ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに!   作:じおじお

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妖精たちの住処・ティルナノーグ

「な、なんだ、ここ……!?」

 

 ノイジー・フェアリー隊の拠点基地は、戦場からそう離れていない場所にあった。

 鹵獲ザク部隊を迎撃するために出撃したのは、この場所を掴ませないためだったのかと考える僕であったが、驚くべきはこの基地の雰囲気だ。

 

 きちんと設備こそ整っているが、外見はほぼ屋敷。

 軍事用基地といった雰囲気をほとんど感じさせないその様子は、人里離れた森の中に金持ちが用意した別荘としか思えない。

 

 ……いや、もっと正しい表現があった。

 ここは、()()()だ。

 

 右を見ても、左を見ても、女性ばかり。お嬢様学校の学生寮を思わせる雰囲気の中、たった五名の男である僕たちは気まずい思いをしていた。

 

「こんな部隊が存在していたとはな……驚きだ、としか言いようがない」

 

「けっ! 気に入らねえな。戦争してるって雰囲気がまるでねえじゃねえか」

 

 アクセルですら微妙に困惑しているし、ガスはやっぱり不満と苛立ちを抱えている。

 ジオン(連邦もか?)って割と男尊女卑の意識が根付いてるよな~……と考える中、ブリーフィングルームに通された僕たちの前に五名の女性たちが姿を現した。

 

「あなたたちがサブナック隊のメンバーね? さっきはごめんなさい。うちの子たちが迷惑をかけたわね」

 

「迷惑だなんて、そんな。敵部隊との戦闘では的確に援護してくれましたし、本当に頼もしかったです。こちらこそ、敵の策略だったとはいえ、確認不足で友軍同士の戦闘を引き起こすことになってしまい、申し訳ありませんでした」

 

 そう言ってきたのは、緩いウェーブがかかった長い金髪の女性だった。

 ヨハンソン隊長にも負けず劣らずの美人である彼女に微笑まれた瞬間、ガスでさえも少しドキッとしてしまったようだ。

 

「敵鹵獲部隊との戦闘に手を貸してくださったこと、感謝します。今回はその恩やシュティルナー少尉とブリンクマン技術少尉の申し出もあってあなたがたをここに招待しましたが……本来、このティルナノーグの存在はノイジー・フェアリー隊と合わせて極秘となっていることをお忘れなく」

 

 続けて、ひっつめ髪のやや厳格な雰囲気を醸し出している黒髪の女性が口を開く。(こちらもタイプは違うが金髪の女性同様に美人だった)

 立ち位置や着ている軍服から察するに、金髪の美女がこの基地の責任者で、黒髪の女性は副官といったところかな……と考えていたところで、金髪の女性が自己紹介をしてくれた。

 

「改めて、あなたたちを歓迎するわ。私はキリー・ギャレット。ノイジー・フェアリー隊の指揮官兼このティルナノーグの司令官ってところかしら。こっちの子はバルバラ・ハハリ中尉、副隊長よ」

 

「キリー・ギャレット……!? まさかあの、キラー・ハーピー!?」

 

「知ってるのか、オリバー?」

 

「むしろなんでお前は知らないんだよ、クロス!? キリー・ギャレット少佐といえば、キャリフォルニア・ベースの防衛隊長を務めていた方じゃないか! その職を辞してからはどこで何をしてるかわからなかったけど、まさかこんな近くで極秘部隊の指揮を執っていただなんて……!!」

 

 そうだったんだ……と仲間たちを見回してみたら、ガスですら彼女のことを知っているようだった。

 僕はガス以下か……とがっくり肩を落とす中、そんな僕に代わってアクセルが口を開く。

 

「ギャレット少佐、お会いできて光栄です。機体の整備もそうですが、シャワーも貸していただけて助かりました」

 

「ここは女性だらけだし、あなたたちにも身綺麗にしてもらわないといけなかったからね。それと、この子たちにも自己紹介してもらわないと」

 

 荷物の中に普段着用の軍服を入れておいて良かったと思いながら顔を上げた僕は、ギャレット少佐に促されて前に出た三名の女性……いや、少女たちの姿を目にする。

 やや緊張気味ではあるが、ビシッと敬礼をした女の子たちは、順番に僕たちへと挨拶をしてくれた。

 

「は、はじめまして! フェアリーリーダー、アルマ・シュティルナー少尉です! さっきはすいませんでした! それと、助かりました!」

 

 最初に口を開いたのは、闊達な雰囲気がある赤毛の美少女だった。

 何か不思議な雰囲気を感じさせる彼女に続いて、隣の女の子が挨拶をする。

 

「ミア・ブリンクマン技術少尉です! その、先ほどの戦闘では庇ってくださり、ありがとうございました!」

 

 小柄で小動物的な雰囲気を醸し出す気弱な眼鏡美少女が僕に向かって言う。

 背格好も胸のサイズもリリアに似ているなと思いながら頭を下げたところで、最後の女の子が口を開く。

 

「ヘレナ・ヘーゲル曹長です! 誤解とはいえ、攻撃を仕掛けてしまい申し訳ありませんでした!」

 

 多分この子が狙撃型のザクに乗っていた子なんだろう。

 銀髪のショートヘアで、露出の激しい格好をしている彼女の左腕と左胸にはタトゥーが入っていて、粗暴な雰囲気を感じさせる。

 ただ、立ち振る舞いとしては前の二人よりも軍人っぽさが感じられて、意外と真面目な子なのかなと思った。

 

「嘘だろ……? 全員、俺より階級が上なのかよ……?」

 

「ガス、そういうのどうでもいいでしょ? 相手に失礼だよ」

 

 女性を下に見ているであろうガスの忌々し気な呟きに対し、リリアがツッコミを入れる。

 雰囲気が悪くなるようなことを言うなよと視線で注意したところで、ギャレット少佐が僕たちへと言った。

 

「そちらの子は怪我をしているし、医務室で手当てを受けた方が良さそうね。他の子たちは部屋を用意してあるから、そこで休んでちょうだい。ある程度なら自由に動いていいけど、下手に基地内部を探索しようとは思わないでね」

 

「了解です。ご厚意に感謝します」

 

 という感じで、話し合いは終わった。

 パーシーは医務室へ手当てを受けに行き、オリバーは彼の付き添いで同じく医務室に。ガスはぶつくさ文句を垂れながらどこかに消え、アクセルとリリアは部屋で休むことにしたようだ。

 僕もまた、用意してもらった部屋で休もうかなと考えていたのだが……そこでノイジー・フェアリー隊の女の子に声をかけられた。

 

「申し訳ありません、レオンハート曹長。少し、よろしいでしょうか?」

 

「君は、えっと……ブリンクマン技術少尉、でしたっけ……?」

 

「嫌でなければ、ミアと呼んでください。ここではみんな、階級とかを気にせずに過ごしているので」

 

 アルマさんの発案なんですけどね、とクスクス笑いながら技術少尉が言う。

 そういうことならと微妙に恥ずかしさを感じながらも頷いた僕は、逆にミアに名前で呼んでくれと頼んだ後で言った。

 

「無事で良かったよ。それで、技術少尉ってことは――?」

 

「はい。クロスさんのG型ザクの整備も担当させていただいてます。今、予備パーツを使って修理をしているところで、不調の原因に関してはまだ判明していないのですが……パーツが劣化していたところに、私を庇った衝撃で操作系統に異常が発生した可能性が高そうですね」

 

「そうか……」

 

 定期的にメンテナンスをしていたが、そもそもG型ザクは生産数が少ないらしい。

 その分、パーツも手に入りにくいから、できる限り節約し続けてきたのだが、それが仇になってしまったようだ。

 

 原因が判明したことや、無事に解決できそうなことに安堵した僕へと、ミアが言う。

 

「それでなんですが、ザクのメンテナンスが終わるまで、少しクロスさんにお願いしたいことがあるんです。お時間、いただけないでしょうか?」

 

「僕に? 別に構わないけど、何をすれば……?」

 

 ザクのメンテナンスを担当してもらっている恩もあるし、何か僕にできることがあるのなら協力させてもらおう。

 そう考え、ミアの頼みを引き受けた僕は、彼女に連れられてシミュレーションルームへとやって来た。

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