ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに! 作:じおじお
新型MS破壊任務
「ウルフ・ガー隊に合流、ですか……?」
「ああ、そうだ」
宇宙世紀0079年10月7日、ガルマ・ザビの国葬とその中で行われたあの有名なギレン・ザビの演説を聞いた翌日、僕はヨハンソン隊長に呼び出された。
明日から僕たちサブナック隊は中央アジアに向かい、そこで任務に就くことになっている。
このタイミングでの呼び出しとは何だろうと思う僕に対して、隊長は話をしていった。
「お前も知っての通り、我々サブナック隊は明日、敵の輸送部隊への攻撃任務に就くことになっている。目的は、
木馬……そのコードネームを聞いた僕の心臓がドクンと跳ね上がる。
偉大なガンダムシリーズの始祖、【機動戦士ガンダム】の主人公アムロ・レイたちが乗っている新型艦がもうすぐそこにいることに緊張する僕が背筋を伸ばす中、隊長は話を続けていった。
「この任務は三つの部隊が合同で行うことになっている。一つが我々サブナック隊、二つ目が我々と同じ特別競合部隊であるマルコシアス隊、最後の一つがウルフ・ガー隊だ」
「木馬に新型MSを運ぶ敵の輸送部隊を三つまで絞れたから、各隊が分散して一つずつ叩くんですよね?」
「そうだ。しかし、ウルフ・ガー隊は他の二部隊と比較して戦力が少なくてな……そこで、お前が派遣されることになった」
「それは構いませんが、どうして僕だけなのでしょうか? 小隊一つ分くらいは送っても問題ないのでは……?」
聞き覚えのない部隊であるウルフ・ガー隊に合流して任務に就くのはいい。
問題は、どうして派遣されるのが僕だけなのかという部分だ。
戦力補充なら、僕のホワイト小隊をそのまま派遣した方が自然な形になるはずだ。
小隊一つ分ならばサブナック隊の戦力もそこまでダウンするわけでもないし、どうしてそうしないのだろうと疑問に思う僕へと、ため息を吐いたヨハンソン隊長が答える。
「実はな、クロス……ウルフ・ガー隊の面々は、隊長であるヘンリー・ブーン大尉を除き、自分たちが新型を破壊する任務に就いていることを知らないんだ」
「えっ……!? ど、どうして……?」
「それは判断を下した大尉しかわからん。しかし、もしかしたらウルフ・ガー隊が囚人たちで構成された部隊であることが原因なのかもしれないな」
「しゅ、囚人部隊……?」
う~ん……そんな設定があるんだったら、絶対に外伝で登場していた気しかしないぞ。
ということはつまり、またとんでもない戦いに巻き込まれるってことだなと自分の未来を予測して少し不安になる中、隊長は目を伏せながら口を開く。
「……クロス、お前はよくやってくれている。ビッグトレーのみならず、先日は連邦が開発したタンクもどきの鹵獲にまで成功した。今、キャリフォルニア・ベースでは木馬が運用しているものも含め、連邦が開発したMSの研究が日夜行われている。その研究材料を持ち帰ってくれたお前には、上層部からも大きな期待が寄せられているだろう」
「はっ、光栄です」
「しかし……だからこそ、かな。私は、今回もお前が当たりを……貧乏くじを引くことになる予感がしているんだ」
多分、ヨハンソン隊長の言っていることは正しい。僕も同じ予感がある。
一番厳しい戦場に僕が派遣されることを確信しているであろう隊長は、椅子から立ち上がると真っすぐな視線を向けながら言う。
「私も研究データは確認した。各地からの報告にも目を通している。そして何より、木馬はガルマ様を討った。連邦のMSは化物だ。これから我々は、そんな化物たちと戦わなくてはならない。サブナック隊の連中も、何人生き残れるか……」
そう語る隊長の顔には、苦悩の色がありありと浮かんでいた。
大隊長として部隊を預かる身として、まだ若い僕たちを危険な戦場に送り出すことに葛藤を抱えているのだろう。
これまではジオンが優勢だったが、今はもう違う。
ガルマ・ザビの戦死から勢いは逆転し、これからはジオンが苦戦を強いられるようになる。
つまり、僕たちが死ぬ可能性が一気に跳ね上がっているのだ。
「私は隊長だ。お前たちを率い、任務を達成するために全力を尽くさなくてはならない。しかし……同時に、お前たちの命を預かる身でもある。一人でも多くの部下を育て上げ、生き延びさせてやりたい……そんな気持ちも胸の中にあるんだ」
「隊長……」
「だから……死ぬなよ、クロス。お前が優秀な兵士だからこう言っているのではない、お前がまだ若く、そして私の部下だから言っているんだ。生きて帰ってこい。たとえ負けたとしても、お前が生きていればそれでいい」
「……全力を尽くします。隊長こそ、どうか無事に帰ってきてください」
隊長の言葉に、改めて今が戦争中であることを認識する。
そして、自分たちが今、かなり苦しい状況に追いやられつつあることもだ。
僕は最後までこの戦争を生き抜けるのか? それすらもわからない。
今、一緒に戦っている仲間たちも、何人が生き残れるのかもわかっていない。
それでも僕たちは、戦い続けるしかないのだ。
仮にもう命を落とすことが決まっている、
「……MS輸送用のカーゴと補給物資を預ける。お前は、ゴビ砂漠で本隊とはぐれたウルフ・ガー隊の捜索任務を受けたという形で彼らと合流し、任務を達成しろ。わかったな?」
「はっ、了解です」
また、新たな戦いが始まる。敬礼の姿勢を取りながら返事をする僕は、漂う死の気配を強く感じていた。