ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに!   作:じおじお

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僅かな休息、次なる出会い

 Z87ポイントは、オデッサ近郊に作られた小さな補給基地だった。

 ここを経由してオデッサ基地に物資を運ぶためか、ガウが十分離着陸できそうな滑走路が用意されており、まだ連邦が制空権を握っていないこともあってか、輸送機さえあれば脱出できそうな雰囲気がある。

 

 僕たち以外にも通信を聞いて集まったジオン兵はかなりの数がいたが、戦えるMSはほとんど皆無といった状況だ。

 戦力になりそうなのは僕たちと、この基地を押さえてくれた小隊くらいのものかと考える僕へと、ヒルドルブから降りたソンネン少佐が声をかけてくる。

 

「久しぶりだな、ガキども。少しデカくなったんじゃないか?」

 

「お久しぶりです、ソンネン少佐。先ほどは助けてくださって、ありがとうございます」

 

「気にすんな。偶々、ああして出くわしただけだしな」

 

 そう、以前と何ら変わりない様子で応えてくれたソンネン少佐は、僕たちの救援に駆け付けるまでに何があったかをかいつまんで話してくれた。

 

 数か月前にオデッサに配属された少佐は、ヒルドルブと共にオデッサ近辺で戦いを続けていたらしい。

 ヒルドルブの驚異的な性能と少佐の腕前もあって、連邦軍から恐れられるようになっており……どうやら陸戦強襲型ガンタンクとも何度かやりあっていたようだ。

 

 本来の歴史では三機しか生産されなかったあのMSが量産されていたのは、ヒルドルブに対抗するためだったのかと理由に納得した僕は、そこからも少佐の話を聞いていく。

 

 とはいっても、そこからは僕たちの事情とそう変わりはない。

 戦闘中にガルシア・ロメオ少将(バカ)が離脱した上に核ミサイルを発射するという宣言を聞かされたことで少佐の所属部隊もパニックに陥り、連携が取れなくなったのだとか。

 そこを連邦軍に攻撃され、部隊は散り散りに。どうにか味方部隊と合流しようとしたところで連邦軍の進軍を止めようと戦う部隊の存在を知り、そちらに向かって……僕たちと出くわした、というのが経緯らしい。

 

「とんだ再会になっちまったが……こうして生き残れたってことは、運が良かったって言ってもいいだろ」

 

「間違いないですね……」

 

 あの地獄のようなオデッサを、一時的にとはいえ生き延びることができた。

 こうして恩人であるソンネン少佐と再会し、危機を救ってもらったことを考えても、間違いなく運が良かったといえるだろう。

 

 だが、まだ僕たちを取り巻く状況は何も変わっていない。連邦軍がこの基地に進軍してくる前にオデッサから脱出しなければ、待っているのは死だ。

 そのためのプランが用意されているのかと考えていた僕たちへと、仲間のジオン兵が声をかけてくる。

 

「なあ、あんたらMSのパイロットだろ? ここを仕切ってる部隊からの伝言で、代表者に会いに来てもらいたいんだってさ。あと、機体のメンテナンスもしたいそうだから、そっちにMSを移動させてくれって」

 

「わかりました。じゃあ……僕とソンネン少佐が話を聞いてくるから、リリアたちはMSの整備をお願い」

 

「合点承知!」

 

 おそらく、呼び出しの理由はこの後の作戦行動に関するブリーフィングだろう。MSの整備を行うのも、戦闘を見越してのことだ。

 戦力はそこまで多くないが、この基地を仕切っている部隊には脱出のためのプランがあるのだと考えながらテントに向かう最中、ソンネン少佐が言う。

 

「クロス、お前……童貞卒業(・・・・)したな? 相手はリリアだろ?」

 

「ぶふっ!?」

 

 突拍子のないその質問に盛大に吹き出した後、思い切りむせ込む。

 急に何を言うんですかと視線で訴えかければ、ソンネン少佐は愉快気に笑いながらこう言ってきた。

 

「そうかそうか、ついにお前も一人前の男になったか! それにしてもよくもまあお前の主砲があのちびっこの中に納まったもんだ。随分と念入りにチューニングしたんだな」

 

「ちょっと、少佐!? 今、その話をする必要ってありますか!?」

 

「馬鹿野郎。面倒見てやった弟子が立派に成長したんだ、師匠としては感慨深いもんなんだよ。いや、実にめでたい話だな」

 

 ニヤつきながら腕を組み、うんうんと頷く少佐の横顔を見ながら、僕は引き攣った表情を浮かべる。

 そもそもどうして僕とリリアが恋人になったことをわかったんだと思いつつ、優秀な戦車兵である少佐ならそういう部分に気付くかとも納得してしまったところで、一人の女性兵士が声をかけてきた。

 

「わざわざご足労ありがとうございます。こちらへどうぞ」

 

「あ……ど、どうもです……」

 

 まだ若く物腰穏やかなその女性に今の会話を聞かれていないよなと、一気に不安になった僕が小さくなりながら応える。

 全く動じずに堂々と先を行くソンネン少佐の態度に呆れと尊敬を半々で抱く中、僕はふとあることに気付いた。

 

(あれ? 今の女の人、どこかで見たような……?)

 

 今、僕たちの前を歩く優しい雰囲気の女性だが、どこかで見たことがあるような気がする。

 何かの原作キャラなのだろうか? でも名前は出てこないし、日本人っぽい顔立ちをしているから前世の記憶を刺激されただけで、ただの勘違いかもな……と考えたところで僕たちを呼び出した人物がいるテントに到着した。

 

「隊長、お客様です」

 

「ああ、ありがとう。ユウキ伍長」

 

 そう、ユウキと呼ばれた女性兵士に応えたのは、やや青みがかった黒髪をオールバックにした男性だった。

 階級はおそらく少尉で、僕とソンネン少佐よりも階級が下である彼は、振り向くと共に僕たちへと敬礼をしながら口を開く。

 

「急にお呼び立てしてしまい、申し訳ありません。本来ならば自分が出向くべきなのですが、今は手一杯で……」

 

「気にしないでくれ。そういうお堅いのもなしだ。このクソッタレな地獄から抜け出すために協力する者同士、階級は気にせずにいこう」

 

「はっ……! ありがとうございます」

 

 青年というには歳を取っているが、中年と呼ぶには若々しいその男性がソンネン少佐の言葉を受け、少しだけ態度を崩す。

 一拍間を開けた彼は、改めて僕たちに向き直ると口を開いた。

 

「自己紹介が遅れました。自分はダグラス・ローデン大佐麾下、MS特務遊撃隊レッドチーム隊長、ケン・ビーダーシュタット少尉です」

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