キノの旅ーthe Another Beforeー 作:時雨 照
青い草の生い茂る草原の真ん中に土でできた道がありました。その上をあまり静かとは言えない音をたてながらモトラド(二輪者のこと。空を飛ばないものだけを指す。)が走っています。
モトラドの運転手は十代後半に見える、腰にホルスターをつけた青年です。
ホルスターの中には、「ソナタ」という名前のシングルアクション式リヴォルバー型ハンド・パースエイダー(銃器のこと。この場合は拳銃を表す)が納まっていました。
モトラドとその運転手はほぼ板に見える城壁を目指して道を進みます。
「キノ、あの城壁の板っぽさからして…」
「ああ、けっこう大きい国だね。」
「どんな国なんだろうねぇ」
「情報が“人によってはおもしろい国”しかないからなぁ、分からないのはエルメスも僕も同じ。」
旅人や商人は城壁を一部分みただけでその国のだいたいの大きさがわかります。超能力とかではなく城壁が、つまり国の面積が大きければ大きいほど城壁は板のように一直線になり、逆に小さければ小さいほど曲がっている部分が多く見えます。
そんなこんなで城壁にたどりついたエルメスとキノは、ほとんどの国がする入国審査–––しかし今回はどこかいつもよりも丁重な気がしました–––を受けて国に入りました。
キノたちが国に入ると、すぐに一人の男性が出迎えてくれました。
「我が国へようこそ旅人さん。この国での滞在をごゆっくりとお楽しみください。」
「この近くに宿はありますか?」
「安い宿をお探しでしたら…」
男性はそう言うとおもむろに地図を取り出し、指ではなく手で指し示しながら
「この通りのここの宿がおすすめです。値段は気にせず快適な宿をお探しでしたらこちらの宿もよろしいかと。」
高い宿と安い宿をキノに紹介しました。今のキノには金銭的な余裕がありましたが…
「では、こちらの宿に行ってみます。」
「びんぼーしょー」
エルメスが茶化しました。
仕方がありません。旅人とはこういうものなのです。
いったい、いつ何があるか分かったものじゃありませんから。
早速キノは宿が近かったのでエルメスを押しながら宿に向かい、そして着きました。
キノはチェックインして部屋に入るとすぐにベッドの前で立ち尽くしました。
「いったい、ぼーっとしてどうしたのさキノ」
「エルメス僕はね、きれいなベットを前にすると無性に眠くなるんだ…」キノはそう言うと、
ベットに入り、あっという間に眠ってしまいました。
その日、キノは夜明けと共に起きました。そして、ソナタの抜き撃ちの練習をしてルームサービスで朝食をとりました。荷物をもってチェックアウトしたのち、道路でエルメスのエンジンをつけようとしたのですが、
「ちょっとあなた、人の目の前でエンジンをつけるのはマナー違反ですよ」
一人の女性に止められてしまいました。しかも、その女性は何やら箱のような物を持っています。
「おや、そうでしたか。それは失礼しましたね。しかし、その手に持っている箱は何ですか?」
キノが
「見てのとおり、罰金箱です。マナー違反をした人にはこの箱に罰金をいれてもらうんです」
「ほう、この国にはそのような文化があるんですね。」
そうキノが返すと、女性は驚いた様子で“あら、旅人さんだったのね。私ったら失礼なことをしたわ”と言いながら罰金箱に自分の硬貨を入れました。
その後キノは必要なものを買い国を出ましたが、その間に見かけた人はみんな箱を持っていましたし、その箱にお金をいれる様子があちらこちらでみられました。
国を出た後で二人はこんな会話をしました。
「ねえキノ、『絶対守らなきゃいけないマナー』と『ルール』の違いってなんだろうね」
「さあ?それは僕には分からないな。でも、マナーは相手を不快にさせないためにあるから、それさえ守っていれば大丈夫じゃないかな。」
「キノはあの人たちはそれを守れていると思う?」
「それも僕にはわからないな、エルメス。それはあの人たちにしかわからないからね。」
時雨照です。今回の『マナーの国』はいつもより結構長めになりましたが、読んでくださっている皆さんとしてはいつもの長さと、今回みたいに少し長いのはどちらが好みですかね?
この話は数日かけて書き上げているのでちょっと文のテイストがところどころ違ったりしているかもしれません。
それでは、ここまで読んでくださりありがとうございました!
『マナーの国』はいつもより長めになりましたが、今後も長めにするかいつも通りにするか
-
いつもの長さ
-
どちらでも良い
-
長め(『マナーの国』程度)
-
超長い(『マナーの国』よりもっと)