シャングリラ・フロンティア 〜神ゲーのモンスター共を天誅しに参ります〜 作:YY:10-0-1-2
ウェザエモン編終わりというわけで初投稿です。
ペンシルゴンが稼いだ時間はおおよそ5秒。
しかし、大技前への緊張をほぐしたのは、確かであった。
2人は、ペンシルゴンが後ろに下がったのを確認し、再び
「よっしゃこい! ここからが正真正銘クライマックスだ!」
サンラクのその言葉を聞き、マオウガ=ドキは駆け抜ける。
「断風、断風、雷鐘、火砕龍、灰吹雪」
「バァカ、読めてんだよ!!」
「入道雲」
「あっ、ごめんそれ勘弁」
マオウガ=ドキに大きな雲の手が押し寄せる。
それをギリギリ飛び込みセーフし、ゴロゴロと転がった後にスキルを確認する。
(『
スキル『ライオットアクセル』にて『クライマックス・ブースト』発動。
『ライオットアクセル』はHPを消費してSTRとAGIに補正。『クライマックス・ブースト』との相性は抜群。さらにいえば、『
追加で『
この瞬間、マオウガ=ドキはほぼ完璧な状態となる。
『シャープターン』で回避をしつつ、サンラクを見る。
「……はっ?」
そこには愕然と目を見開くサンラクの鳥面が。
それを見たマオウガ=ドキは今までウェザエモンが放ってきた断風よりも速くその答えに辿り着いてしまった。
「しくじったあぁぁぁぁ……!!!ここで調整ミスぅぅぅぅ……!!?」
「おっっっっっっっっ前っっっっっっっっ!!!?」
マオウガ=ドキは構えたまま目を見開いた。
(……間に合うか?! これを逃したら、もう勝てない! 無理か!? サンラクめぇ! どうする!? 耐え切れるか、俺が!? 真正面から!? 無理だ! 俺の技はほぼ賭け!! 俺が失敗しても、サンラクのテクニックを慎重に完成させるための、いわば踏み台……!!)
マオウガ=ドキの思考は速くなる。
まるで世界が止まったかのような感覚に陥る。
(目の前にはサンラクの脳天目掛け太刀を振り上げたウェザエモン! 流石にこの状態からどうにかすることは……!!)
思考が動く。
それと同時に。
カーンッ
と、鳴り響いた。
墓守のウェザエモンの横っ面に当たり、動きが一瞬とはいえ、完全に停止する。
それは、投げナイフ。
見れば、それは麒麟甲冑を倒したペンシルゴンと、スタミナ切れで這いずりながらも目的地点まで達したカッツォ。
2人が遠き日のセツナの墓の後ろにおり、そこから墓守のウェザエモンに投げナイフを投擲したのだろう。
そして、ここに来れない筈のセツナがウェザエモンのことを見ていた。
墓守のウェザエモンはそれらのことを認識、完全に意識をこちら側から外している。
だがこれは。
しかしてこれは。
最高の、
「おいウェザエモン、人から目を離すとか良い度胸じゃねーか」
「テメェ、それは命取りだぜェ……?」
墓守のウェザエモンが動きを止めたのは時間にしてほんの1秒。いや、それ以下かもしれない。
だが、その隙に。その少ない隙に、サンラクは自身の体を自身の変形した武器で傷付けた。
つい30分前に行われた大規模アップデートに記載されていた内容の1つ。
マオウガ=ドキは、それを思い出した。
【──────今回のアップデートでは、幸運による「食いしばり」の発動条件を変更致します。具体的には、幸運50以上かつ自傷ダメージ及び反動ダメージで戦闘不能になった場合一度だけHP1で確定で耐えられる】
サンラクから赤と黄色のエフェクトが迸り始め、マオウガには赤と黒色の電流が纏い始めた。
「みんな、
マオウガ=ドキは叫ぶ。
その刀を握って。
刀からは、青色の光が見え始めた。
「目の前のこと、全部終わらしてから逝ってこいやぁ!!」
それは、蒼い光。
それだけで、十分な勢いを物語っていた。
「
「とっとと
「……【
◇◆◇
『
そのスキル、数多もの技を、魔法をも
それは、誰の侵略も許さないという、とある将軍の思いが込められている。
だからこそ、彼を目指した者が生み出した、相手を斬り伏せるための、居合の一太刀。そして、見様見真似の最強の神業。
……これが、『蒼天』の説明だった。
ヒッジョーに分かりずらくて、だからこそ、一か八かにかけるしかなかったスキルだ。
その実態は、恐らく……スキルと魔法の無効化、だ。
無効化とは言っても、完全に消すことは出来ないのだろう。漫画や小説、アニメとかのシーンで例えれば、飛んできた魔法を剣で斬る、そんなイメージだ。
……【天晴】。
即死効果、装甲貫通、装備破壊、魔法貫通、スキル貫通、回避不可とあらゆる効果がてんこ盛りの大上段からの斬りおろし。
それに対抗出来たのは、この【天晴】がスキルだったからだ。
「即死の一撃……攻略完了だ」
「お前の刃は、もう届かねぇな」
「……………」
ウェザエモンが振るった太刀、その切っ先は俺にもサンラクにも触れることなくすぐ隣の地面をへと叩きつけられた。
沈黙の中、俺は思い切り息を吐き出す。
……CO2が再現されている理由が分からないが、今はそんなことを考えている場合ではないだろう。
「………見事だ」
引き抜かれる太刀、思わず戦闘態勢を取るが墓守のウェザエモンは俺やサンラクに斬りかかることなく静かに立っているだけだ。
「
……ダジャレかよ。
「ダジャレかよ……」
おい。
この場面で言うのもアレなので我慢したのに、隣の鳥頭が言いやがった。
「呵々……セツナにもよく、言われ、た、ものよ……」
言われてたんだ……。
そんなシーンを想像したら……うん。なんか微笑ましいなとしみじみ思う。
ふと、耳にウェザエモンの身体から亀裂と軋みの音が響いた。
すでに身体の各所から噴き出ていた蒼炎は消え、ただ消えかけの煙が薄く細く立ち昇っていた。
「重ねて
はぁ? 待てお前なんつった?
「我の刀を模シタ刀、ソの刀は……『想い』が込められてイル……」
『想い』? 待て待て、終わってから考察させてこようとすんな。もう脳みそ動けねぇよ。
「後継者よ、ソの想いモ、我の決意モ、全て託すゾ……」
おい待てや。そんな、俺の言葉は届かず、ウェザエモンは天を仰いだ。
それは……誰かを見つめるように。それは……何かを想うように。
それを見て、さすがに俺も黙り込んでしまった。
「我が、身……朽ち果、テ……眠、る………嗚呼、セツ、ナ……今……そコ、へ……」
最期にそう言って、胴体からウェザエモンの頭部がこぼれ落ちる。頑丈だったはずの胴体が、崩れ落ちた。
それを見て、サンラクが口を開いた。
「終わった、のか……?」
「ここからさらに連戦とか少なくとも俺は泣くよ?」
「へへ、俺はやれるぜ」
「マー君だけだよ……それに、そんな事ないでしょ……」
各々が反応する。ふと、フィールドが変わっていくことに気づいた。
戦闘中も不自然な程に美しく咲き誇っていた桜の木が急速に枯れ果てていき、反転世界に入る前の秘匿の花園にあった枯れ木と同様の姿になっていく。
……目の前には、半透明の女性……セツナが立っていた。
「アーサー、それにオイカッツォとサンラク、マオウガも……成し遂げて、くれたのね」
「セッちゃん……」
「4人とも、本当にありがとう。私の……いいえ、遠き過去に「セツナ」が抱いた願いはここに果たされました」
……ん?
セツナの言葉に何か引っかかった。それは、ペンシルゴンも同じなのか、声を上げた。
「セッちゃん……というかセツナって貴女のことじゃないの?」
ペンシルゴンの言葉に、セツナが答える。
「いいえアーサー……私は確かに「セツナ」ではある。けれどあの日死んだセツナ本人とは違う……セツナの願いが、「もしも恋人がずっとずっと私の死に囚われるのなら、どうかやめてほしい」という想いが生み出した彼女の残滓、謂わば筆跡まで完全に再現された写本のようなもの。役割を終えれば消える存在……」
「ああ、だから「遠き日の」セツナなのか……」
サンラクが納得したかのように呟く。
セツナ本人ではない、遥か遠い昔のセツナ
すると、言葉通り儚げな笑顔を浮かべたセツナの姿にノイズが走る。
「セッちゃん……」
「悲しまないでアーサー。彼女の願いに
すると、俺たち4人を見渡すかのような仕草をした後に、気になる言葉を紡いだ。
「貴方達は開拓者。二号計画の末裔、世界を「拓く者」……もしも貴方達が自身のルーツを、世界の真実を知りたいと願うのなら「バハムート」を探しなさい」
バハムート?
オイカッツォの言葉に、サンラクが知らないのか? と答える。いや、そういう話じゃねぇだろ。
一応、俺たちより先に始めたペンシルゴンも、何も知らないと言う。
どういうことか、と聞くペンシルゴンにセツナは、それを探すのも開拓者でしょ? と微笑みながら答える。
……こりゃ1本取られたな。
「……それと、マオウガ」
「はい?」
俺ぇ??
やめて、サンラク。やめて、オイカッツォ。特にやめてペンシルゴン。お前らの視線チクチクするの。痛いのやめて。
「その刀、彼の刀を
はぁ。
つまり、七つの最強種、それぞれの刀があるってことか。
いやまぁ、予想は出来てたけどさ……。
「探し出して、そして……全て集めなさい。それはきっと、世界の真実への手助けになるはずだから……」
「……なんかようわかんねぇけど、まかせろ!」
拳を彼女に向ける。
攻撃ではなく、「応え」としてだ。
「最後に。アーサー、これは「セツナ」としてではなく「私」自身が貴女に贈る言葉」
「へ?」
「いつも「私」に会いに来てくれてありがとう。大好きよアーサー」
「え、あ……こちらこそ!」
その言葉と満開の笑顔を最後に、NPC「遠き日のセツナ」は完全に消滅する。
僅かに残ったポリゴンが泡沫のように砕けて消え、今度こそ完全な沈黙が辺りを支配する。
俺たちは、ペンシルゴンの方を向く。
「なぁペンシルゴン」
「ぐす……泣いてないよ」
「まだ何も言ってないんだが」
サンラクの言葉に速攻で答えるペンシルゴンにクスッと、笑いが出てしまう。
まっずい、殺されるか? そう思ってたら、2人が追い打ちをかける。
「それ否定になってないっていうか、ほぼ自白だよね?」
「ペンシルゴンにも暖かな涙を流す機能があったんだな」
「コノキモチ……コレガ、ココロ……?」
「ぶっはっ!!!」
俺が吹き出した直後、ペンシルゴンは手をワナワナさせてから、拳を握ってこっちを睨みつけてきた。
「そのネタ天丼じゃん! もういい3人とも縊り殺す!!」
「やべぇ! 武器が無いから
「ここに来てPK食らうとか真っ平だよ!? 代わりに死んでくれサンラク!」
「はぁっ!? じゃあ最初に笑ったマオウガだろーが!!」
「俺に矛先を向けさせるなぶちのめすゾ!!!」
ぎゃあぎゃあと騒いでいると、ようやくウィンドウが表示される。ペンシルゴンは俺たちを追いかけるのをやめると、居住まいを正して口を開く。
俺たちもそれを見て、動きをやめて、ペンシルゴンを見る。
「何はともあれ、2人ともそれと、マー君、私のワガママに付き合ってくれてありがとう。お陰でシナリオクリアまで来ることができた」
いきなりの感謝に俺たちは戸惑うが、俺もサンラクもオイカッツォも笑う。
「なんだよ改まって、俺達がやりたいと思ったから参加したわけだし礼なんていらんよ」
「そうそう、シャングリラ・フロンティアがサービス開始されてから初のユニークモンスター討伐者っていう称号だけで十分だよ」
「おう。2人の言う通りだ。俺も、侍を天誅できたのすっげえ嬉しいし、楽しかったからな!! ところで……」
俺がオイカッツォを見ると、サンラクが「はんっ」と鼻で笑う。
「オイカッツォ、他人のユニークに乗っかったのを誇るのは……楽しいか……? あっ、的確に鳩尾を狙うな鳩尾を!」
「それ言ったらお前らもでしょうが、いい加減ぶっ飛ばすよ?」
はー!? こっちはこっちで特殊演出出したんですけどーーーっ!!?
そんな俺たちを見たペンシルゴンはモデルとしての笑顔でもなく、不敵な外道の笑顔でもなく、心からの笑顔で宣言する。
「さぁ野郎ども、報酬確認と洒落込もうか!」
『墓守のウェザエモンは永い眠りについた』
『セツナの残滓は遠き日の願いを終えた』
『ユニークシナリオEX「此岸より彼岸へ愛を込めて」をクリアしました』
『称号【看取りし者】を獲得しました』
『称号【刹那を想う者】を獲得しました』
『称号【ご先祖様のお墨付き】を獲得しました』
『称号【天晴を求めし蒼の澄み渡り】を獲得しました』
『称号【天晴を超えし蒼天の輝き】を獲得しました』
『アクセサリ【格納鍵インベントリア】を獲得しました』
『アイテム【晴天流奥義書】を獲得しました』
『アイテム【世界の真理書「墓守編」】を獲得しました』
『ユニークシナリオEX「
『ユニークシナリオ「
『ワールドクエスト「シャングリラ・フロンティア」が進行しました』
Q.もしかしてみんなゲロるの楽しみなん?
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A.当たり前だろ!!
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A.たまにやるぐらいでええんや…
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A.ゲロるなよ〜?ゲロるんじゃないぞ〜?
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A.毎日ゲロって♡出せ出せ♡