シャングリラ・フロンティア 〜神ゲーのモンスター共を天誅しに参ります〜   作:YY:10-0-1-2

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もうちょっとだけ続くんじゃ、初投稿です。


星降る夜に、大志という名の灯火を 其の伍

 

 

口からビームを放てる神ゲー、シャングリラ・フロンティア。

などと、馬鹿な感想を浮かべているサンラクだが、やる動作は既に終わっていた。

 

分身は封殺どころか、壊されて……残りはクソ犬(リュカオーン)本体のみ。

 

「ここで決めよう!」

 

リュカオーンがサンラクを見据える。

それはたまたま近くにいた俺を見ただけなのか、自身が呪いを付与した俺を見ているのか。

だがその目は見ていてとても小気味がいい。

 

エムルが攻撃を仕掛けたリュカオーンの後脚。即再生するとはいえ、再生中の部位は脆いのが世の常人の常と言うものだ。

 

「この瞬間を待っていた!!」

 

煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)の効果は既に発揮されていた。

「右拳」としての能力である、月光を当てることで5分で晶弾一発分の魔力をチャージする能力。それは、朱雀により補充されていた。

 

さらに、煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)はチャージした魔力を全てダメージに転換し排出する能力が備わっている。

怖いところは、そのチャージした魔力に……()()()()()というところだ。

その分デメリットが多いが……サンラクはそれを理解していた。

 

まずひとつは、魔力(エネルギー)をケチらなければいけないということ。使えば使うほどその分溜まりづらい。当たり前のことだ。

ふたつめに、反動がある。調子に乗ってチャージしまくると最悪暴発して周囲ごと消し飛ぶことすらあり得る。反動ダメージ、自傷ダメージを確定で1で耐えるサンラク自身が死なずとも、武器は消し飛ぶし周囲も消し飛ぶ。

みっつめに、超過機構は一度使用すれば次に使用可能となるまでのリキャストタイムがなんと一週間後ということ。

 

それらを踏まえて、その上の……覚悟。

 

まるで切り札と呼べるが、これはまだ前哨戦。

クソ犬(リュカオーン)の偽物相手に、フルパワーを使うと? これから、ユニーククエストEXの攻略が必要なのに?

 

そんなバカのことはしない。

だからこそ、お試しの……80%。

 

 

「お前が月を避けるなら、俺が月を叩きつけてやる(・・・・・・・)

 

右拳の各部がスライドし、内蔵された黄金の水晶が輝きをさらに増す。

金晶独蠍の命晶核に月の魔力が注ぎ込まれ、内蔵機構が叫ぶような咆哮と共にエネルギーを破壊力へと転換していく。

 

サンラクの位置取り、あちらの顔の位置、タイミング、発生フレームの優位、ヘイトの混乱。全部が繋がりくっついて、「作戦」という名の蜘蛛の巣がリュカオーンをがんじがらめに縛り上げる。

 

「あの夜の礼だ、受け取れ……【超排撃(リジェクト)】!!」

 

黄金が、漆黒を食い破る。

右拳に仕込まれた針がアッパーカットの着弾と同時にリュカオーンの下顎を貫く。文章にしてしまえばそこまででもないが、現実は違う。

 

大きな音と共に爆ぜたそれは、サンラクを吹き飛ばす。

サンラクはHP1で耐えるが……衝撃が強すぎて、吹き飛ばされた。それはつまり、落下死の危険性があることを指し示す。

 

だが……だが、ここで動くのはサンラクだけではない。

 

「【マジック・チェーン!!】」

「おおおお!!!!」

 

サンラクの脚に【マジック・チェーン】が絡まる。

その瞬間、逆方向に思いっきり引っ張られ、秋津茜が飛び込んでくる。

 

秋津茜はしっかりとサンラクを掴み、マオウガがそんな秋津茜を抱きしめ、脚を使って、地面で踏ん張る。

 

「っぶねぇ!?」

 

サンラクは、死ななかった。

マオウガと秋津茜のお陰で、なんとか衝突を免れたのだった。

 

「……助かった……。ありがとな」

「ほら、見れるぞ……最大火力(アタックホルダー)がよ!」

 

サンラクと秋津茜、マオウガ……そして、シークルゥとエムルは見つめる。

……サイガ-0の、切り札を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我は混沌を手繰る者…………天上に在りて天の果てへ飛翔し、奈落に在りて深淵の底へ潜行す」

 

「双貌たる天魔、尚も手を伸ばし極点へと至る」

 

「我が覇道を塞ぐ大敵よ、我が覇たる道の先導は我が他に要らず。即ち我が一撃は塞がる万象を砕く」

 

「我が身は天にありてサタナエル、魔にありてサタン。双貌一つに混沌を執行()す」

 

 

始源(ハジマリ)終焉(オワリ)を謳え………「アルマゲドン」!!!」

 

 

サイガ-0の攻撃。

白き聖と、黒き邪。相反する力を二重螺旋に織り込み、交ぜ合わせ、混沌を創り出し……それを放つ。

破壊に次ぐ破壊の連鎖を宿せし、力の濁流にして奔流。絶大無比の一言に尽きる、他の追随を許さない最大火力(アタックホルダー)の切札が、リュカオーンの…………夜の帝王の顔面に直撃する。

 

これこそが、称号【最大火力(アタックホルダー)】の……切り札。

 

1.0倍の「初撃」から10段階の乗算によるダメージ判定を叩きつける正真正銘「究極の攻撃」がリュカオーンのリソースを凄まじい勢いで削り尽くす。

 

1.0倍から、1.1倍、1.2倍と順々に火力が上がっていくそのスキルは、クソ犬(リュカオーン)をぶち破る。

 

最後の波動が霧散し、月も沈み始めた夜空に白と黒の輝きが消えた時、そこには左半身が消失したリュカオーンの姿が。

だがしかし、立っている。まだ、立っている。クソ犬(リュカオーン)は、立っている。

 

「あークソっ! 足りねぇのか?」

「流石にここからロスタイムは勘弁してほしいが……」

 

リュカオーンはサイガ-0を、走ってくるサンラク達を見て、愉しそうに口元を歪めて……!

 

「チッ」

 

刀を構えるマオウガを見て、スンッと真顔になった。

さすがのそれを見てマオウガも、真顔になって刀を下ろした。

 

その身が崩壊していき、やがて……全て綺麗さっぱり消えた。

 

「やりました、か……?」

「それフラグ……いやマジでフラグはやめろよ………」

「……流石に、もう無理だぞ……マジで……」

「や、やりましたよ皆さん! リュカオーンを倒したんですよ!」

 

不安げなサイガ-0、言葉の意味を懸念するサンラク、サンラクの言葉に汗を垂らすマオウガ、そして勝利を喜ぶ秋津茜。

 

各々が現状を思う中、2羽のウサギに遅れて4人のプレイヤーはそれに気づく。

 

まだ、いると。

 

だがしかし、リュカオーンは……笑ったと。その結果は、残っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『称号【影狼(かげろう)を穿つ】を獲得しました』

『称号【いまだ終了(おわ)らぬ夜道を歩く】を獲得しました』

『特殊状態「導きの灯火」を入手しました』

『ユニークシナリオEX「夜闇を祓うは勇気の灯火」を開始しますか? はい いいえ』






閉廷!! 閉っ廷!!!
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