シャングリラ・フロンティア 〜神ゲーのモンスター共を天誅しに参ります〜 作:YY:10-0-1-2
ルーカス・ガルシア。
作戦中は「スケコマシ」の名前で対策を練ったそのゲーマーは一言で言えば「頭脳派」である。
カッツォのような……そう「研究が進めば進むほど強くなる」というタイプらしい。
「なんていうかあれだよね、ギャルゲーのバッドエンドが似合いそう」
「むしろゾンビパニックで中盤くらいに死ぬ二枚目キャラじゃね」
「あー分かる」
なるほど、確かに見えなくは無い。
見上げた先、特大ディスプレイでは夏目とスケコ……ルーカスがキャラクター選択を行なっている。
いわゆるお祭りゲーであるGH:Cでは異なる作品のキャラクター同士が対戦することこそが目玉の一つでもある、だが……今の爆薬分隊は一味違う。
『ルーカス選手、キャラクターは「Dr. サンダルフォン」!』
『前作からの彼の持ちキャラですね、システム周りが大幅に変わったとはいえ、勝手知ったるキャラを選ぶのは彼のプレイスタイル的にもベターな選択でしょう』
「はい私の一勝、これは打ち上げはお寿司で決定かな? んー?」
「この後三勝してやるよ……」
「……まだわかんねーし」
秘密裏に俺とサンラク、永遠の間で行われていた「シルヴィアとアメリア以外のマッチョがなんのキャラを使うか当てゲーム」は幸先の悪いスタートとなってしまった。
頼むぞ残りのマッチョ共……俺をすき焼きへと連れてってくれ……っ!!
『おおっと! 対する夏目選手が選んだキャラはユグドライア!! 同作品のヒーローヴィラン対決だーっ!!』
『前作でならユグドライアがダイアグラム6:4で有利なんでしたっけ? 果たして今作でもその有利を維持できるのか、注目ですね』
実況の聖女ちゃんに負けたアイドルさんは偶然にも! と言った様子でこのマッチングを囃し立てているが、無論偶然でこの組み合わせになったわけではない。
これこそが爆薬分隊 with コスプレイヤーによる戦闘方針「原作再現ロールプレイ」
これまでのスターレインの対戦記録から相手選手がどのキャラクターを選ぶのかを推測し、そのキャラクターのライバルキャラによるカウンターを仕掛ける。
つまりは、その原作での再現をすれば……お祭りにもなるし、時間を引き伸ばせるというユニークな作戦だ。
……俺個人的には、夏目は弱い。カッツォや、スケコマシことルーカスよりも、断然弱い。
彼女自身も分析型のスタイルだが……それでも、下位互換である。
ちなみに、永遠の夏目評価はもっと酷い。
なんだよ「肉食獣の真似をしても魂が草食獣だから食い物にされる」って、人間に対する評価じゃないぞ。
……俺は夏目に三戦三勝をもぎ取っているため、その程度、ということが知れている。
しかし、いまそれは重要であるかどうか……いや、確かに重要なのではあるが。
「ロールプレイ、出来るかねぇ」
「出来るだろ。頑張れば……」
不安げにするな不安げに。
……さて、試合が始まると夏目ことユグドライアが行ったのは、病院に向かい人質を取ることだった。
もちろん、夏目はそんな事しない。では、誰の指示か……?
「いやぁ、流石は
「それを言うなら「病院とかならより邪悪感増すんじゃね?」とか言い出したお主もワルよのうって話じゃない? ねぇマー君?」
俺に振るな俺に。
俺はただ「病院ならアレだよな、動けない患者とかいるもんなぁ」と呟いだけだ。邪悪感を増しさせたのはサンラクだ。
ギャラクシア・ヒーローズ:カオスにおいてモラルなんてものはドブに捨てるべきもの。より悪役らしくよりヒーローらしく……。
曰く、ユグドライアは頭のネジがぶっ飛んでいる系のヴィランであり、ある意味では初心者でも扱いやすく、そしてある意味では上級者ではないと扱えない。
ヴィランといっても単なる敵で終わらないからこそ独特の魅力がある。
悲しい理由があって悪の道へと堕ちた者、悪の道を歩みながらも確固たる信念を抱く者、ただ己の望むままに暴れる者。
その点ユグドライアはどうか? 自分がハッピーになるためならどんな行動も躊躇わない……そんなキャラだ。
「このゲーム、よくできてるよねぇ……ヴィランが有利に見えるけど後半になるほどヒーローが有利になる」
「自発的に長引かせる腹積もりの俺達にとっては最悪じゃねーか」
「それならそれでやりようはあるのだよカボチャ君、そのための
やれやれ、中々にやばいことをおっしゃる……。
それはそれとして、頑張れよ夏目。アンタが時間をかければかけるほど、俺たちの有利に傾く。
「こんなに頑張ってもらって本人はトイレとはねぇ……」
「やはりあのヤローは一度〆るべきでは?」
「シメサバならぬシメカツオってか?」
「「「あっはっはっ」」」
しばらくして知ったのだが、画面の中で突如として始まった凶行を見ながら朗らかに会話するカボチャの傭兵と亡国の女騎士と狐仮面のお爺さんは、それはもう大層不気味がられていたらしい。
き、強キャラ感が出てよかったんじゃない? うん。
さて、場面を戻そう。
『ほ、ほぉーら! 私のために盾になって頂戴ーっ!』
『オイオイ、役作りにしたってやり過ぎじゃあねぇか……!?』
画面の中で、ユグドライアが老人と幼子を触手で絡め取って盾代わりにDr. サンダルフォンの前へ構える。
……うむ、これは……。
「まだ恥じらいが感じられる、60点」
「幼子と老人を人質にしてるのはグッド、75点」
「ツルの使い方をもう少し上手くすれば良かったかな、79点」
『あ、あのー……』
現在進行形で時間稼ぎを試みている夏目をサンラクが発言面から辛口評価し、ペンシルゴンが行動面から高評価、俺が戦闘面から惜しい評価をしていると、笹原エイトがこちらに近づいてくる。
『その、お話聞いてもいいですかー?』
「え? あー……」
「どうぞどうぞ! 謎の助っ人(美しい方)が知ってることならなんでも答えちゃうよー!」
ヒェッ、なんだコイツ……いや、逆にここまでブレないと素直に尊敬したくなるな。
サンラクへと向けられたマイクをひったくるように自分の方へと向けて永遠が朗らかに応える。
『えーと、それでは……夏目選手はどうしてあのような、その、凶悪なプレイングを?』
「ふふふ、それはですねー……我々はこのプレイングこそがギャラクシア・ヒーローズ:カオスにおける
『と、言いますと?』
「このゲームではゲージ……所謂格ゲーにおける必殺技ゲージがあるわけですが、別にそれはただ単純な殴る蹴るやその逆だけで貯まるわけでは───」
もはやどっちが司会進行が分からなくなるような舌の回転ぶりを見せつけて永遠が話している間。
手持ち無沙汰になったらしいサンラクはコスプレ用のヘルメットに仕込まれたギミックを動かして遊ぶことにしたらしい。
そのカボチャヘルメット、首筋のボタンを押すことで顔部分のマスクがスライドする仕組みになっているのか。
へぇ、いいな。それで飯も食えるつぅことか。なんかに使えないか……いやいや、無しだ無し。
カシャンカシャン、カシャッ、ピカーッ!
「んふぅっ!!」
俺は口を開け閉めしていたカボチャがいきなり光りだすという珍妙な光景を見た。
いや、それなら別にだったが、確かにこの耳に笑い声のようなものが聞こえた。
誰だ……
「フ、く、フフフフ……」
お前かよ。
そこには、顔をうつむかせ、ぷるぷると震える……シルヴィア・ゴールドバーグの姿があった。
ふと、サンラクが動く。
ゴソゴソ(ホルスターに無理やり突っ込んでいたエナドリを取り出す)
プシュッ(開封)
ぢゅー……(ストローを挿してエナドリをキメる)
ピカーッ!(発光)
「ぷひゅっ!!」
「…ぶはっ?!」
今度は黒マッチョも釣れたぞ。あんたら真面目に試合見ろ。
Q.どれにしよう?
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ペンシルゴンとマオウガの学祭ランデブー
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外道共との年越し祭り in オンライン
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if 遍葬祭ルートの妄想劇
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幕末正月天誅祭(ポロリもあるよ!)