ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに!   作:じおじお

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daybreak

 シュマイザー少佐の言葉を合図に、闇夜のフェンリル隊の面々が動く。

 前衛を担当するザクたちが走り出す中、ロベルト少尉とヘープナー少尉のザクがバズーカを構え、戦車隊に向けて発射した。

 

 二発のバズーカ弾はそれぞれ別の戦車に直撃し、大きな爆発を起こす。

 突然の攻撃に動揺しているであろう敵部隊に対して、接近しつつあった部隊がマシンガンを放ち、確実に仕留めていった。

 

(無言でここまでの連携を……!! これが経験の差ってやつか……!)

 

 不意打ちで確実に攻撃が当てられる初撃は、弾速の遅いバズーカ砲から入る。

 爆発の大きさで動揺している間に接近した部隊が攻撃を仕掛け、態勢を立て直す前にできる限りの敵を撃破するというのは、かなり効果的な戦い方だ。

 

 この動きを、特に打ち合わせなどせずに完璧な形で決めてみせている。

 チームで戦うことに慣れている闇夜のフェンリル隊のメンバーは、自分の仕事を即座に理解し、それを協力しながら遂行しているのだ。

 

「敵部隊、反転開始しました。反撃が来ると思われます」

 

「よし、スモーク散布!」

 

 今も敵の動きを見て取ったヘープナー少尉の報告を受け、即座にル・ローア大尉が指示を出した。

 反転しつつあった敵戦車部隊の中心にロベルト少尉がスモーク弾を撃ち込めば、敵の部隊を煙幕が包み込む。

 

「へっ……! 敵さん、何も見えなくなって慌てふためいてるだろうが――!!」

 

「こっちには、熱源センサーがあるんだよ!!」

 

 煙幕によって敵の視界は遮られたが、それはこちらも煙幕内の敵の姿が見えなくなるということを意味していたはずだった。

 しかし、こうなることを理解していたかのようにレーダーを切り替えたレンチェフ少尉が、マシンガンを斉射して煙幕の中を攻撃する。

 二度、三度と起きた爆発によって煙幕が晴れた頃には、その中にいた戦車たちはただのスクラップへと早変わりしていた。

 

「すごい、連携に無駄がない……!!」

 

「これがベテランパイロットの実力ってわけか……」

 

 アルマとヘレナが驚くのも当然だろう。洗練され尽くしたフェンリル隊の連携は、もはや芸術と呼ぶに相応しいレベルにまで達している。

 しかも、彼らは一人一人の操縦技術もかなり高い。僕たちよりも旧式の機体を使っているはずなのに、その動きは新型のそれと遜色ないほどだ。

 

 特に、マット・オースティン軍曹の操縦技術は目を見張るレベルだ。

 専用カスタムは施してあるとはいえ旧ザクに乗っているというのに、グフに乗るレンチェフ少尉にも引けを取らない操縦技術を披露しているし、そのレンチェフ少尉もグフを完璧に乗りこなしている。

 

 唖然とする僕たちの前で、闇夜のフェンリル隊は瞬く間に戦車隊を殲滅し、包囲の一角を崩してみせた。

 これがベテランパイロットの実力かと……厳しい戦場を切り抜けてきたフェンリル隊の実力に息を飲む中、シュマイザー少佐の声が響く。

 

「よし、作戦の第一段階は無事に完了したな。こちらで戦場の状態は把握した。レッドチームはこのポイントに向かい、敵の指揮車両を叩け」

 

「了解! じゃあ、少尉殿! 行きますよ!!」

 

「さっさと仕留めて、戦いを終わらせてくる! それまで耐えてくれよ!」

 

「レオンハート曹長、気負うなよ。我々が敵車両を制圧するまで、無茶はしなくていいからな」

 

 オースティン軍曹にロベルト少尉、ル・ローア大尉が闇夜の中に消えていく。

 残されたメンバーは、シュマイザー少佐から戦場の状況をデータで受け取ると共に彼の指示へと耳を傾けた。

 

「戦場の状況だが、北方面でドムが率いる小隊が陸戦型ガンダムを隊長とした部隊と交戦している。ここはまだ大丈夫だろう。中央付近は押し込まれ、危険な状態だ。ブルーチームとノイジー・フェアリー隊はこのまま直進し、苦戦する部隊の援護に向かってもらいたい」

 

「了解です! 女の子の力、見せてあげましょう!!」

 

「唯一の男である私はちょっと肩身が狭いですね……」

 

「グリーンチームは西方向に進軍、敵を殲滅した後、基地機能の復旧に努める部隊を掩護しろ」

 

「自分としては、連邦のクソッタレを潰す役目の方が嬉しいんですけどね。命令なら仕方がない」

 

「グリーンチーム、了解しました」

 

 シュマイザー少佐の指示を聞いた面々が、自分の仕事をすべく動き始める。

 最後に残された僕へと、少佐は命令を出してきた。

 

「そして、レオンハート曹長。東方面でグフを中心とした小隊が連邦の部隊と交戦状態にある。敵はジムが五機……やれるな?」

 

「……もちろんです、少佐」

 

 指定のポイントと状況を聞いた僕は、即座にイフリートを走らせた。

 G型ザクを超える機動力を誇るMSは、瞬く間に僕を目的のポイントへと辿り着かせてくれる。

 

「いた……!!」

 

 陸戦型ジムと戦っているのは、ガスのグフを中心とした小隊だ。

 しかし、五機いるMSの内、二機のザクは関節から煙を上げて動けなくなっているし、残る三機のグフたちも満身創痍といった状態だった。

 

 片腕を失いながらも必死の抗戦を試みる者もいれば、ジムたちの連携によって押されている者もいる。

 そして今、ビームサーベルを防ぎきれずに片脚を切り落とされるグフが出てしまった。

 

「いやあああっ!!」

 

「エイダっ! くそっ! こいつら、離れろっ!!」

 

 どうやら、唯一まともに戦えているグフに乗っているのはガスのようだ。

 ヒートサーベルを振り回し、どうにかジムたちを倒そうとしているが……そんな彼のことを連邦兵は嘲笑っている。

 

『ざまあねえな! こっちがMSさえ手に入れられれば、お前らなんてそんなもんだ!!』

 

『今まで殺されてきた仲間の仇だ! お前ら全員、地獄に送ってやる!!』

 

「くそっ……ここまでかよ……!?」

 

 ジムの小隊と相対しながら、ヒートサーベルを構えるガス。

 仲間を見捨てずに不利な戦いに臨もうとしている彼の姿に小さく笑みを浮かべた僕は、イフリートのバーニアを吹かして一気に飛び込んだ。

 

『アラート? 背後からだと!? ぐああああっ!!』

 

『なっ……!?』

 

 ショットガンの狙いを大雑把につけ、ジムの背中目掛けて発射。

 バックパックに直撃した弾丸はスラスターの爆発を招き、攻撃を受けたジムが大爆発を起こす。

 

 突然の仲間の死に他の四機が動揺している間にその横をすり抜けた僕は、ガスの隣で立ち止まると共にゆっくりと振り返った。

 

「お、お前、まさか……?」

 

『橙色の機体? それに、あのマークは……!?』

 

『こいつ……黄昏の大蛇か!?』

 

 相手が驚いている間にポンプアクションを行い、ショットガンの薬莢を排出。

 戦闘準備万端といった様子の僕のイフリートの姿に気圧されたように後退るジムたちであったが、その中の一機が叫び声を上げながらシールドを構え、サーベルを引き抜く。

 

『ビビる必要なんかねえ! こっちにはこのジムがあるんだ! 黄昏の大蛇が相手だろうと、負けるはずがねえ!!』

 

 そう言いながら、単機で突っ込んでくるジムへと、ショットガンの銃口を向ける。

 シールドで防ぎ、そのまま僕を斬り捨てるつもりだったのだろうが……僕が放った弾丸は、ジムのシールドを貫通すると共にそれを握っていた左腕を吹き飛ばしてみせた。

 

『なっ!? こ、この威力は――ぎゃああああっ!?』

 

『マ、マック!?』

 

 おそらく、相手はザクマシンガン程度の威力を想像していたのだろう。

 その程度の攻撃ならばシールドで防げると、そう過信したのが命取りだ。

 

 ミアの言った通り、このショットガンならばルナ・チタニウムの装甲でも撃ち抜けるようだなと新武装の威力に感心する中、二機のジムたちがサーベルを手に突っ込んできた。

 

『よくもマックとエリオットをやったな、黄昏!!』

 

『ブレイン! 援護しろ! 俺とホッパーで突っ込む!!』

 

 マシンガンで牽制射撃を繰り出してくるジムをバックに、こちらへと突撃してくる二機のジムたち。

 しかし、その動きはあまりにも緩慢で見え見えだ。

 

 ゴビ砂漠で戦ったピクシーは、陸戦型ジムなど相手にならない俊敏性を持っていた。

 ボルク大尉の操縦テクニックと合わさってかなりの脅威となっていたピクシーと比較すると、この二機は相手にならない。

 

(舐めてるな、僕たちを。いや、自分たちの実力を過信しているのか)

 

 ザクの武装を完封するルナ・チタニウムの装甲を持ち、さらに数も十分過ぎる戦力を有していた連邦の部隊は、どこか慢心していたのだろう。

 自軍で開発されたMSの性能に酔っていた可能性もある。しかし、それが命取りだ。

 

 この数日の戦いで、自分たちの方が相手より上だと思い込んでしまった。

 だからこんな無防備に突っ込んでくるのだと……戦いが長引いてしまったが故に生まれた慢心を突くように、僕も二本のビームサーベルを引き抜き、それを振るう。

 

『なっ!? び、ビームサーベルだと!? どうしてこいつが――!!』

 

『は、速――!?』

 

 迫るジムたちを迎撃するように、こちらも真っすぐに突っ込む。

 G型ザク同様に増設されたバーニアとイフリートの機動性が合わさった結果、グフすらも凌駕する瞬発力を手に入れたMSの機動性についていけなかったジムたちは、ビームサーベルの一太刀を受けてそのまま爆散した。

 

「これで四つ。あとは……」

 

『くっ、来るなっ! 来るなぁぁぁっ!!』

 

 前衛を張っていたMSが全滅し、残されたジムが半狂乱になってマシンガンを乱射する。

 全く狙いが定まっていないそれを回避している間に、マガジンが空になったようなのだが……相手はそんなことにも気付かず、叫びながらトリガーを引き続けていた。

 

『わああああああああああああっ!!』

 

「……五つ」

 

 叫ぶだけのジムのコックピットへと、サーベルを突き刺す。

 途端に瞳から光を失ったMSが崩れ落ちる中、ガスからの通信が入った。

 

「お前、クロスだろ? へっ……! 本当、いけすかねえ奴だよ」

 

「遅くなってごめん。まだ動けるかい?」

 

「俺のグフは大丈夫だ。仲間もまあ、死んじゃいねえよ。それより、リリアとアクセルがこの先で踏ん張ってる。こっちは俺がどうにかするから、助けに行ってやれ」

 

「……ありがとう、ガス」

 

 僕が求めている情報を教えてくれたガスへと感謝しながら、イフリートを走らせる。

 リリアたちの下に向かう僕の耳に、サブナック隊の全員に向けた彼の声が聞こえてきた。

 

「こちらガス……サブナック隊、あと少しの辛抱だ。()()()が、もうすぐそこまで来てる」

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