ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに! 作:じおじお
ヴィンセントと名乗ったザクのパイロットに頷きで応えつつ、僕も戦闘準備を整える。
相手の混乱が治まる前にドックを制圧しなければと考える僕へと、ヴィンセントは言った。
「クロス、まずはクラッカーで敵を牽制しよう。その隙に俺が突っ込むから、君は上から敵の砲台を狙ってくれ」
「君が囮になるってことかい? 危険じゃないか?」
「大丈夫、なんとかなるさ。合図は俺が出す。さあ、行こう!」
サブウェポンとして用意しておいたクラッカーを取り出し、ヴィンセントの合図に備える。
彼の声に合わせてクラッカーを放り投げれば、敵の前で分裂した小型爆弾が軽微な被害を与えると共に警戒している相手を動揺させ、隙を作ることに成功した。
「今だっ!」
敵の動揺を見て取ったヴィンセントが、肩の盾を前に出しながら突撃する。
僕がバーニアを吹かしてジャンプする中、敵はまず最初に姿を見せたヴィンセントのザクへと砲撃を繰り出してきた。
「ぐっ、ぐうっ!!」
「ヴィンセントっ!!」
砲弾を受ける彼の呻きを聞きながらも、このチャンスを無駄にしてはならないと空中でマシンガンを構える。
既に固定砲台の位置は把握してあった。上から見下ろすようにヴィンセントに夢中になっている相手をロックオンした僕は、引き金を引いて次々と敵を撃ち抜いていく。
一つ、二つ、三つ……と、ドック内に設置してあった砲台を全て撃破した後で残る61式戦車を射撃しながら、僕はヴィンセントへと呼びかける。
「ヴィンセント、無事か!?」
「ああ、シールドで受けたからダメージはほとんどない! 問題なく、戦闘は続行できる!!」
言うが早いが、マシンガンを発射して戦車を撃ち抜いたヴィンセントが前に出る。
彼が無事であったことを喜びつつ、並んで敵を撃破していった僕は、レーダーに敵の反応がなくなったことを確認して銃を下ろした。
「内部の敵は全て撃破できたかな?」
「ああ……だが、安心はできない。航空戦力も残ってるだろうし、戦車が入ってくる可能性もある」
目に見える範囲の敵が消えても気を抜かないヴィンセントに頼もしさを感じつつ、いつ敵と遭遇しても大丈夫なようにマシンガンの弾倉を交換する。
ヴィンセントも同じく警戒態勢を取っていたが、通信機から響いた声を聞いて、その動きを止めた。
「こちらシュナイド、ドック周辺の敵は排除した。そちらも内部の制圧に成功したようだな」
「シュナイド隊長!」
ドック内に歩いてきたS型……指揮官用ザクの姿を目にしたヴィンセントがそのパイロットと思わしき人物の名前を呼ぶ。
多分、この人がマルコシアス隊の総隊長なんだろうな~と考えている僕の前で、二人は話をし始めた。
「ギーは、F小隊のみんなは無事なんですか?」
「ああ、機体はダメージを受けたが、本人に大した負傷はない。焦りは禁物だと、いい教訓になったはずだ」
「そうですか、良かった……」
ヴィンセントのその言葉に、僕は少しほっとした。
マルコシアス隊も僕たちと同じく、部隊員たちは戦功を競うライバルではあるが……しっかりと仲間と認識し、その身を案じる人間もいることがわかったからだ。
ヘンリーが死んでも笑い飛ばしていたガスのような人間も所属しているのだろうが、ヴィンセントのような良識のある人物がいることが知れて良かったと思う僕へと、シュナイド隊長が声をかけてくる。
「君も、よくやってくれた。サブナック隊の隊員だな? 名前は?」
「じ、自分は、クロス・レオンハート軍曹であります!」
「そうか。目覚ましい活躍だったぞ、クロス。ヴィンセントもだが、初めて顔を合わせた者同士とは思えない連携だった」
「彼の操縦技術が素晴らしいからですよ、隊長。俺は合わせてもらっていた側なので、大したことはしていません」
「いえ、ヴィンセントの指示は的確でした。危険な囮役も率先して引き受けてくれましたし、僕が活躍していたとしたら、それはヴィンセントのおかげです」
「ははっ……! 手柄を譲り合うとは、特別競合部隊の人間とは思えないな。だが、そういう助け合いの精神がなくては戦いには勝てない。F小隊とレッド小隊がそうであったように、仲間との連携なくして勝利はないということを肝に銘じておけ」
「「はいっ!」」
大人としての頼り甲斐と落ち着きを同居させているシュナイド隊長の言葉に、僕はヴィンセントと共に返事をする。
ヨハンソン大尉もいい隊長だけど、この人の下で戦うのも悪くはなかったかもな……と考えたところで、撤退命令が届いた。
「申し訳ありません。隊長から命令が届きましたので、自分はサブナック隊と合流させていただきます」
「ああ、ヨハンソン大尉によろしくな」
「クロス、君のおかげで助かったよ。また一緒に戦うことがあったら、その時はよろしく頼む」
「こちらこそ。お互いに生き延びような、ヴィンセント」
信頼に足る戦友と上官との出会いに喜びを感じながら、僕はドックを後にすべくザクを動かした。
その途中、不意にシュナイド隊長が僕に声をかけてくる。
「レオンハート軍曹、一つ聞かせてもらいたいことがあるんだが……」
「は、はい? なんでしょうか?」
「お前は、何色が好きだ?」
「は……?」
……唐突に投げかけられたシュナイド隊長からの言葉に、僕は困惑しながら答えを返す。
僕がこの質問の意味を理解するのは、およそ一か月後のことだ。
いつの間にかお気に入り件数が500を超えていました。
読んでくださってありがとうございます。
今は一日に二回投稿できているのですが、その内ストックと体力が尽きてそれもできなくなると思います。
アンケートを用意しておくので、大体何時ごろに投稿したら読みやすいかを教えていただけると嬉しいです。
何時に投稿してもらいたい?
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