ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに! 作:じおじお
(G型ザク、すごい機体だった。F型とは比べ物にならないどころか、完全に別物だ……!!)
その日の夜、ベッドに寝転んだ僕は未だ冷めない興奮を抱えながら試運転の感触を何度も振り返っていた。
僕専用のMSである陸戦高機動型ザクの性能はとんでもないの一言で、これまで乗ってきた機体を大きく超えるスペックを有している。
陸戦用にチューンアップされたJ型ザクをさらに改造し、脚部に補助スラスターを増設したおかげでこれまで以上の運動性を手に入れたこのザクは、高機動型の名に相応しい機動性を見せてくれた。
武装に関しては通常のザクとほぼ共通らしいが、機体と同じく実戦でデータを取ってほしい物として新型のザクマシンガンも用意されている。
こちらは通常のマシンガンと比較して連射速度は落ちたが、代わりに威力を大幅に上げた武装とのことだ。
(多分、上層部も連邦がMSを開発し始めたことを予測して、対MS戦闘について考え始めたんだろうな……)
昼間、ヨハンソン隊長は「G型ザクは今後の重力戦線を支える新型MSの技術を流用して開発した」と言っていた。おそらくだが、その新型MSはグフだろう。
戦車や戦闘機ではなく、明確に連邦のMSを相手取る構想の下に開発されたグフとG型ザクは似ている部分が多くある。
ブレードアンテナとか肩のスパイクがそうだよなと思いながら、きっともう連邦は『V作戦』を発令しているんだろうなと考えたところで、僕はベッドから抜け出すと机の上に置いておいた手紙を手に取る。
「マイ中尉、元気そうで良かったな……」
それはG型ザクと一緒に届いた、『第603技術試験隊』からの手紙……マイ中尉が書いてくれた、近況報告のようなものだ。
そこには僕がサブナック隊に戻ってからも『第603技術試験隊』は幾つかの兵器の試験を担当したことや、プロホノウ艦長とキャデラック特務大尉も元気にしていること、そして一時的に僕が隊に所属していた縁もあって、陸戦高機動型ザクの技術試験を担当することになったということが書かれていた。
そういった報告の他にも僕の活躍を喜んでいることや、パーソナルマークを喜んでもらえると嬉しいといったことにこの新型ザクが僕の力になってくれることを祈っているというマイ中尉個人の感想のようなものも記されていて、読んでいると少し心が温かくなる。
そして、何よりも嬉しいことに、追伸の部分にはこんなことが書かれていた。
『実は近々、僕も地球に降りて技術試験を行うことになった。北米大陸に降りる予定だから、もしかしたら君と会えるかもしれない。もしも久々に再会できたとしたら、ゆっくり話をしよう。オリヴァー・マイより』
「マイ中尉、地球に降りるのか……僕も休暇中だし、会えるといいな……」
多分、これは一時的なものだろう。オデッサ作戦の頃にはマイ中尉は宇宙にいるということを、ヅダのエピソードを見た僕は知っている。
それでも、お世話になった人とまた会えるかもしれないという期待に胸を膨らませた僕は、手紙をしまうと再びベッドに潜り込んだ。
(それにしても、今回はどの兵器の試験をするんだろう? 僕の知らない兵器とかかな……?)
心地良い眠気がこみ上げてきていることを感じながら、僕はそんなことを考える。
地上用兵器であることは間違いないのだろうが、マイ中尉たちは今回はどんなとんでも兵器の試験を担当しようとしているのだろうか?
なんだかちょっと知っているような気がするぞと記憶の書庫を漁った僕は、答えに辿り着くと共にうんうんと頷く。
(ああ、ヒルドルブか! 確かにあれは地上じゃないと試験できないもんな~!)
ヒルドルブ……MSでもMAでもない、戦車とMSを合体させたモビルタンクと呼ばれる特殊なカテゴリに属する機動兵器。
『MS IGLOO』において、ヅダと並んで高い知名度を誇る機体で、僕もその活躍に関してはある程度知っていた。
(そうだ、そうだ。中尉はキャデラック特務大尉と一緒にコムサイで地球に降下して、それで……)
確か、お話の中ではマイ中尉はヒルドルブのパイロットとキャデラック特務大尉と一緒にコムサイで地球に降下する。
それで確か、その後は……その、後は――
「……あああああああっ! ヤバいことになるじゃないかっ!!」
――それを思い出した瞬間、僕の中から眠気が吹き飛んだ。
大声で叫びながら飛び上がった僕は、落ち着かない気分を抱えたまま、うろうろと狭い部屋の中を歩き始める。
そうだ、そうだった。ヒルドルブと一緒に地球に降下したマイ中尉であったが、コムサイはその途中で攻撃を受けて撃墜されてしまう。
犯人は鹵獲したザクで構成されている連邦の部隊で、ヒルドルブは彼らと激戦を繰り広げることになるのだ。
コムサイは不時着し、マイ中尉とキャディラック特務大尉は無事に生還するが……ヒルドルブのパイロットは、連邦の部隊と相討ちになってしまったはず。
そのことを思い出した僕は、マイ中尉たちに危険が迫っていることを知り、自分がどうするべきかを必死に考える。
(お話通りに進むなら、放っておいてもマイ中尉たちは死なないで済む。だけど、ヒルドルブのパイロットは……)
下手に介入すれば、歴史を変えてしまう危険性はある。
僕が割って入ったことで逆にマイ中尉達の命を危険に晒すことになるかもしれないし、そうなったら本末転倒だ。
だけど……僕が介入することで、救える命があるかもしれない。
ヘンメ大尉の時には、僕は力がなかった。だけど、今の僕には……陸戦高機動型ザクという大きな力がある。
この力があれば、戦争の結果は変えられないかもしれないが、そこで失われる命の数を減らすことができるかもしれない。そう思った時、僕の決意は固まった。
(明日、ヨハンソン隊長に相談してみよう。上手いこと許可が貰えるように、話を考えておかないと……)
もう多分、今日は眠れない。だったら、ヒルドルブの技術試験に介入できる方法を考えた方がいい。
その第一条件であるヨハンソン隊長からの許可をもらうため、僕は必死に明日、彼女にする話の内容を考えていった。
日間一位になっててびっくり。本当にありがとうございます。
とても嬉しい。それ以外の言葉が出てきません。
あの本当にびっくりなんですけど、一日でブックマークがすごい増えててびっくりびっくりしてます。
ありがとうございます。語彙力消滅するです。
感想で【ガンダムブレイカーで専用ザク再現できそうだね!】という声を頂いて、確かに!となったので拙い技術で作ってみました。
格納庫で専用機と対面したクロスの視点って感じで、何でも許せる方は見てみてください。
【挿絵表示】