ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに!   作:じおじお

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ノイジー・フェアリー

「あれか! 状況はどうなってる!?」

 

「敵は三! 撃ち合ってて、こっちはパーシーのザクが小破状態っぽい!」

 

 オリバーからの通信を受けた僕たちは、すぐさま戦闘が行われているポイントまで移動した。

 現地に到着したところで目にしたのは、グリーン小隊と戦う三機のザクだ。

 

 全機が薄紫と白に塗装されているそのザクたちは、それ以外にもそれぞれが大幅な改造が施されている。

 

 一番後方に控えるザクはスナイパータイプとしてカスタムされているようで、逆T字型のモノアイや巨大な狙撃用ライフルが特徴的だ。

 同じく後方担当と思わしきもう一機のザクは肩にガトリング砲を取り付けており、本来は肩に装着されているはずのシールドを手の甲に装備している。

 

 そして一番前に出ているザクは……驚くべきことに、僕のG型ザクをカスタムしたものだ。

 バーニアが増設された脚部もそうだが、グフと同じスパイクアーマーを装備した肩部や額のアンテナなど、見慣れた装備がたくさんある。

 ただ、それに加えてヒートサーベルだったり、ザクのものより大口径のバズーカだったりと、試作機としての側面が強い僕のG型ザクよりもカスタム具合が強められていることがわかった。

 

「どうするの、クロス!? 指示を出して!」

 

 薄紫色のザクたちを相手に、グリーン小隊は苦戦している。

 パーシーのザクは被弾しているし、ガスのグフはやっぱりスタンドプレー気味に動いているし、そんな二人を指揮するオリバーもてんやわんやだ。

 

 そんな状況を目の当たりにしたリリアとアクセルが指示を求めてきたが……僕は、二人に命令を出すことはしなかった。

 代わりに武装をバズーカに持ち替えると、戦闘領域の上空目掛けてそれを発射する。

 

 大きな爆発音を耳にした六機のMSたちは動きを止めると、バズーカを発射した僕の方を向いた。

 そのタイミングを見計らい、僕はオープンチャンネルで呼びかける。

 

「こちら、宇宙突撃軍第二特別競合部隊・サブナック隊ホワイト小隊隊長のクロス・レオンハート。双方、すぐに戦闘を止めてください。繰り返します、双方、すぐに戦闘を停止してください」

 

「クロス! お前、何を言ってるんだ!? こっちは攻撃を受けたんだぞ!?」

 

「そうだ! こいつらが連邦のザク部隊だ!! ぶっ潰さないでどうするんだよ!?」

 

 かなり頭に血が上っているオリバーとガスからの返答に、頭を抱えながらため息を吐く。

 武器をしまいながら彼らへと近付いた僕は、動きを止めている薄紫色のザクたちを見やりながら二人へと言った。

 

「落ち着けよ、二人とも。襲撃を生き延びた兵士からの報告だと、連邦のザクはこんな目立つ機体じゃなかった。彼らは鹵獲部隊なんかじゃない」

 

「あっ……!?」

 

 そこでオリバーも冷静になれたのだろう。報告との矛盾を認識すると、僕が言っていることは正しいと理解してくれたようだ。

 ガスはまだ何か言いたそうではあったが、その前に別のところからの通信が入る。

 

「橙色のザク、聞こえているか?」

 

「は、はい。聞こえています」

 

 急に入った女性からの通信に驚きながらも、返事をする。

 冷静な雰囲気を感じさせる声の相手は僕に対し、こう続けてきた。

 

「第二特別競合部隊・サブナック隊と言ったな? キャリフォルニア・ベースに配属されている部隊のはずだが、どうしてこんな場所にいる?」

 

「鹵獲したザクを使い、友軍を騙し討ちしているという連邦軍の部隊を捜索するためです。この付近に痕跡を発見したので、調査をしていたのですが……」

 

「鹵獲したザクって、もしかして……あ、あれのこと?」

 

 僕の話を遮るように、G型ザクのパイロットと思わしき女性の声が響く。

 女の子が指揮官機に乗っているのかと驚く僕の前で、彼女は付近に倒れている大破したザクを指差してみせた。

 

「私たちもこの近辺に所属不明機が接近しているという話を聞いて、確認のために出撃したんです。そこのザクは司令部からの通信を無視した上、接触を図ろうとした私たちを急に攻撃してきたので、敵と判断して迎撃したんですけど……」

 

「なんとか倒したと思ったら、今度はそっちの三機が飛び出してきてな。新手だと思って迎撃してたってわけだ」

 

「げっ……!? お前ら、全員女なのかよ……!?」

 

「だったら何か悪いってか? 女相手に苦戦してたくせによ」

 

「このっ、生意気なことをっ!!」

 

「止めろ、ガス。性別とか、今はどうだっていいだろ」

 

 少しずつ、話が見えてきた。

 この薄紫色のザクたちが連邦軍の鹵獲ザク部隊の一機と遭遇し、撃破したタイミングで、戦闘の物音を聞いたガスたちが駆けつけたということなのだろう。

 

 そこから双方誤解の末に戦闘が始まってしまったのだと、流れを理解した僕へとガトリングを装備したザクのパイロットが言う。

 

「申し遅れました。私たちは通称『ノイジー・フェアリー隊』。あなた方と同じ、キシリア様直属の部隊です」

 

「ノイジー・フェアリー……? 聞いたことがないな……」

 

「あはは……実はその、存在が秘匿されてる部隊ってやつでして……しかも私たち、これが初陣なんです。だから色々テンパっちゃって、本当にごめんなさい!」

 

 『ノイジー・フェアリー隊』……聞いたことがあるような、ないような部隊だが、確信していることがある。

 この人たちは絶対、何らかの形でガンダムシリーズに登場している。女の子だけで構成された部隊だなんて、そんな美味しい存在がオリジナルで湧いてくるはずがない。

 

 っていうかこの部隊もキシリア様の直属部隊なのか? マルコシアスにサブナック、ついでにフェアリーって、流石に多過ぎない?

 なんかある意味、キシリア様も公式の犠牲者な気がしてきた僕であったが、げんなりしているところにガスの苛立った声が響いてきた。

 

「なんだよ、テンパった新兵のやらかしかよ……!! いきなり仕掛けてきやがって、驚かせやがってよ……!!」

 

「はぁ? 先に仕掛けてきたのはそっちだろ!? マゼラトップ砲で攻撃してきたじゃねえか!」

 

「何言ってんだ!? 俺たちの誰が、マゼラトップ砲を装備してるってんだよ? 責任転嫁もいい加減にしろって!」

 

「え? あ……っ! で、でも、確かに……」

 

 ガスの言葉に反論したスナイパータイプのザクのパイロットであったが、グリーン小隊の誰もマゼラトップ砲を装備していないことに気付き、勢いを失う。

 この流れに違和感を抱いた僕が彼女たちが陣取っていた方角を確認すれば、確かにマゼラトップ砲が着弾した痕跡が見て取れた。

 

(誰かがマゼラトップ砲を撃ったことは間違いない。だけど、グリーン小隊の装備にマゼラトップ砲は……じゃあ、誰が――っ!!)

 

 現場の状況と証言の食い違いに違和感を抱いたのと、迫るプレッシャーに気付いたのはほぼ同時だった。

 ザクを動かし、そのプレッシャーに対応した瞬間、二つの声が別々に響く。

 

「敵襲! 後ろだっ!!」

 

「ミアっ! 危ないっ!!」

 

 ガトリングのザクを狙って放たれたマゼラトップ砲を、肩のシールドで受けて庇う。

 そのまま反撃をしようとした時には、既にマシンガンを発射していたリリアによって隠れていたザクの腕が吹き飛ばされていた。

 

「ミア、大丈夫!?」

 

「わ、私は平気です。この方が庇ってくださいましたから……あ、あの、ありがとうございます……!」

 

「お礼は後でいい! どうやら、僕たちはまんまと罠に引っ掛かったみたいだ!」

 

 敵は既にこの近くに布陣していた。そして、味方を倒したノイジー・フェアリー隊とグリーン小隊が鉢合わせになったのを見て、同士討ちを誘発するために隠れて攻撃を仕掛けたのだ。

 双方が戦い、状況を把握している間に、探していた敵の部隊は僕たちを取り囲んでいた。

 

「オリバー! 機体の状態は!?」

 

「僕とガスはまだやれる! だけど、パーシーのザクは……!!」

 

「ちっ……! この程度の連中、俺が一人で蹴散らしてやる!」

 

「待て、ガス! 迂闊だぞっ!!」

 

 ガスがグフのバーニアを吹かし、片腕を失ったザクへと突撃する。

 ヒートサーベルを標的目掛けて振り下ろそうとしたガスであったが、その直前にバズーカが飛んできたではないか。

 

「ぐっ! ぐあっ!?」

 

 どうにか反応し、シールドで直撃は防いだガスであったが、爆発の衝撃によってグフの動きを止めてしまう。

 その間にザクは退避し……代わりに、指揮官用のザクがヒートホークを手に突っ込んできた。

 

「危ないっ!!」

 

 ガスに続いて飛び出していた僕が、ヒートホークで指揮官用ザクの攻撃を受け止める。

 バチバチと赤熱した刃同士がぶつかり合うことで火花が弾ける中、相手の声がコックピットに響いてきた。

 

「探したぞ、黄昏!」

 

「っっ!? この、声は……!!」

 

 指揮官ザクのパイロットの声を耳にした僕は、感じていた予感が的中したことに言葉を詰まらせる。

 ヒートホークを弾き、後方へと撤退した指揮官用ザクは、部下と思わしき複数のザクや61式戦車と共に陣形を組み、こちらを包囲すると共に、唸るような声で言った。

 

「黄昏の大蛇……アリゾナ砂漠で死んでいった部下たちの仇、取らせてもらうぞ!!」

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