ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに!   作:じおじお

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再会、因縁の相手!

「アリゾナ砂漠……! やはり、お前は……っ!!」

 

 本来ならば、ソンネン少佐とあの砂漠で相討ちになるはずだった鹵獲ザク部隊の隊長。

 ザクの上半身を吹き飛ばし、倒したと思っていたその男が……生きていた。

 

 はっきりとした理由はわからない。だが、これは()()()()というもののように思える。

 少佐が生きているのならば、彼と相討ちになって果てるはずのこの男も生きていなければならない……そういう運命の力が働いたのだろう。

 

 そして奴は、僕への憎しみを燃え上がらせ続けていた。あの場で死んだ部下たちの仇を取るために生きてきた。

 その結果が、アリゾナ砂漠の時の数を超えるこの部隊だと……五か六小隊を超える数のザクたちを見ながら、僕は舌打ちを鳴らす。

 

「あの日、お前とデカブツに殺された部下たちの仇だ! 覚悟しろ、黄昏っっ!!」

 

 ヒートホークで斬りかかってくる隊長機を迎え撃ち、刃を刃で受け止める。

 向こうはそうやって隊長が作り出した隙を狙って別のザクが攻撃を仕掛けようとしていたが、飛んできたバズーカの弾丸がそのザクを木っ端微塵に粉砕した。

 

「クロス! やっぱり、こいつら……!!」

 

「あの時の生き残りが隊を再編成したのか! しかし、練度にバラつきがある!」

 

 僕をカバーするように駆け付けたリリアとアクセルが、61式戦車を撃破する。

 マシンガンを連射して攻撃を続ける二人の言う通り、敵の小隊には戦力のバラつきが見て取れた。

 

(ザクが三機と戦車が一台の編成は変わらない。だけど、機体やパイロットの腕前に差がある!)

 

 あのアリゾナ砂漠で死んだザク部隊の隊員は、上澄みだ。この隊長の下で作戦に従事し続け、経験や知識を蓄積した精鋭だった。

 しかし、今、相対しているこの連中は違う。まだ彼らほど技術が培われていないし、乗っている機体も陸戦仕様ではないF型や旧ザクも紛れている。

 

 問題は数と、優秀な指揮官の存在かと考える僕の耳に、凛々しい声が響いた。

 

「橙色! 射線を空けてくれ!!」

 

「っっ!!」

 

 その言葉に反応した僕がスラスターを吹かして後退れば、その直後に飛んできた弾丸が一機のザクを貫いた。

 迫るザクたちを迎撃するように薄紫色のG型ザクが突撃し、その背後をガトリングのザクが弾丸をバラ撒きながら追従していく。

 

「こちらフェアリーリーダー! サブナック隊の皆さんを援護します!」

 

「数は多いけど、MSの性能も扱いもこちらが上のはず! だったら……!!」

 

「援護射撃は任せろ! 連邦の卑怯者どもを、ぶちのめしてやれ!!」

 

「フェアリーリーダー、こちらクロス。援護に感謝する! 協力して、この状況を打開しよう!」

 

 アリゾナ砂漠の時と変わらない。相手は不意打ちばかりでMS戦をそこまで経験していないのだから、その部分は僕たちの方が上だ。

 ノイジー・フェアリー隊は初陣だが、彼女たちを差し引いても僕たちの戦力は連邦の部隊を軽く凌駕しているはず。

 

 その証拠に、オリバーは動きが鈍いパーシーのザクを護衛しつつ、援護射撃を繰り返して敵を寄せ付けていないし、ガスも連携こそできなくともグフの性能を活かして地上戦用に改修されていないザクを撃破している。

 リリアとアクセルは言うまでもなく、的確に敵の連携を潰しつつ、戦力を削っていた。

 

「フェデリコ隊長! こいつら、想像以上に強い……ぐああっ!!」

 

「ハイマン! くそっ! よくもぉぉっ!!」

 

(こいつ、冷静じゃない! 今なら……やれる!)

 

 フェデリコと呼ばれた隊長は、部下の仇である僕と再会して頭に血が上っている。

 相手の連携が微妙に上手くいっていないのも、そこに原因があるのかもしれない。

 

 ならば……ここが最大のチャンスだ。

 ここで奴を仕留め、アリゾナ砂漠から続く因縁も終わらせると覚悟を決めた僕は、怒り狂いながらヒートホークを振り上げる隊長機のザクへと突っ込んでいく。

 

「死ねっ! 黄昏ぇぇぇっ!!」

 

(ここだっ!!)

 

 接敵した際に一回、先ほどの攻撃でもう一回。計二回、僕はフェデリコの近接攻撃をヒートホークで防御している。

 彼の頭の中には、そのイメージがこびり付いているだろう。ほぼ間違いなく、奴はまた僕が攻撃を防ぎにくると考えているはずだ。

 

 だから、その予想を裏切る。攻撃は、受け止めない。

 スラスターを吹かして急速に距離を詰めた僕は、すれ違い様に逆手に持った斧を振るい、指揮官機にカウンター攻撃を仕掛けた。

 

「何ッ!?」

 

 振り上げた腕を振り下ろして攻撃するより、こっちの方が断然速い。

 予想通り、僕が攻撃を防ぐと考えていたであろうフェデリコは自分の攻撃を恐れない僕の動きに驚愕し、即座に回避運動を取ろうとする。

 

 しかし、遅い。この速度なら、回避するよりも早く僕のヒートホークが奴を切り裂くはずだ。

 加速すると共に腕を振り抜き、一気にフェデリコを仕留めるべくザクを操る僕は、確実な勝利を確信したのだが……?

 

「えっ!?」

 

 ……僕のザクは、想定通りの動きをしてくれなかった。

 動きがわずかに遅れ、その遅れの間に回避運動を取ったフェデリコのザクはすれすれのところでコックピットへの攻撃を避け、代わりにヒートホークを持っていた腕が溶断される。

 

 バチッ、バチッ、と切り落とされた肩部から火花を散らす隻腕の指揮官用は、そこで冷静になり、自機の損傷と仲間たちの被害の重さを把握したようだ。

 

「まだ勝てん……! このザクでは、奴らの技術に頼っているようでは、あいつには勝てん……!!」

 

「フェデリコ隊長、退却を!」

 

「こちらの被害が大きくなっています! ここは退きましょう!!」

 

 オープンチャンネルに響く連邦兵の声は、まだ若い男女のものだった。

 もしかしたら僕たちと同じ年頃のパイロットがあのザクを操っているのかも……と考えている間に、フェデリコは撤退を宣言する。

 

「総員、撤退だ! ここは退く!」

 

「馬鹿野郎! 逃がすわけねえだろうが!!」

 

 堂々と撤退を宣言した連邦軍を追撃しようとするガスであったが、その視界が突然出現した煙幕によって遮られた。

 スモークによる攪乱だと、そう理解した僕の耳にガスとフェアリーリーダーの声が聞こえてくる。

 

「くそっ! 逃がすかよ!! って、うおおおおおっ!?」

 

「わわっ!? わ~っ!!」

 

 その通信の直後、何かすごい音が響いた。

 煙幕が消え、晴れた視界の中で僕たちの目に映ったのは、地面に倒れ伏すグフと同じく地面に倒れるG型ザクの姿だ。

 

「フェアリーリーダー! 大丈夫ですか!?」

 

「だ、大丈夫! 突然、突っ込んできたから驚いただけで、ギリギリ回避できたから……!」

 

「ぐぅぅぅ……っ! チクショウ! 邪魔な場所に突っ立ってんじゃねえよ、女ぁ!!」

 

「ガス、今のはお前が悪い。視界が悪い状況でフルスピードで動いたら、友軍にぶつかる危険があるだなんて子供にだってわかるだろうに」

 

「むしろ回避してもらったことに感謝しろよ。そうじゃなかったら、お前のグフもタダじゃ済まなかったかもしれないんだぞ?」

 

 多分、ザクと比較して重装甲なMSであるグフは被害が小さかっただろうが、フェアリーリーダーの方はそうじゃない。

 フルスピードのグフに突撃されたら、それだけで機体が破壊されるかもしれなかったのだから、避けてもらえたのは本当にラッキーだ。

 

 しかし、もたもたしている間にフェデリコたちには逃げられてしまった。

 こっちのザクが妙な動きをしなければ仕留められたはずなのに……と、倒せた相手を取り逃してしまったことに、僕は舌打ちを鳴らす。

 

「くそっ……! ザクの動作がいつも通りだったら、あいつを倒せたはずだったのに……!!」

 

「マシントラブルか? 確かに、最後の近接戦闘の時、普段よりも動きが鈍く見えたな」

 

「も、もしかして、私を庇った時のダメージでザクの動きに影響が出てしまったんじゃ……!?」

 

 考えられる中で最も可能性が高いのはそれだ。

 完璧に防いだと思ったが、精密機械であるMSはあの衝撃でどこか不調を起こしてしまったのかもしれない。

 

 しかし、だからといってガトリング砲のザクを見捨てれば良かっただなんて思わないし、その選択を後悔なんてしていない。

 ただ、フェデリコを逃してしまったことで、今度はより精強な部隊を率いる彼と戦う未来を見た僕は、千載一遇の好機を逃したことに悔しさを募らせていた。

 

「すまない、クロス。僕たちが万全な状態だったら、奴を倒せていたはずなのに……」

 

「……仕方がないさ。敵に囲まれた状態から全員が無事に生き残れただけでも良しとしようよ」

 

 オリバーはそう謝罪したが、彼の責任ではない。

 頭に血が上ってはいたが、やはりフェデリコは戦巧者だ。もしも彼が使うMSが鹵獲したザクではなく、連邦製のMSだったら……あるいは、彼がもっと部下たちの育成に時間をかけられていたら、かなり危ないことになっていた。

 

 奴の部下は大勢撃破したが、根幹となるフェデリコは残ってしまっている。

 これからも、彼の下で経験を積んだ優秀なMSパイロットが輩出され続けると考えると、その存在は脅威でしかなかった。

 

 できることならば、ここで倒しておきたかった……と、改めて僕が考える中、フェアリーリーダーからの通信が入る。

 

「あの、ちょっとよろしいでしょうか!?」

 

 戦いの緊張感からは解放されているが、また別の緊張を感じるその声に僕たちが耳を傾ける中、彼女は驚くべきことを言ってきた。

 

「サブナック隊の皆さんさえよろしければ、私たちの拠点に来ていただけませんか!? そこで機体の整備をさせていただきますので!」

 

「えっ……? い、いいのかい?」

 

「そちらは極秘部隊なんだろう? 友軍とはいえ、我々に拠点の位置を伝えてしまっても大丈夫なのか?」

 

「正直ダメだと思うし、今も結構怒られちゃったんですけど……ちゃんと許可はもらえましたよ! だから、大丈夫です!」

 

「G型ザクがダメージを受けたのは、私のせいです。異変の調査も含めて、私たちに任せていただけないでしょうか?」

 

「一応、こっちにはG型の予備パーツもある。手酷くやられたザクもいるみたいだし、このままじゃ任務を続けることもできないだろ?」

 

「補給と修理のため、ってことで……どうでしょうか?」

 

 どうと言われても、僕たちとしては願ってもない申し出だ。

 パーシーのザクはダメージがひどいし、彼も怪我を負っている。みんなの機体も少なからず消耗しているわけで、僕のザクの不調の原因も調べられるなら早めに突き止めてしまいたい。

 

 というわけで、ありがたくその申し出を受けることにした僕たちは、近くにあるというノイジー・フェアリー隊の拠点に向け、彼女たちの案内を受けながら移動していくのであった。

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