ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに! 作:じおじお
オデッサ最前線/帰ってくれ屍食鬼隊
宇宙世紀0079年11月7日、連邦軍の一大反抗作戦『オデッサ作戦』が発令された。
これにより、オデッサ周辺に集結していた連邦軍の部隊の活動が活発化、原作通りの激しい戦いが繰り広げられることになる。
だがしかし、原作通りにならなかった部分もあった。それについて、ここに記しておきたい。
前述した通り、今回の指揮官はマ・クベ司令ではなくジャブロー支部から配置転換されたガルシア・ロメオ少将だ。
大部隊を動かす戦術に関して僕は詳しくないが、現場の雰囲気を感じ取るにやはり彼はこういった指揮官としての役目には向いていないらしい。
そもそも、口を閉ざし続けるジャブローにただただ爆撃を繰り返していただけの戦略も戦術もない行動しかしていない彼が、こんな最前線に送り込まれてまともな活躍などできるわけがないだろう。
各地で苦戦の連絡が届いているが、ロメオ少将はマ・クベ中将が残した使えない部下が弱音を吐いているとしか思っていないようだ。
彼の配下であるギベオン・グレイスと、そのギベオンが連れてきた『
それもギベオンが楽な戦場と相手を吟味し、戦っているだけなのだが……それにすら気付いていないようだ。
連邦軍のMSの脅威度すら正しく把握しているとは思えないロメオ少将の知能と、全ての責任を部下に押し付けるやり方によってジオン軍の士気は大幅に低下し、それも苦戦の一端になっていることにも気付いていない。
将兵もあの黒い三連星すら無能と罵る彼に何かを期待することを諦めたようで、全員が全員、できる限りの抗戦を続けていた。
名前が出たので軽く説明しておくが、黒い三連星は無事に生き残っている。
本来の歴史ではオデッサに向かうホワイトベース隊と遭遇、それと戦闘することでマッシュ中尉が戦死し、他の二名もその後の戦闘で……という形だが、そのホワイトベース隊がラル大尉たちとの戦いで原作以上のダメージを負ったため、身動きが取れなくなった。
結果として、双方が遭遇することはなくなり、三名は無事に受領したドムで暴れ回ってくれている。
こういったエース部隊が生き延びてくれているといういいニュースはあるが、たった三名の参戦でひっくり返せるような戦況ではない。
オデッサでの戦いは確実に、そして着実に……ジオンの敗北という結果に向かって動いていた。
そんな状況でも逃げ出すわけにはいかないのが軍人のつらいところだ。
僕たちサブナック隊は今、五部隊合同の作戦に参加している。
参加している部隊は黒い三連星が率いるドム部隊と、マルコシアス隊、少し前に共闘した闇夜のフェンリル隊。
そして……ギベオンのお抱えであるグール隊だ。
ドム部隊とマルコシアス隊がオデッサを包囲する敵の外周に配置されている予備部隊に奇襲をかけ、打撃を与えつつその進軍を遅らせる。
サブナック隊を含む残りの三部隊はそれまでオデッサの最前線で戦い、敵を食い止めるという役割分担だ。
正直、これはかなり危険な任務だった。特にゲリラ戦を仕掛ける二部隊は敵の真っただ中に入り込むことになるため、一つの判断ミスが全滅に直結するというリスクもある。
歴戦の兵である黒い三連星に率いられている上に機動力もあるドム部隊はまだいいが、マルコシアス隊の方は未だに手柄を奪い合う関係性が続いているそうで、そういった部分も心配だった。
ヴィンセントやセベロの無事を祈りつつ、何かあった時に彼らを救出するために動けるようにもしておく僕たちであったが……問題はもう一つある。グール隊の連中だ。
前にギャレット少佐から聞いた、『他人に共感する能力を失った人間は強力な兵士となる』という理論の下に生み出された強化人間たち。
確かにその実力は高いと思うのだが……あまりにも自分勝手かつ、残虐的な思考に支配されていた。
全員が美少年、美少女と呼ばれる容姿ではあるのだが、彼らを美しいと思ったことはない。
無機質な人形か、あるいは狂った怪物のようにしか見えなかった。
一度、僕のイフリート・デメルングを巡って彼らと争いになったことがある。
驚くべきことに、彼らは僕の機体を寄越せと因縁をつけてきたのだ。
その時はまともに相手をしなかったのだが、それに腹を立てたクロードとかいう隊長は銃まで抜いて脅してきた。
ヨハンソン隊長とシュマイザー少佐の仲介があり、そこはクロードを後方に配置転換されるという形で治まったのだが……もう本当にこいつら兵士か? と思うような行動が多過ぎる。
勝手に別部隊の資材を奪って使おうとしたり、機体を奪おうとしたり、明らかにこちらを見下してきたり……軍人というよりわがままな子供で、利益よりも和を乱す行動の方が多い。
黒い三連星のドム部隊のジャイアント・バズーカの弾を奪おうとした時には、オルテガ中尉がブチギレてとんでもない騒ぎになった。
ヨハンソン大尉もシュマイザー少佐もシュナイド大尉もガイア大尉も、全員でロメオ少将に「とっととこの馬鹿共を俺たちの編成から外せ(意訳)」と訴えているのだが、少将は頑なにその意見を突っぱね続けている。
MAアッザムも腕のいいパイロットたちも戦力になりはするのだが、人間性が最悪過ぎてもうさっさといなくなってほしいとしか思えない。
そんなこんなで一部隊を除けば強い団結で結ばれることになった僕たちは、連邦軍との戦いに臨もうとしている。
オデッサ最前線、丘陵地帯で敵を迎撃する予定だったが、どこぞの
既にゲリラ戦を仕掛けている黒い三連星とマルコシアス隊はここに帰還する予定なので、なんとしてでも丘陵地帯を奪還しなくてはならない。
というわけで、奪還作戦が遂行されることとなった。
内容は至ってシンプル。小高い丘で分けられた左右の道をそれぞれサブナック隊と闇夜のフェンリル隊が担当し、敵を殲滅しつつ進軍。
高い丘に配置されているガンキャノンはグール隊のアッザムが担当し、二部隊を援護する。
そうして丘を抜けた後は、広い地帯に展開している連邦軍の部隊をグール隊が攻撃。ビッグトレーを落とし、敵を撤退させる……といったものだ。
色々(というよりグール隊が)不安でしかないが、逃げ出すわけにはいかないからやるしかない。
僕たちの長いようで短いオデッサでの戦いが、こうして幕を上げたのであった。
※ちょこっと解説
『妙に薄かった左翼の防御』
マ・クベが取った不可解な陣形ですが、こちら連邦軍のエルランという男の裏切りを見越していたが故のものだったんですね!
どっこい、裏切りがバレてしまったせいでこの薄い防備が仇となってしまい、オデッサの戦いで敗北を喫してしまうという……。
なのでここだけはロメオ少将ナイス!な話だったりします。