呼んでますよ、嫉妬さん   作:ちゅーに菌

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どうもちゅーに菌or病魔です。

  ヘ且ノ <しかし悲しいかな。あまり速くはないようだ
 ≡/┐




はぐれ悪魔と説明です

 

山間にある忘れられた大きな廃屋。

 

そこに入ると真っ先に鼻をつく程の血の臭いが漂ってきますが、それを無視し、薄暗い中を進むと無数の剣に壁に磔にされた巨大な何かの前に出ました。見ればそれを見上げるように佇む女性がいます。

 

「まだ、満足出来ませんか?」

 

私の声に肩を震わせた女性……ロベルタさんはゆっくりとこちらに振り返り、深々とお辞儀をすると、そのまま彼女は私の隣を通り抜け、何処かへと行ってしまいました。

 

「よくもまあ…そんな状態でまだ生かすことが出来ますね」

 

彼女が居た場所に立ち、そう呟きながらはぐれ悪魔だった肉塊を見上げます。本当に僅かに息があるようですが、最早死んでいるのとそう違いないでしょう。精々後、3時間程度だけ苦しみもがく声すら上げれずにここにいるだけです。

 

「許しは乞いませんよ。ただ、あなたは弱かった。それだけです」

 

私は溜め息を吐いてから魔力を練り上げ、三又槍を造るとそれをはぐれ悪魔の頭部だと思われるパーツに放ちました。三又槍はピクリとも動かないそれに吸い込まれるように刺さり、その直後、はぐれ悪魔の身体は燃えるように消滅しました。

 

消滅した後に身体を磔にしていた十数本の巨大な剣と、特に理由もなく刺さっていた多数の剣は床に落下し、砕け散るように霧散します。

 

全てが夢だったかのように何もかもが消えた場所にポツンと取り残されているモノがふたつ落ちています。私はそれに近付いて拾い上げると眺めました。

 

それは古ぼけた家族写真と、悪魔の駒。家族写真には両親と思わしき人に囲まれて笑っている女性が写り、悪魔の駒はたったひとつの歩兵の駒でした。

 

家族写真を私の魔力に晒し、火葬するように存在を消すと、兵士の駒を人差し指と親指で持ちます。

 

「狂っていますよ。世界も、悪魔も、何もかも…ね」

 

歩兵の駒は私が力を込めると、いとも簡単に砕け散り、悪魔と同じように消えていきました。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

ロベルタさんと、ちくビームを発射するはぐれ悪魔を討伐した少し後。

 

『キルストリーク』

 

私は部室に持ち込んだPCで、最近新しく正式サービスを開始したネットゲームをしながら、チラリと部室の窓の近くにいる兵藤さんと、グレモリーさんを見ました。

 

どうやら彼が道に迷っていた教会所属のシスターを教会に送り届けて来たようですね。流石兵藤さんと言うべきか、教会や天使の知識も入れておいたハズなのですが…。

 

『キ キルストリーク』

 

悪魔と天使は、堕天使以上に相容れないモノ。悪魔が教会に近付くなど即光の槍で穿ち殺されても文句は言えません。

 

まあ、私なら投擲された光の槍を逆に投げ返す事も可能ですが、今の彼ではそれは酷……と言うか下手すれば下級相手にも殺されるのがオチでしょうね。がめおべらー。

 

『キキ キルストリーク』

 

そのために彼が出歩くときは私も夜間は同行しているわけですが、今回は昼間だったのでここでPCゲームを勤しんでいたわけです。なぜか塔城さんが私の隣に椅子を置いてそこに座り、物珍しそうに見て来ますが、そろそろ反応してあげた方がいいでしょうか?

 

兎も角、彼は非常に危険な行為をしたわけです。シスターだって彼が悪魔だと気が付けば懐から聖水をぶっかけるとか、十字架で目を突くとか、聖書の角で頭を殴るぐらいはしてきたかもしれません。まあ、私なら何れもイラッとする程度ですが、彼には洒落にならないでしょう。

 

ただの聖書だって悪魔にすれば、強力な祝福が施された上質な武器となりえるのです。アストラの騎士は頭を下げてはいけません。

 

『キキキキキキキキ キルストリーク』

 

「カトレア、音を止めてちょうだい」

 

「先輩、音量を落としてくれませんか…?」

 

注文の多い悪魔ですね。当てるのも大変なんですから許してくださいよ。しかし、妙です。この町の教会はとっくの昔に廃れたはずなのですがね。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

「ほほう、魔法と神器について詳しく知りたいと?」

 

小猫ちゃんに何故か猫じゃらしでも向けるように、ハンディクイックルワイパーを向けて何かしている先輩に俺は声を掛けた。

 

勿論、小猫ちゃんは先輩に嫌そうな目を向けている。でも、逃げないところを見ると心底嫌っていたりするわけでは無いんだと思う。

 

「まずは魔法から教えましょうか」

 

そう言うと先輩はハンディクイックルワイパーを机に置き、小猫ちゃんを持ち上げると膝に置いた。本当の猫みたいに扱ってますね…。

 

「悪魔にとっての魔法とは概ね兵藤さんが考えているようなマジカルでリリカルのようなモノと捉えて問題はありません。簡易な催眠のような小さな暗示から、魔弾やら魔砲やらを撃ったりと出来ますね」

 

先輩は右手の掌をこちらに向けると、その五本の内の四本の指先の上に親指から火の球、薬指から水の球、中指から電気の球、人差し指から風の球が現れた。

 

それぞれが赤、青、黄、緑ときらびやかに輝き、それが次第に膨張するとひとつに纏まり、四色の紙風船のような球が完成した。

 

「ほえー……スゴい…」

 

「触れてみますか? 兵藤さんを消し飛ばすぐらいの威力は軽くありますよ」

 

危なっ!?

 

「悪魔家固有の能力を行使する事と、光力を生成すること以外なら万能の力。それが魔法です。要するに悪魔はだいたいの事は魔法で出来ると言うことですね」

 

なるほど……俺も何か出来るようになるのかな?

 

「しかし、それが良い事ばかりでもありません」

 

「そうなんですか?」

 

「魔法は万能の力。そして全ての悪魔が等しく使える力でもあります。つまりは悪魔にとっての才能とは魔力の量や、質に当たるのですよ。兵藤さんは才能が無いなどというレベルではありませんからねえ。控え目に言えばゴミ。酷く言えば悪魔の恥ですね」

 

「は、恥!?」

 

「ですから強くなりなさいと言ったのですよ。悪魔の才能の有無は魔力によって決まりますが、実力は魔法だけが決めるものではありません。魔法、肉体、能力。それらから生み出された実力こそが悪魔の本質です」

 

「そ、そうだったんですか…」

 

「だから有名な言葉を借りれば、百聞は一見にしかず、百見は一考にしかず、百考は一行にしかず、百行は一果にしかずと言ったところ。いくら言葉を飾ろうと、考えようと、行動に移そうとも結果の伴わない努力など全て無意味です。やるなら必ず実を結びなさい。まあ、要は……」

 

先輩は造り出した魔球を握り潰し、膝の上で借りてきた猫のようにじっとしている小猫ちゃんをひと撫ですると更に続けた。

 

「気に入らない存在は全てブチのめし、最後に立っているのがあなたなら良いのですよ」

 

「………………先輩って思ったより脳筋だったりします?」

 

「知らないんですか兵藤さん。ロードランでは頭の良い脳筋が一番厄介なんですよ」

 

の、脳筋とはいったい……?

 

「それと魔法には適性と言うものもあります」

 

「適性ですか?」

 

「ええ、例えば私は魔力量も、質も、大概の事はなんでも出来ますが、一番得意なのは水に関する事ですね。小猫さんゴー」

 

「!」

 

先輩がそう言うと小猫ちゃんは膝の上から飛び上がり、部屋の外へと飛び出して行った。暫くすると空の洗面器と、水を張ったグラス、最後に一枚の青々とした葉っぱを持ってくると先輩の膝の上に戻って丸くなった。

 

「よしよし…」

 

「先輩と小猫ちゃんはどういう関係なんですか……? というか数日で何が…」

 

「失礼な。どこからどう見ても優しい先輩と、先輩を慕う後輩の図でしょうに」

 

俺の知ってる先輩後輩と違う…。

 

「それはそれとして早速、やりましょうか」

 

そう言うと先輩は洗面器の中心に水の張られたグラスを置き、水面に葉っぱを浮かべた……………………あれ?

 

「後はグラスに向けて魔力を練れば……」

 

次の瞬間、グラスから水が溢れ出し、洗面器はグラスから溢れた水で一杯になってしまった。

 

「私ならこのように水が溢れます」

 

先輩はどこか誇らしげにそう言うと眼鏡を直していました。よく見れば小猫ちゃんが口を押さえて笑い声を漏らしているような気がする。

 

「ははは、そうですか! ところで先輩?」

 

「はい?」

 

「後輩弄って楽しいですか?」

 

「はて? なんのことでしょうか?」

 

「そうですか。強化系凄いですね」

 

「それほどでもありません」

 

こ、この先輩は全く…!

 

「それで神器についてですね」

 

先輩は話を露骨に切り換えると、神器を出して欲しいと言ってきたので、言われたままに俺は自分の神器を出した。

 

「まあ、だいたいの事は頭に入っているでしょうから省きますが、要するに神器とは人間にしか発現しない脱着式の能力、或いは才能と言ったところですね」

 

「脱着式ですか?」

 

「ええ、例えば兵藤さんのその神器。別にやろうと思えば兵藤さんから引き剥がして私が使うことも可能ですから」

 

「え! そうなんですか?」

 

「まあ、多分あなたが死ぬのでやりませんけど」

 

「え"…」

 

取られたら死ぬ…?

 

「神器は保有している人間の重要な内蔵の一部のようなものでもあります。例えば心臓を今この場で抜き取られたら死ぬでしょう? そういうことです」

 

「な、成る程…」

 

これってそんなに生きるのに重要な物だったのか…。

 

「でも方法次第では生かしたまま抜けない事もない。例えば心臓なら人工心臓と丸々取り換えてしまうような感じですね。まあ、大掛かりになりますし、そんな面倒なことをするぐらいなら直接抉り出して神器だけ頂くか。転生悪魔にして眷属にしてしまうのが手っ取り早いでしょう。ちなみに最近の主流は後者です」

 

そう言うと先輩は俺の神器に手を置き、手の甲に当たるところを撫で回し始めた。

 

「まあ、それはもう置いておき神器の話に戻ると、兵藤さんのその"赤龍帝の籠手"は、10秒毎に力を2倍にする効果を持つ神器です」

 

「10秒に2倍?」

 

「ええ、兵藤さんの実力を1とすると、10秒で2、20秒で4、30秒で8と繰り返すと、100秒後には1024になりますね」

 

「1000倍越え!?」

 

すげぇ……この神器はそんな神器だったのか…。

 

「まあ、今のあなただと別にそれがあっても特に驚異でも何でもありませんが」

 

「えっ?」

 

「兵藤さんは私相手に何秒持ちますか? いいえ……こう聞きましょう」

 

次の瞬間、俺の首筋に何かが突きつけられ、ぞわりと頭から爪先へ抜けるように嫌な感覚が通り抜ける。

 

マラソン後のようにバクバクと鳴る心臓を落ち着かせながらそれを見ると、先輩の背中から一枚の悪魔の翼が俺の首に突き付けられていると言うことに始めて気が付いた。

 

「何秒で私は兵藤さんを殺せると思います?」

 

「あ……」

 

そう言うことか。

 

「冗談でもなんでもありません。戦闘中の10秒という時間はあまりにも長い。更に神器の効果で強くなると言うことは能力を持続させるには神器の発動を維持し続けなければいけないと言うことです。今のように少し殺しに掛かっただけで竦み上がったり、意識が飛ぶほどの激痛を与えられたりすれば神器は直ぐに初期状態に戻ってしまいますよ」

 

「なるほど…」

 

やっぱり先輩は凄い人…悪魔だ。利点から弱点までもなんでも知ってるし、平悪魔の俺でもわかるぐらい明らかに強い。きっと本当は隣にいるだけでも奇跡なんだろうな。

 

「まあ、奥の手が使えれば多少話はかわりますが」

 

「奥の手ですか?」

 

「その話はまた今度にしましょう。まだ殆ど覚醒すらしていない現状では夢のまた夢ですしね。まあ、ちなみに参考までに教えておきますが、私が10秒あればあなたとグレモリーさんを含め、グレモリー眷属を皆殺しに出来ますよ?」

 

「は、ははは……冗談キツいですよ先輩…」

 

そんな風に先輩との話を終えると、勢いよくドアが開かれ、明らかに怒ってますと言った表情の部長と、いつものようにニコニコと笑っている姫島先輩が部室に入って来る。

 

部長は辻堂先輩の前まで来ると強く机を叩いた。

 

「やっとわかったわ! はぐれ悪魔狩りの犯人はあなたね!」

 

「はて? なんの事でしょうか?」

 

それに対し、先輩はザ・棒読みと言った様子でそんな回答をする。

 

「惚けないで! いつもいつもわざわざ現場にあんな濃くて蒼い魔力の残滓を残せる悪魔なんてあなたぐらいしか居ないでしょう!?」

 

そう言うと先輩は脚を組み直してからソファーに寄りかかり、顔を上げて天井を暫く見つめてから部長に顔を向けた。その表情はなんと言うか……とてつもなく寒いボケをかました時の俺を見るような表情だった。

 

あ、これダメだ。もう勝負ついた。

 

「お言葉ですが貴族様。一般人に及ぶ被害を未然に防いでいるのだから寧ろ感謝されても良いぐらいだと思いますが? それにはぐれ悪魔には大小差はあるとは言え、賞金が掛けられています。フリーの悪魔が貴族の領内にいるはぐれ悪魔を狩ったところで潰れるのはあなたのメンツと信用ぐらいでしょう?」

 

「ぐッ……!? だからその信用が…」

 

「確かにこの部の部員ではありますが、それはあくまでもこの部員だと言う程度の話。グレモリー家の傘下に入った覚えもありませんし、あなたの下僕になった覚えもありません。あれですかあなたは? ケーキ屋のショーケースの中のケーキをただで食べさせろとごねる意味のわからない子供のような何かですか? あれ可笑しいですね。やってることは万引き犯と大差ありませんような?」

 

「う"……!?」

 

「一体誰のお陰で今の今まではぐれ悪魔による死亡者をほぼゼロにまで抑えれたんでしょう? まあ、領主様曰く、賞金首であるはぐれ悪魔の討伐はルーチンワークらしいですし、さぞ、迅速かつエレガント! 止めにグレイトォ! な仕事振りを発揮してくれるハズです。まさか、まさか、自分の領内にはぐれ悪魔が入ってきた事をイチイチ現場に居るわけでもないデスクワークが中心の大公殿から報告されなければ気付くことすら出来ないなどと言う事は有り得ないでしょうね。グレモリーさん」

 

「…う…………」

 

そこまで言うと先輩は座ったまま片手を、完全に硬直している部長のおでこに伸ばした。すると人差し指を親指に添えて輪っかを作り、人差し指を軽く弾く。

 

つまりはただのデコピンを放った。

 

遅れて部長のおでこが赤く染まり、止めと言わんばかり辻堂先輩はツンツンとおでこをつついている。

 

「ソレが嫌なら精々強くなりなさい。あらゆる意味であなたは詰めが甘過ぎます。中途半端な優しさは何時か誰かを破滅させますよ? まあ、それはそれでとても悪魔らしいとも言えますがね」

 

「…う……うぅ…………朱乃…」

 

「ああ、リアス…よしよし可哀想に…」

 

半べその部長は手を広げて抱擁の構えをした姫島先輩に吸い込まれるように崩れて行った。

 

…………辻堂先輩をそれなりに長い期間見てきたからわかりますが、姫島先輩…何故か眼が笑ってますよ……………ああ、この人も辻堂先輩と同じ人種か…。

 

いつも通りの対応でこれだもんなぁ……改めて辻堂先輩だけは怒らせないようにしようと誓った俺だった。

 

 

 




ちなみにカトレアさんに悪意はないです。リアスちゃんの事もカトレアさんは割りと好きです。リアスちゃんの為を思って言っているし、街の人間の為を思って行動しているんです。

ただし、コミュニケーション能力がある意味壊滅的なのと、ドを越えた悪戯好きなだけなんです。
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