ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに!   作:じおじお

81 / 89
VSグール隊

「あいつ、裏切り者なんだろ!? じゃあ殺してもいいんだよな!?」

 

「誰が殺せるか勝負しようぜ! 勝つのは俺だけどな!!」

 

「コックピットだけ潰せたら、あのMSも奪っていいかな? いいよな、クローディオ!!」

 

「好きにしろよ! まずはあいつを殺すぞ! 連邦の愚図も一緒にな!!」

 

 欠片も緊張感のない、戦争をゲームか何かと勘違いしているような不快なやり取り。

 ただ殺すことを楽しみ、蹂躙することに狂喜するグール隊の面々の言葉と、先日の作戦中の彼らの人とは思えない所業を思い返した僕はぐっと唇を噛み締める。

 

 これが人体実験の結果だというのならば、同情する部分もある。

 しかし、彼らがやっていることを考えると、手を抜いてやるという気持ちには一切なれなかった。

 

『来るぞ! 気を付けろ!!』

 

 レックスの声を受けた僕は、飛来するジャイアント・バズーカの弾を横に跳んで回避した。

 着地したところでヒートサーベルを手に斬りかかってきたもう一機のドムを、その動きを読んで抜いておいたビームサーベルで受け止める。

 

「受け止めた!? こいつ、俺の動きを――!?」

 

 確実に隙を突いたつもりだったであろうドムのパイロットが驚きの叫びを上げる。

 多分、この一撃で仕留められると思っていたのだろう。防がれるのは予想外だったはずだ。

 

 連携……というにはお粗末な動きだったから、味方の攻撃を利用して僕を仕留めにかかった彼であったが、この程度ならばセモベンテ隊の連携の方が何倍も脅威だ。

 わざわざイフリートの間合いに入ってくれたことを感謝しながら、もう一本のビームサーベルを抜いて敵を仕留めようとした時だった。

 

「っっ!?」

 

 突如として感じ取ったプレッシャーに反応するようにドムを跳ね退け、反射的に後方へと跳ぶ。

 次の瞬間、空中から飛んできたメガ粒子砲が味方であるはずのドムを撃ち抜き、爆発四散させた。

 

「ちぃっ! 使えないなぁ!! もう少し足止めしとけよ、馬鹿が!!」

 

「貴様っ! 味方を……!!」

 

 味方のドムと鍔迫り合いをしている僕が足を止めている様を目にしたクローディオが、仲間を犠牲にすることを理解した上で僕を殺すためにメガ粒子砲を撃ってきた。

 仲間を撃つことを微塵も躊躇わず、こうして自らの手で殺めたというのにも関わらずに悪態を吐くその姿に、僕は怒りの炎を燃え上がらせる。

 

(こいつらはどこまでも自分のことしか考えてない。自分以外の命に塵ほどの重みも感じていない、グールだ!)

 

 親玉のギベオンが()()なのだから、子分であるこいつらも同じタイプの人間であることはわかっていた。

 だが、こいつらは僕の想像以上……いや、想像()()だ。その名の通り、こいつらは人間ではなく化物(グール)なのだろう。

 

 こんな奴らが他にも大勢いる。その事実に、僕は恐怖した。

 同時に、ここでこいつらを仕留めておかなければ後に大きな犠牲が出ることを確信した僕へと、もう一機のドムが躍りかかってくる。

 

「隙あり~っ! 死ね~~~っ!!」

 

「お前たちは……ふざけているのかっ!?」

 

 目の前で仲間が死んだというのに、それをむしろ喜ぶような声を出しながら突っ込んでくるドムへと、怒りの叫びを叩き付ける。

 そのまま手にしていたビームサーベルを振るえば、突っ込んできたドムは狂気的な笑い声を響かせ続けながら上半身と下半身を泣き別れにした後で大爆発を起こした。

 

(これで二機! 残りは――!?)

 

 ドムは殲滅したが、まだグフとアッザムが残っている。

 残る敵と共にレックスの状態を確認した僕は、彼がグフと戦っている姿を目にした。

 

「あははっ! また痺れさせてやるよ!!」

 

『ぐっ! このぉっ!!』

 

 近接戦闘を行っていたレックスは、グフのヒートロッドをどうにか回避し続けている。

 懐に飛び込もうにもロッドの攻撃を掻い潜れずにいた彼を援護するように、僕はマシンガンを放った。

 

「うわっ!? よ、横からっ!?」

 

「今だっ!!」

 

『うおおおおおおおおっ!!』

 

 マシンガンの斉射を受けたグフが僕に意識を向けたその瞬間、レックスは動いた。

 サーベルを抜き払うと共に真っすぐに突っ込み、グフのどてっぱらにそれを突き刺す。

 胸部装甲からバックパックまでもを貫通する刺突攻撃を繰り出したジムは、そこからグフを蹴り飛ばして距離を取ってみせた。

 

「わああああっ!? そんなっ! そんなああっ!?」

 

 恐怖に満ちた悲鳴が響いた後、グフが爆発を起こす。

 これで敵のMSは撃破できたと考える僕へと、レックスからの通信が入った。

 

『すまない、助かった!』

 

「気にしないでくれ。君も見事だったよ」

 

 思い切りがいい……先の戦いを見た僕のレックスへの印象がそれだ。

 アッザムリーダーの攻撃を受けたせいで距離を取ることがままならなかったとはいえ、近接戦闘が得意なグフのペースに付き合ってしまっていたという腕の甘さはあるが、それでも一瞬のチャンスをものにする踏ん切りの良さは驚異的な爆発力を生む。

 

 僕との協力をフェデリコに進言したことから考えても、度量はかなりのものだ。

 この逸材がフェデリコの下で戦術を学び、MS戦の経験を積んだら……と考えた僕は、彼が将来強敵として自分の前に立ちはだかる予感を覚え、僅かに息を飲んだ。

 

『これでMSは撃破できた! あとはあのMAだ!』

 

「ああ。だが、問題は――」

 

 そこで彼からの言葉を受けた僕は、目の前の戦いに意識を集中させていく。

 MS小隊は撃破できたが、まだ厄介な敵が残っていると言おうとしたところで、上空のアッザムからメガ粒子砲が飛んできた。

 

「使えない奴らばっかりだな! でも、いいや!! お前たちを殺すのはこの僕だ!! 一番楽しいところを独り占めできてラッキーだぜ!!」

 

『くそっ! 好き勝手撃ってきて!!』

 

 一方的な攻撃に苛立ったレックスがマシンガンを放つも、アッザムには微塵もダメージが入らない。

 マゼラトップ砲の直撃すらも耐えられるように装甲を強化したMAだ。この距離かつマシンガン程度の火力では普通に直撃させても何の意味もないだろう。

 

 アッザム改を正攻法で倒すのならば、ビームライフルのような火器が必要になるのだろうが、生憎僕の手元にはそんな便利な武器はない。

 ……どこぞの天パはビームジャベリンでどうにかしたって? あれは例外だから除外してほしい。

 そもそも近接戦闘を仕掛けようにも、狡猾なクローディオは僕たちのMSが飛び乗れる高度までアッザムを下ろすことなんてしないだろう。

 

 今のところ、僕たちには決め手がない。アッザムのエネルギーが切れるまで回避し続けるくらいしか打つ手はない……と、クローディオは考えているだろう。

 

「……レックス、だったよね? このままじゃジリ貧だ。それはわかってるだろう?」

 

『ああ! でも、どうすれば……?』

 

 レックスもこちらに有効打がないことを理解しているのだろう。

 そんな彼へと、僕は言う。

 

「……方法がないわけじゃあない。僕に考えがある」

 

『えっ!? 本当か!?』

 

「ああ。ただ、この作戦は僕たち二人の内、どちらかが貧乏くじを引くことになるだろう。それでも……君は乗るかい?」




・『アッザム改』

感想で「こいつ動きがトロいなら狙撃できんじゃないですかね?」というご意見をいただいたので、解説がてらちょこっと紹介を……。

アッザム改はゲーム作品を元にした『機動戦士ガンダム戦記 Lost War Chronicles』という漫画作品に登場するMAです。(同作を題材にしたGジェネのステージにも出てます)

こちらの作品内で陸戦型ジムの180㎜キャノンの直撃を凌いでたりするくらいに装甲が硬く、装甲を無視できるビームライフルを持っていないMSだと有効打を与えるのはかなり厳しかったりします。
なので実弾武装だと狙撃はできても撃破まではいけない……という形になると思います。
ガンキャノン、ガンタンクならいけるかもしれませんが、機動力のないこの二機だと上空からのメガ粒子砲はかなり脅威になる気もしますね。

アクションゲームに登場する時は結構な動きをするのですが、やっぱり巨体なので割とダメージは入れやすいです。

ビームスプレーガンが主装備のジムが量産されたら普通にやられるようになるとは思います。
『機動戦士ガンダム』ではアムロが普通に近接戦闘で倒してたので(普通のアッザム相手ではありましたが)、作品ごとに強さがまちまちでよくわからない機体な気もしますね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。