シャングリラ・フロンティア 〜神ゲーのモンスター共を天誅しに参ります〜 作:YY:10-0-1-2
初投稿です。
「ハッハーっ!!?」
いきなりスローモーションになったことでマオウガは白目を向きながら攻撃を回避する。
スローモーションになった理由はペンシルゴンの対価の天秤であると、マオウガは予想をつけていた。
実際にその通りであった。
対価の天秤の効果として、凡そ
ペンシルゴンだけならば、300ポイントのみになっていたが、マオウガの素材を最大限に使用してなんとか高めあげる。
「んんんんああああああああ!?」
戦術機馬【騏驎】の上に乗ることに成功したオイカッツォ。
だが、その数秒後に自身の下準備が全て無駄であったことを悟ることとなった。
「カ、カッツォ君大丈夫!?」
「だだいじょわぁぁぁぁ!!」
「え、何語?」
固定具を使わずにジェットコースターにしがみつくような、もはや振り落とされるような……とにかく、凄まじい遠心力がオイカッツォを襲っていた。
左へ放り投げられたと思った直後に凄まじい勢いで右側へと吹き飛ばされ……かろうじて騏驎の背に復帰したかと思えば、今度は真上へ跳ね上げられてその状態で振り回される。
いくらキャバリー・クライシス全国3位であり、日本屈指のプロゲーマーでさえ、苦戦を強いられていた。
(ただで、さえ……2デスしてるんだ。サンラクと違ってこっちは1デスでも致命傷になりかねない)
オイカッツォ自身、今回の戦いは不利であることを理解している。
なぜならば、彼のプレイスタイルは「理詰め」であるからだ。
「この場合何をするか」「どう追い込めばこの技を出すのか」「それに対してどう行動するのが最善手か」を予め考えてから実戦でそれを当て嵌めていく。
言わば、パズルを解くようなもの。
ピースが勝手に動き回っては、オイカッツォも苦戦する。
どこぞの悪食半裸盆踊り鳥や、どこぞの時代錯誤半裸侍などのように、とにかく相手に突撃するのが苦手である。
情報自体がオイカッツォの満足がいくほど充実していない上に、その特性上リハーサル無しのぶっつけ本番。
(どうする……こうも大暴れするとはね、姿勢制御なんて無理ゲーじゃない……?)
気分はまるでヨーヨー。
考え尽くしているその間にも、考古学者が使用できる武器「ロープ」の耐久力が限界を迎える。
ふと、その時。
彼に天啓は落ちてきた。
(……ああそうか、俺自身が踏ん張りきれないから振り回されるわけで)
◇◆◇
「っ!」
やはりと言うべきか、こいつの太刀筋……なんか掴めてきたし、なんなら対処もできるし……!!
「ハッハーっ!! ごめんあそばせ楽々よぉぉぉ!!」
「おい、テンションどうしたお前!?」
あ? うるせぇよ半裸盆踊り鳥!!
こちとら侍というか、武士と戦えてテンションブチアゲなんだわ!!
あとから来る時間差のテンションブチアゲ!!
「っと」
ウェザエモンがその膝をガシャンと落として膝をつく。
おっ、と……?
っと、そこまで来て、ペンシルゴンが俺たちを呼ぶ。
俺とサンラクはそんなペンシルゴンの元へと駆け寄る。
膝をついて動かなくなったウェザエモン。
一見すればチャンスタイムにも見えるが……どう考えてもアレは距離を離して様子を見なければならない類のモーションだな。
「ペンシルゴン、あれは?」
「……まだメンバーがマシだった頃の阿修羅会でもここまで来たのは一度っきり。便宜上第3形態と呼ぶけど……その時は墓守のウェザエモンの
なるほど。
つまりこれを乗り切ったとしてもあとが分からないということじゃな?
というか、全滅?
範囲攻撃なら入道雲……いやでもあれよけれるぞ。
なんかしらの絶対回避不可の入道雲とか、リキャスト無しブッパの雷鐘とかならほんとにぶっ飛ばすぞ。
ウェザエモンの動きに連動するようにピタリと動きを止めた麒麟。
遂に頭がおかしくなったのか、騏驎の首に自身を縛り付けているカッツォも戸惑っているのが……何してんのあいつ。
「対策は、取ってるんだよな……?」
「うん、2人のおかげでね!」
ピシリ、パキッ、と音を立てるウェザエモン。
「カッツォ君! 騏驎も動きが変わる可能性があるから気をつけて!」
「了解……っ!」
カッツォ、とりあえずそのロデオ(意味深)で笑わせてくるのやめない??
「ここから先は前人未到の領域、覚悟を決めてね」
「初見攻略はゲームの基本だ、覚悟なんて最初からできてる」
「
「ならよし……!」
インベントリから何やら液体の入った瓶を取り出したペンシルゴン。
迷いも恐れもない歩みで、そのままウェザエモンへと近づいていく。
「あ、もしこれダメだったら自力でなんとかしてね?」
「おい!」
「はぁ!?」
うーん、くそ。
ウェザエモンから発せられた「パキリ」という音、そしてサンラクの抗議の声、そして……ペンシルゴンがポーションを投げたのは、全て同時であった。
直後、ウェザエモンの口周りのアーマーがガパッ!っと、いわば咆哮モーションのようなモーションを取るウェザエモン。
そんなウェザエモンに、ペンシルゴンが投げたポーションが着弾した。
「ォォォオオオオ………ッ、ガッ!?」
哀れウェザエモン。
そのモーションは強制的に中断され、明らかにダメージの結果発生した白煙がヒビの奥から立ち昇る。
「よっしゃビンゴォ!」
「一体全体あれはなんだ!?」
身体はここから先の戦闘に備えて準備を進め、口は今の一連の結果の説明を求める。
サンラクも同じようなことを思ったのか、こちらも準備しつつペンシルゴンを横目で見る。
「このゲームさ、世界観や設定が攻略の鍵になるわけでさ。私はずっと墓守のウェザエモンは「神代の技術で身体を機械化したサイボーグ」だと思ってたわけよ」
まぁ、あれはサイボーグだと思っても仕方がないわな。
セツナの話やシャンフロにおける「神代」というSFな設定。寧ろサイボーグじゃありませんと言われた方が困惑するだろう。
「だけどさ、ソースがどこなのかは知らないけどサンラク君とマー君が持ってきた「死に損ない」って単語から大体ウラが見えてきたわけで……」
「……なるほどね、アイツ……「アンデッドモンスター」か!!」
なるほど、合点が行く!
つまり、とペンシルゴンは己の武器を……本人が最も得意とする武器である槍を構えて続ける。
「シャンフロのアイドル聖女ちゃんが丹精込めて作った「聖女ちゃんの聖水」……裏ルートで大枚叩いて手に入れた最強クラスの対アンデットポーション、さすがの威力だね」
聖女ちゃんの聖水(意味深)。
裏ルートからって、お前、完全にアレだよね。後ろに(意味深)が着いちゃうアレだよね??
俺と同じ思考なのか、サンラクも目を細めて、ペンシルゴンが青筋を浮かべながら続ける。
「言いたいことは分かるけど、アレなアレじゃないよ!」
「大概ヨゴレ系だよな花形モデル」
「清濁吸い上げて花は美しく咲くのだよ……全体衝撃波は阻止した、ここから先は私もぶっつけ本番だよ!」
清濁じゃなくてお前の場合は血……。
おっと、そんな目で見ないでくれ。別に他意はないんだよ。うん。ホントホント。マジマジ。
さすがに聖女ちゃんの聖水(意味深)も全体攻撃を妨害こそすれ致命的なダメージを、とはいかなかったらしい。
悶え苦しむ動作を止めた墓守のウェザエモンの肩、腕、腰……各部の装甲が割れるように弾け、全身の亀裂から青い炎状のエネルギーが噴き出すように出てくる。
逆にあれはあれでカッコイイが……。
「あー、なんだ。墓守のウェザエモンと戦う気満々なところ悪いがオイカッツォを助けてやれ」
「え? そりゃアシストはするけ、ど……は?」
俺もサンラクの言葉に疑問を抱き、横を見る。
…………。
変形し、頭と胴体が無い中途半端な甲冑のような姿へと変貌した戦術機馬【騏驎】。
その前で困惑しながらもファイティングポーズを取るカッツォ。
なるほど、あれにウェザエモンが合体することで……考えただけでも背筋が凍るな。
「さすがにあれはキツイだろ。とはいえ、こっちもこっちで集中しなきゃ行けねぇし、悪ぃがそっちに目が行くほど俺らも暇じゃねぇ」
「……っ、分かってる! マー君、サンラク君、任せられる?」
俺とサンラクはニヤリと笑う。
「あぁ、任せろ」
「任された」
強がりじゃない。全くもって。むしろ逆だ。
サンラクが歩み始め、俺もその後に続く。
「……ペンシルゴンからお前の戦闘パターンを聞いた時から、ずっと疑問に思っていたんだ。「それつまらなくね?」ってな」
こーいうのは漫画やアニメでよくある。
「俺を置いて先に行け!」的なやつだ。大体が死亡フラグか、はたまた運の良さを体感させるか、最強キャラだと格付けさせるためか、色んな理由はあるだろう。
しかし、しかしてこれはゲームだ。
強敵と戦うのも、時間を稼ぐのも、俺だ。自分自身だ
30分間逃げ回れ、だと?
サンラクと同意見だ。
クソッつまんねぇ。
避けるぐらいなら、レイドボスさんにしろ、
だが、反撃の糸口がある。それが見える。それだけで、それだけで充分面白ぇじゃねぇか。
ユニークモンスターましてや、そんなユニークモンスターが出てくる「神ゲー」でそんな「クソゲー」みたいなこと、しないだろ。
やろうぜクソ野郎。
「さぁ行くぜ、