キノの旅ーthe Another Beforeー   作:時雨 照

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前の話はコレジャナイ感がすごかったので、原作片手に考えました。


持ち込めない国

緑のマットの中に茶色い道が伸びる。

その道から少し離れた場所にモトラド(二輪車のこと。空を飛ばないものだけをさす)があった。そばには人間も一人いた。

二十代前半ほどの外見の男だった。短くて黒い髪、顔つきはどこか子供の様にも大人の様にも見える不思議な雰囲気を醸し出していた。

黒いジャケットを着て、腰を細めのベルトで締めていた。ベルトにはホルスターがついており、ホルスターの中にはシングルアクションのリヴォルバー型のハンド・パースエイダー(パースエイダーは銃器のこと。この場合は拳銃。)が入っていた。

人間は一度リヴォルバーを素早く抜き、またホルスターに戻した。

そのあとまた抜き、今度は十メートルくらい離れた鉄板に狙いを定めハンマーを起こしてから引き金を引く。破裂音が鳴り、鳥が驚いて飛び去る。

「命中。ちょっと上すぎるかな」

モトラドが言った。人間は満足げに頷き、残りの五発を全弾連続で撃った。的に五つの弾痕が残る。

五回金属音が鳴った。硝煙の香りが漂う。

「キノ、別にやっても褒められないしやらなくても怒られないのになんでそこまで練習するんだい?もう身を守るには十分な技術があるじゃないか」

「それはね、エルメス。楽しいからだよ。もちろん身を守るために技術を磨いてはいるけど、それは建前で、本当は楽しいからやってるんだ。だから必要以上にやってる。」

キノはそう言いながら、エジェクターロッドで空薬莢を排出し、また六発の弾を込める。

キノが「ソナタ」と呼ぶハンド・パースエイダーをホルスターに仕舞った。

「さて、行こうかエルメス。」

 門に近づき、入国審査官と目が合う。

「入国の希望の方はあなたとそのモトラドですか?」

「はい、そうです。」

「すみません。この国ではモトラドの持ち込みは禁止されております。反対側の城門にご出国の時に送っておきますので。」

「わかりました。」

「待ってください。パースエイダーの持ち込みも禁止されております。」

「…」

キノは何度も引き留められどんどん身軽になっていく。

「一体どれだけ持ち込めないものがあるのやら」

エルメスが呆れた様に言う。

「待ってください。これが最後の持ち込めないものです。この国では旅人の持ち込みが禁止されております。」

「……」

「……」

「帰ろう、キノ」

キノと入国審査官は、お互い無言のままキノの体重と体積を増やしていった。

その前もその後も、その国に外のものが持ち込まれることは決してなかった。




前からあたためていたヤツです。ギャグよりのオチにしたつもりでしたがシュールですね…ちなみにキノが使っている銃はエジェクターロッドがあることからも分かるとおり、SAAです。
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