キノの旅ーthe Another Beforeー   作:時雨 照

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飢えている国

キノとエルメスは入国審査を終え、城門をくぐりました。

そのあと、一通り国を見て回って宿に入りました。

 シャワーを浴び、キノが「ソナタ」と呼ぶハンド・パースエイダー(パースエイダーは銃器のこと。この場合は拳銃。)を分解して、洗ってまた組み立てました。

その後、宿のサービスについていた夕食をこれでもかと食べ、

そして布団にはいって眠りにつきました。

 次の日の朝、キノは弾を抜いたソナタで抜き撃ちの練習をし、朝食も腹八分目まで食べました。これも宿のサービスです。

宿を出たキノたちは、国の人にはなしかけられました。

 「なぁ、あんた旅人さんだろ?食料を恵んでくれよ!そうだな、異国の料理がいいな。」

キノは唐突すぎて呆気に取られてしまいました。

「な、何か事情があるんですか?」

「事情?そんなの食べ物が欲しいからに決まってるだろ。一応必要最低限はあるけど、他の人はもっといいモンを食べてる。オレもいい食べモンが欲しいんだよ!きっと国のやつらはみんなそう思ってる。」

「でも、僕はあなたとあまり関係が…」

「あぁ〜あ!うまいモンも食えず、旅人にも見捨てられるオレってば可哀想だなぁ!」

キノは言葉を遮られ少しイラつきましたが、抑えました。

「ともかく、そういうことなら他のこの国の人に頼んでください。」

キノはそういうとその人から離れて行きました。

 その日、キノは買い物をしてすぐに宿に戻りました。売り場には食べ物がいたって普通の価格で売られていました。

 次の日、キノはその国の住民の様子を観察することにしました。

街を行き交う人々はそれぞれに食べ物に関する愚痴を溢していましたが、その顔色は至って健康そうでした。

「なんか、みんなちゃんと食べれてそうだけど不満ばっかりだね。池の中のナマズってやつ?」

「井の中の蛙?」

「そうそれ!」

 結局、キノとエルメスはエルメスのタンクに燃料を入れてすぐに国から出て行ってしまいました。

「結局あの人たち、自分が『本当に飢えて』なんかいなかったことに気付かなかったね」

「そうだね。僕たちも持てるものには感謝することにしようか。」

 そうやってキノたちが去った後もその国の人たちが『自分たちが恵まれていること』に気づくことは無く、結局気付いたのは大寒波が襲来して作物が取れなくなり市場にも無くなってしばらくした後のことなのですが、そのことはキノも今の国の人たちも知るよしもありません。

 なので、今日も国の人たちは不満を垂らしながら美味しいご飯を食べました。




今回から自分で「ここだ!」と段落を分けるに相応しいと思ったところにスペースを入れてます。どうですかね。見やすいですかね?
さて、今回の『飢えている国』ですが意外と自分達もこの国の人たちみたいになっているかもしれません。というのも、昨今日本において物価が上昇したりしています。おかげで、食べ物を買うことも以前と比べればよりお金がかかるようになっています。しかし、そもそも食べ物が買える状況ということ自体が恵まれており、それに過度に文句を言うのはお門違いなのでは?というところからこのエピソードが生まれたのです。なにも、「文句を言うな」とは言いません。しかし、食べ物が食べれているという状況が当たり前ではないことを少し思って欲しいなと思います。
さて、少し説教めいたことになってしまいましたが、何はともあれこの話を読んでいただいてありがとうございました。できるだけ執筆は続けます。失踪しないとも言い切れませんが。

                                        時雨 照
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