ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに!   作:じおじお

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導くために……二度目の合同任務

 宇宙世紀0079年9月26日……日付が変わって間もない、まだ暗い時間帯に、僕たちは輸送機に乗って戦場へと向かっていた。

 目的地はティルナノーグから西にある友軍基地だ。

 

 その基地から、少し前に僕が鹵獲し、キャリフォルニア・ベースで改造を受けているビッグトレーに使うパーツを輸送すべく、一台のギャロップが出発した。

 しかし、途中で連邦の哨戒機に発見され、執拗な追跡を受けているらしい。

 さらにギャロップの進行方向では鹵獲ザク部隊が活動していたという報告があり、彼らが待ち伏せしている可能性が高いとのことだった。

 

 この事態に際し、出撃命令を受けたノイジー・フェアリー隊は輸送機で現場に急行中。

 鹵獲ザク部隊との戦闘になる可能性があるということで、僕たちサブナック隊も合同で任務に参加することになった。

 

「同地域で活動していた『闇夜のフェンリル隊』からの報告によれば、敵の数はそこまで多くはないがUGSを導入している可能性が高いとのことだ」

 

「ゆ、ゆーじーえす? なんだ、それ?」

 

「アンダーグラウンドソナー、地中の音を分析することで敵の位置を特定するソナーのことです。今回のような夜間の戦闘だけでなく、濃霧やスモークの中でも敵の動きを補足できるんですよ」

 

「幸い、こちらも少佐の働きかけによって、UGSを一台入手できた。ブリンクマン技術少尉の機体に装備してあるから、敵の位置がわからなくなったら、彼女に判断を仰ぐといい」

 

 MSだけでなく、兵器も進化を続けている。このUGSも、これからの戦闘に備えて開発されたものなのだろう。

 今までは戦闘機や61式戦車が相手だったが、これからは連邦もMSを量産してくる。上層部もそれを理解しつつあるようだ。

 

(問題は、敵のMSがこちらの想定をはるかに超えた性能を持ってるってことなんだよな……)

 

 上層部はやや楽観的にものを見ている。だからこそ、こんな前線の部隊に嫌がらせを仕掛けられるのだ。

 ロメオ少将とギベオン、二人の襲来で受けたダメージは小さくないぞと考える中、ギャレット少佐の声が響く。

 

「アルマ、話を聞いていたかしら?」

 

「えっ? あっ、はい! だ、大丈夫です!!」

 

「……おい、あいつ大丈夫かよ? 少将にケツを揉まれたのがそんなにショックだったのか?」

 

 リード・パイロットという立場にありながらもどこか任務に集中できていないアルマは、やはり昼間のことを気にしているようだ。

 フラナガン機関のことを知らないガスからすれば、ギベオンの言っていたことは意味がわからなかったのだろうが……あの言葉は、アルマのトラウマを深く抉るだけの威力を誇っている。

 

 フラナガン機関で落第生の烙印を押され、仲間たちに嘲笑われ、そんな中、自分の力を必要としてくれたギャレット少佐に導かれて、ノイジー・フェアリー隊に参加することができた。

 そこで仲間たちと過ごすうちに忘れていた過去の傷が……ギベオンの襲来によって、穿り返されてしまった。

 

「シュティルナー少尉! 任務に集中しろ! リード・パイロットがそんな状態では、隊全体を危険に晒すことになるんだぞ!!」

 

「すっ、すいません!!」

 

(……ダメだな。これ以上、プレッシャーをかけちゃいけない。役目を果たさないとまた役立たずだと思われるというアルマのトラウマを刺激するだけだ。かといって、優しい言葉をかけるだけじゃ固くなっている精神を解きほぐすことはできない。どうするかな……?)

 

 なんとなくだが、僕にはアルマの心の中が手に取るようにわかった。

 緊張感と恐怖、その二つに心を支配されている彼女を導くのは、容易なことではない。

 

 だがしかし……ノイジー・フェアリー隊のみんなや、他でもない彼女のこれからを考えたら、このままではダメだ。

 この戦いの中で、ギャレット少佐に頼まれたことを果たさなくては……と考えていたところに、アクセルからの通信が入る。

 

「アクセル? どうかした?」

 

「……クロス。お前、アルマのことを気にしてるだろう?」

 

 二人だけしか聞こえない通信で語りかけてきたアクセルは、開口一番に僕の胸中を見事に言い当ててみせた。

 敵わないな、と苦笑を浮かべながら頷く僕へと、彼はこう言葉を続ける。

 

「なら、迷うな。お前がやるべきだと思ったことをやれ。バックアップは、俺がしてやる」

 

「アクセル……!!」

 

「……お前はホワイト小隊の隊長だ。部下として、友人として、俺はお前を支える。それが俺の役目だからな。それと、昼間は格好良かったぞ、隊長」

 

 そう、冗談めかした言葉を残し、アクセルが通信を切る。

 友人想いの仲間に感謝しながら頬を叩いた僕は、静かに息を吐くと共にやる気を漲らせた。

 

(自分の信じる道を突き進め……それが、僕のすべきこと。そうですよね、ソンネン少佐……!!)

 

 師匠の言葉を胸に、操縦桿を握る手に力を込める。

 その瞬間、ハハリ中尉の声が響いた。

 

「ギャロップ発見! 敵戦闘機からの攻撃を受けている! すぐに降下し、援護するんだ!!」

 

「了解!」

 

 その言葉を合図に、輸送機のハッチが開く。

 隊長機として先頭に立った僕は、ギャレット少佐の号令を耳にすると共に夜の闇の中へと飛び出していった。

 

「ノイジー・フェアリー隊、サブナック隊……出撃!!」

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