

 

なのに悪夢のSR16はまるで人を殺してなんかいないとばかりに叫んでいた。

 

「(この封じられた記憶には何があるんだろうね……)」

 

SR16はロックした覚えの無い記憶を思いながらこの後に来る結果を受け止めなければいけないと思うとかなり憂鬱になったのは言うまでもない。

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SR16はジャンシアーヌの元に来ると先程、模擬戦を行ったM4達もいた。

 

5体の内の中にSR16が発見出来なかった狙撃手、M14の姿もあった。

 

「これで文句は無いわね?SR16。貴方が負けたからには小隊の一員として戦って貰うわよ?」

 

「負けたからには何も言うつもりはありません。ですが一つだけ聞きたいです。………何故、M4が此処に?他は?」

 

SR16のその言葉にジャンシアーヌはM4を見た後、説明する。

 

「AR小隊は作戦の途中、バラバラにはぐれたそうよ。M4を逃がす為にね……それで私がM4を含めたAR小隊の救出作戦……角砂糖作戦の責任者をやってる訳」

 

「AR小隊がバラバラに……」

 

SR16はそれを聞いて事の重大性にどうして早く言わなかった、んだと考えた。

 

AR小隊は戦闘に秀でたエリート人形の中でも更に洗練された技術が使われている戦術人形達で構成されている。

 

それ故に他の人形とは違い機密保持を理由にバックアップは取れない……一度破壊されれば終わりだ。

 

それがM4を除いて今、全員が鉄血の支配領域ではぐれたなんて事を聞けば。

 

「どうしてそうなった……?」

 

SR16は呆れてものも言えなかった。

 

M4はバツの悪そうな顔になるが真剣な顔に戻りSR16に頭を下げてきた。

 

「お願いです!姉さん達を助けたいんです!」

 

「嫌だ」

 

周りの全てが凍りドン引くSR16の即答拒否にジャンシアーヌ含め、周りの者達を愕然とさせた。

 

「AR小隊ともなると私が出張る程じゃないよ。もし、出るとしたらそれこそ正規軍に取り囲まれたとでもないとね。それに彼女達は鉄血の捜索と攻勢に耐えられない様な柔な鍛え方はしていない。私に縋る暇があったらさっさと銃を手に戦場へ向かえ。AR小隊の泣き虫隊長」

 

辛辣。

 

その言葉が似合う次々と飛び出るSR16の拒絶的な言葉にカリーナは視線をジャンシアーヌに静かに向け、ジャンシアーヌはM4を見る。

 

M4の顔は俯いていて表情が読めない。

 

怒っているのか、悲しんでいるのか、悔しがっているのか……。

 

周りが注目する中、M4が顔を上げた。

 

「時間が無いんです。姉さん達は補給もまともに出来ない状態なんです。貴方みたいに武器を変えて戦うのも難しい… それに…使える手は全て使え……これは貴方が言った事ですよね?」

 

「……それが何?同情を買うのは無しだよ?私がそんなんじゃないって分かってるよね?」

 

「私は貴方に依頼します。AR小隊の隊員全員を無事に救出する事に協力してください。報酬は必ず用意します……だから……!」

 

《ねぇ、SR16。あまり意地悪しないであげてね》

 

M4の必死の頼みの最中、ペルシカが通信を開いてSR16に話し掛けた。

 

《貴方がAR小隊の実力を信頼してるのは分かるけどね~。……今回は本気でマズイのよ。洒落にならないくらいに》

 

「本当に?」

 

《本当》

 

「マジ?」

 

《マジのマジよ》

 

ペルシカとの会話を通したSR16は思案し、そして溜め息をつくとM4に視線の向けた。

 

「分かったよ……やれば良いんでしょ……?」

 

「ッ!?ありがとうございますSR16!」

 

「全く……昔も今も世話を焼かせるね……それで指揮官。AR小隊の皆の居場所分かる?」

 

「分かるわ。正確にはM4が持ってる座標でだけどね」

 

ジャンシアーヌのその言葉を聞いてSR16はそんなものを持ってるなら早く言えとばかりにM4を見るとM4は目を反らした。

 

「兎に角、時間が惜しいわ。この座標情報は1時間前のものなの。すぐに出撃するわよ」

 

「待って。……模擬戦で結構、時間使ったのにそこにいるの?と言うより1時間?」

 

《それについては問題無いわ。貴方はすぐに気づいたと思うけどセカンダリレベル内にいる間の体感時間を大幅にずらしたからね。現実では1時間でもセカンダリレベル内では何時間でも感じられるって訳。面白いでしょ?》

 

「……やっぱり変だと思ったよ」

 

SR16はそう悪態ずくとジャンシアーヌは咳払いし、指示を飛ばした。

 

「話は終わりよ。M4、SR16を含めた各小隊、出撃!座標にいる筈のAR小隊のメンバーを助け出すわよ!」

 

ジャンシアーヌの指示が飛び、SR16はM4を含めた小隊達と共に出撃した。

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