ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに!   作:じおじお

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短い交戦/終わらない戦い

「またこいつらか! クロス、どうする!?」

 

「セシリアたちはマルコシアスのみんなを合流地点に送り届けてくれ! ホワイト小隊が足止めをする!!」

 

 突如として姿を現したフェデリコたちセモベンテ隊はかなりの強敵だ。

 それを踏まえた上で考えると、ここで一番マズいのはダメージを受けているマルコシアス隊のメンバーを狙い撃ちされることだろう。

 彼らがやられては、この救出作戦を実行した意味がない。優先すべきはセベロたちの脱出だ。

 

 こちらにとって幸運な材料は、フェデリコたちが一部隊でしか行動していなかったこと。

 足止めと護衛の二部隊に分かれれば、どちらか片方の相手しかできなくなるということだ。

 

 この状況ならほぼ間違いなく、フェデリコたちは仲間の仇である僕を狙ってくるはず。

 ならばマルコシアス隊の護衛はセシリアたちに任せて、僕が足止めとして残れば追撃はしてこないはずだという考えは、見事に的中した。

 

『ソナ、ブリッツ、援護しろ!! レックスとバーンズは俺に続け!!』

 

 ビームサーベルを引き抜いた陸戦型ガンダムがこちらへと突っ込んでくる。

 後方に控える陸戦型ジムは、フェデリコの指示に従って攻撃を仕掛けてきた。

 

 二機がフェデリコ同様にサーベルでの近接戦闘を挑み、残りの二機が火器での援護を行う。

 個人的にはビームライフルが使えるフェデリコが援護に回った方がいいとは思ったのだが、部下にだけ危険な近接戦闘をさせられないという思いが働いたのだろう。

 

「後方から敵が追い付いてくるかもしれない! いつでも撤退できるよう、位置取りに注意して迎撃してくれ!」

 

 ここでの戦いはあくまで味方が撤退するまでの時間を稼ぐためのものだ。フェデリコたちを無理に撃墜しなくてもいい。

 それに、時間を稼げばきっと……と、この後の展開を想定しながら、イフリートのサーベルを抜き、迫るフェデリコを迎え撃った僕は、ビームサーベル同士の鍔迫り合いを行いながら彼とぶつかり合った。

 

『アリゾナ砂漠から随分と長い因縁になったな、黄昏!! だが、あの頃と状況は大きく変わった!! 俺もお前もザクに乗っていたが、今や新型乗りだ!!』

 

「本当に……! ここまで厄介な相手になるだなんて、思ってなかったよ!!」

 

 陸戦型ガンダムの性能もあるのだろう。しかし、鹵獲ザク部隊を運用していたフェデリコは、連邦軍でも一番といっていいほどに長くMSを操縦してきた男だ。

 戦術眼にも優れ、経験もある。何より、何度撃退しても執拗に戦いを挑んでくる彼とその部下の執念は、厄介極まりない。

 

(ソンネン少佐を助けたことに後悔はないけれど……この男たちが生きていることで面倒なことになったな)

 

 フェデリコの教えを受けた隊員たちはかなりの強敵だ。この男を生かしたことで、本当に面倒なことになった。

 しかし……僕たちだって何も変わらないわけではない。むしろ、MS乗りとしての経歴ならば、セモベンテ隊よりも上なのだ。

 

「アクセル! 相手の後衛を潰すよ!! 援護して!」

 

「了解だ、機動力で掻き回すぞ!」

 

 リリアのドムとアクセルのドムキャノンがバズーカを手に、砲撃を繰り出す。

 前衛のフェデリコたちを牽制しつつ、後衛で銃を構えるジムを狙い撃つ彼女たちの攻撃に、セモベンテ隊はタジタジになっていた。

 

『この新型、前はいなかったのに!! 速過ぎて攻撃が……ああっ!?』

 

『ソナっ!! くっ、火力も桁違いか!?』

 

 後衛のジムの一機が、ジャイアント・バズーカをシールドで防ごうとしたのだが……想像以上の破壊力を前にそのまま片腕を破壊されてしまった。

 もう一機の方もアクセルの砲撃を受け、武器を持つ手を破壊されてしまう。

 

「MS戦の経験値を積んでいるのはそっちだけじゃないんだ。お前たちのおかげで、僕たちだって強くなってるんだよ」

 

『くっそぉぉぉっ!!』

 

『バーンズ、止せっ!』

 

 後衛のジムが攻撃される様を目にして逆上したのか、前衛を務めていたジムの一機が一直線に切りかかってきた。

 頑張ってはいるが、隙が大きい。冷静にサーベルを構えた僕は、一度相手の刃を受け止めた後でバーニアを吹かして押し込み、弾き飛ばしてみせた。

 その直後、小隊員であるザクたちのマシンガンがジムを直撃し、バックパックに引火したことで大爆発が起きる。

 

『バーンズ曹長っ! クソッ!!』

 

『よくも曹長を殺したな、黄昏ぇぇっ!!』

 

 狂ったように叫びながら、後衛のジムがどうにか反撃を行おうとする。

 銃火器を失った彼らは片腕でサーベルを取り、攻撃を仕掛けようとしたのだが……それを残る一機のジムが制止した。

 

『二人とも待て! 味方の後衛部隊が敵の奇襲を受けてる! 黒い三連星が来たんだ!!』

 

『だから何!? みんなの仇を討たないと!!』

 

『俺たちが援護に行かないと味方は全滅だ! 敵討ちに拘って、仲間を見殺しにするつもりか!?』

 

 こうなると思っていた。マルコシアス隊のピンチはもう一つの奇襲部隊である黒い三連星たちにも伝わっていたはずだ。

 時間さえ稼げば、彼らが援護に来てくれる……その予想が的中し、先ほどまで僕たちに砲撃を仕掛けていた部隊が彼らの奇襲を受けていることを知った僕は、相手の会話を聞きながら思う。

 

(仇討ちに燃える人間だけじゃない。ちゃんと仲間のことを考えられる奴が、一人いる)

 

 前衛を担当していたジムのパイロットは、他の仲間たちと違って冷静さを残している。

 ここで彼が味方を制止してくれなければ、最後までやり合う羽目になっていたと……残り少ないイフリートのエネルギーを確認した僕は、仲間たちに撤退を告げた。

 

「もう十分だ! ここは退こう!」

 

「了解!」

 

 既に僕たちは山道での戦いを行い、その後大急ぎでマルコシアス隊の援護に駆け付けた。

 連戦と移動によって弾もエネルギーも限界が近く、これ以上の戦闘は避けた方が無難だという僕の判断にリリアたちも同意してくれたようだ。

 

 唯一の不安材料はフェデリコが命懸けで追撃をしてこないかということだが……彼もジムのパイロットの話を聞いて冷静になったのか、黒い三連星からの攻撃を受ける味方部隊の援護に向かうことを決断していた。

 

『また借りが増えたな、黄昏……! いつか、お前だけは、俺の手で必ず……!!』

 

 そう呻くフェデリコからの恨み言を聞きながら、僕は彼との因縁に終止符が打たれる日が来るのかと疑問に思う。

 ソンネン少佐の生存と引き換えに生まれてしまったこの因縁は、本当にどこかで終わりになってくれるのだろうか?

 

 仮に彼を討ったとして、その部下が僕のことを狙うだけなのでは……と考えたところで、そんなの相手を全て殺すまで終わらない戦いじゃないかと、恐ろしさを抱く。

 でもそれが戦争というものの在り方なのかと思いながら、今は窮地に陥っていた仲間たちを助けられたことを喜ぼうと、僕は考えを切り替えるのであった。




大変申し訳ないのですが、少しの間忙しくなるので一日二話投稿ができなくなると思います。

0時か18時の投稿どちらかになる日が続くと思いますが、ご容赦頂ければ幸いです。
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