ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに!   作:じおじお

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夜が明けた。されど戦争は終わらない

「ははっ……! 日の出だ。まさか、また生きて太陽を見られるとはな……」

 

「アクセル、無事か?」

 

「ああ、なんとかな。お前のおかげだ、クロス」

 

 連邦軍の部隊は、ロベルト少尉たちレッドチームがビッグトレーを墜としたことで撤退していった。

 撃退した敵への追撃を考えた僕であったが、既に限界ギリギリの戦いを続けていたみんなにはこれ以上戦闘を行う余力は残っておらず、安全を優先して生き残っているメンバーを集めることを優先することにした。

 

 かなり厳しい戦いだったが、なんとか敵を退け、勝利することができた僕たちは、一度基地の中央部に集まり、状況を確認している真っ最中だ。

 

 戻ってきたみんなのMSは、ほぼ全てが大きく破損していた。

 無事といえるような機体はほとんどなく、良くて装甲の各部に穴が空いているくらいだ。

 

 あのヨハンソン隊長のドムですら、目立った損傷がある。

 片腕や片脚、あるいは四肢の半分以上を破壊されたMSが大半を占め、サブナック隊のMSは壊滅状態といっていいほどの被害を受けていた。

 

「俺とリリアのザクも腕をやられた。修理には時間がかかりそうだ」

 

「そうだね……でも、命があるだけマシだよ」

 

 ほぼ半壊といって差し支えない損傷を受けているザクを見つめながら、アクセルが言う。

 それでも彼が無事であることを喜ぶ僕へと、同じくザクを降りたリリアが駆け寄ってきた。

 

「クロス……っ!!」

 

「わっ……!?」

 

 涙目の彼女が、僕の名を呼びながら抱き着いてくる。

 強く僕を抱き締めるリリアを抱き返しながら、僕は彼女へと言った。

 

「……無事で良かった。救援要請を聞いた時は、血の気が引いたよ」

 

「うん……ゴビ砂漠で戦った時とは比べ物にならない数が相手で、この基地の人たちもどんどんやられちゃって……もう、だめかと……」

 

 不安に押しつぶされそうになっていたであろうリリアを、優しく抱き締める。

 彼女がこうして生きていてくれたことに感謝しながらも、僕は遠くに見えるザクの残骸を見つめ、呟いた。

 

「……あのザクには、誰が乗ってたの?」

 

「バクスリー……助けようとしたんだけど、間に合わなかった……」

 

 ブラック小隊のバクスリー……成績は中間で、深い関わりがあった相手でもない。

 だけど、これまで共に戦場を駆け抜けてきた仲間の死は、心にくるものがある。

 

 そして、バクスリー以外にも複数のザクの残骸が転がっている光景を目にした僕は、彼以外にも多くの犠牲者が出ていることを理解し、苦しみに顔をしかめた。

 

 もう少し早く駆け付けることができたら、みんなも死ななかったかもしれない。

 そう考え、悔しさを募らせる僕へと、静かな声が響く。

 

「クロス・レオンハート曹長……よくやった。お前が敵MSを引き付けてくれたおかげで、我々はビッグトレーに容易に張りつくことができた。礼を言う」

 

「ル・ローア少尉……!」

 

 作戦を終え、こちらへと戻ってきた少尉の言葉に、僕は小さく項垂れる。

 よくやったという褒め言葉も、仲間たちの死を前にすると心に響かない。

 

 そんな僕の胸中を見抜いているであろうル・ローア少尉は、あまり抑揚のない声で言った。

 

「それは()()()だ、曹長。お前一人がどれだけ奮戦したところで、変えられるものはそう多くない」

 

「……!!」

 

 少尉からの言葉に、僕は目を見開いて彼を見る。

 淡々と事実だけを語る少尉は、僕を真っすぐに見据えながら話を続けた。

 

「お前はエースだ。今日も十機近い敵のMSを一人で撃破した。しかし、たった一人の人間が活躍して勝てる戦争など、どこにもありはしない」

 

「わかっています、でも……!!」

 

「わかっているのなら、自分がすべきことをしろ。お前は、エースなんだからな」

 

「……!」

 

 こんな会話を【ガンダム】でも聞いたことがある。

 自分一人で戦局を変えることなんてできはしない。もしもそんなことを考えている人間がいるとしたら、それはとんでもない思い上がりだ。

 

 僕とイフリートなら、連邦のMSにも勝てる。だけど、だからといって戦争に勝てるわけではない。

 負けるという結果を知っていてなお、戦い続けるのは……みんなと一緒に生きていきたいからだ。

 

 ならば、すべきことは一つしかない。サブナック隊のみならず、ノイジー・フェアリー隊や闇夜のフェンリル隊をはじめとした他の部隊のメンバーからもエースパイロットと呼ばれるようになった今の僕だからこそ、できることがあるはずだ。

 

「基地の修復作業は我々とノイジー・フェアリー隊が引き受ける。お前たちは、ブリーフィングルームに行け」

 

「……了解」

 

 ル・ローア少尉が何を言いたいのかを理解した僕は、敬礼をしてから指示に従ってこの場を立ち去る。

 自分がやらなければならないことを成すために……僕は、一歩、また一歩と足を進めていった。




本当にすいません。
前回、汚名挽回の誤字報告をたくさんいただいたのですが、あれはZガンダムでのジェリドの発言のパロディ的な感じなので、わざとああしています。

わかりにくいネタを入れてしまって申し訳ありません。
誤字報告も、いつも本当にありがとうございます。助かってます。
あれはわざとなんだよっていう連絡と、謝罪でした。

あとガンダムの首が転がってるシーンは某クソゲーのパロディです。
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