シャングリラ・フロンティア 〜神ゲーのモンスター共を天誅しに参ります〜 作:YY:10-0-1-2
思いついたら止まらなかった。
※恐らくifルートの中でも特に原作様との違いなどを感じられると思います。ご了承ください。
※また、ほんの少しBL、を含む要素があるためご了承ください。
※これらが嫌なら、ブラウザバックを推奨いたします。
幕末という場所は、ある意味でコミュニケーションと呼べる場所だった。
そしてそれによって救われた人間もいた。
「あの、レイドボスさん?」
「なに?」
俺は目を逸らしながら汗を垂らす。
「近い、です」
俺はいいながら目を向ける。いくら幕末とはいえ、ここまで近いとな……それよりも、武器が取り出せなくて困ってるし。
そもそも、ここ、団子屋の裏だし。
「何のつもりですか? 天誅なら、はやく……」
「会話したい、だけ。だめ?」
「いや、ダメじゃないっ、すけど……」
俺はいいながら汗を垂らす。
何がしたいんだ……天誅じゃなくても、組み伏せて、しかもこんな至近距離で誰にも見えないような場所で。
俺はレイドボスさんを見つめて、ゆっくりと目を細める。
レイドボスさんの顔は、おそらくリアルの顔ではないだろうが、いわゆる、男の娘、と呼ばれる顔をしていた。
男ウケする顔、と言えばいいだろうか。とにかく、そっち方面に寄せていた。
……いやいや、何考えてんだ俺。こんなまじまじと見て。
「えと、とにかく、なんの用で……」
「……ずっとさ、考えてたんだ」
「……へ?」
俺はレイドボスさんの顔を見てズイっと近寄らされてびっくりする。
俺は顔を赤くして、さらに背ける。
「僕が、みんなと話せるの、幕末のおかげ」
「そ、そうですね」
俺はごくりと汗を飲む。
レイドボスさんは、耳元で囁いた。
「君も、その一人。君も、助けてくれた」
「!!!?」
俺はレイドボスさんの声を聞いてびっくりする。
低い、明らかに聞けば男と分かるように低い声。だがしかし、その声を震わせた鼓膜と、意味を理解した脳みそは反応する。
俺はレイドボスさんから離れようと身を捩るが、しかし。
あっちの方が動きが早く、しかもちゃんと組み伏せてくる。
「ぐっ……」
「逃げないで」
レイドボスさんの声がさらに冷えていく。
俺はそれを聞きながら目を見開く。
「僕は、お礼したい」
「お、お礼?」
俺はレイドボスさんの言葉を反芻する。
お礼って……お礼なら、お礼の千人斬りしたじゃないか。これ以上何をするって……
「特に、君に感謝、してる」
「……俺? なにか、しましたっけ」
「ずっと、遊んでくれた」
そういや、レイドボスさんが来てからずーっとやり合ってたっけか。
当千と殴りあったりしていたが、いつの間にか、レイドボスさん打倒、みたいな目標になってたな。
「俺もっすよ、レイドボスさん」
「……?」
「俺も、レイドボスさんには感謝してます」
レイドボスさんという目標ができたおかげもあって、俺はこのゲームをさらに楽しめている。
ある意味で、俺もレイドボスさんに救われている人間だ。
当千も、恐らくそうだろう。あいつも、レイドボスさん打倒のためにこのゲームやってる訳だしな。
「だから、俺からもありがとう、って言いたいです」
「……君は、僕を……」
レイドボスさんはそう言って、固まって、顔を背ける。
おや、意外。レイドボスさんがこんな風に顔を逸らすなんて。
「……レイドボスさん?」
「……なんでもない」
言ってから、組み伏せていた腕を離し、俺は開放される。
俺はよいしょと言って立ち上がってから、レイドボスさんを見て、目を見開く。
抱きつかれた。
「れ、レイドボス、さん?」
「……ユラ」
「は、はい?」
レイドボスさんの声が、俺の耳元で響いている。
「ユラって、呼んで」
「……レイドボスさんでは、なく?」
レイドボスさん…………否、ユラは頷く。
ユラは俺から少し離れて、手を握る。
「……呼んで」
「……ユラ、さん」
「さん付け、なし」
「……ユラ」
俺の言葉を聞いたユラは、満足そうに微笑んで、頷く。
それから、刀を取り出すかと思ったら……そんなことなく、ユラは俺の手をさらに強く握る。
鯖癌ほどの感覚共有はされていない。
しかし、確かにその手には熱を持っていて……そして何よりも、ユラの顔を見てしまっていた。
その顔は、柔らかく微笑んでいた。
「好き」
……。(固まる)
……。(一秒後)
……?(首を傾げる)
……。(首を戻す)
……??(反対方向に首を傾げる)
……!?(目を見開く)
……??!(意味がわからず首を横に振る)
「なんて!!?」
ごめんやっぱり分かんなかったわ!?
「好きって、言った」
「いやいやいやいや、そうじゃなくて!?!」
俺は驚きながら、ユラの肩を掴んで、少しだけ動揺するのを抑える。
ユラは、そんな俺を見て柔らかく微笑んだままだった。
「俺男っすよ! しかも、素性も知らない男! 分かります!?」
「分かるし、これから、お互いを知っていけば、いい」
「いや、そうじゃな…………んんんっ!!!」
俺は頭を抑える。
断ろうという選択肢は……あるのだろうか。それとも、俺自身が望んでいるのだろうか。
兎にも角にも、ユラは、俺に好意を持っているらしい。
「……好きって、ええっと」
「恋愛の意味で」
「ですよねえ」
俺はさらに頭を抱える。
ユラって今何歳だ……???
「……僕は、君がいい。君と、一緒に、いたい」
ユラはそう言って、両手を俺の手に絡ませてくる。
指と指の間がなくなって、俺はゴクリと唾を飲んでから、息を吐く。
……俺もダメな大人だ。純粋な好意を、受け止めて……喜んでしまうのだから。
「……ユラ。その、リアルで会うなら……もっと、成長してから、な?」
「うん……僕も、成長、する」
それは、幕末の中で。VRという、リアルとは全く違う、空想の中で。
しかしながらも、確かに約束された……
……恋の御噺であった。
マオウガ → ユラの好感度100%
ユラ → マオウガの好感度300%(ドロドロに黒い)
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