共食いの魔化魍に関する事を調べる為に東京までバイクで走る。
これまで、数多くの異常発生した魔化魍の報告を聞いたが、共食いを積極的に行うのは、珍しい。その情報がもたらした緊張感は全身に広がり、風景が次々と流れていく中でも意識は鋭く集中している。
「そんなに共食いは珍しいのか?」
そう猫猫は、俺に訪ねる。彼女の声には好奇心と共に一抹の緊張感が漂っていた。
「稀にだが、魔化魍を育てる育ての親となる男女一組の怪人である童子と姫を食らって、飢えを凌ぐとは聞いたが、今回は童子が育てるべき子を食らった。それがかなり異質なんだ」
これまでにない情報を聞いて、俺もハンドルを握る力は自然と強くなる。手のひらには冷たい汗が滲み、風を切る音が一層強くなる。心臓が早鐘のように鳴り響き、まるで全身が戦闘モードへと切り替わるかのようだ。周囲の景色は次々と後方に流れ去り、俺の視線は前方に固定されたままだ。
「けど、そいつを調べればまた一歩、近づけるかもしれないよ。魔化魍の謎に」
そう猫猫は、これから向かう恐怖の対象にどこか興味を持っているのか不敵に笑う。その笑みは不安を煽る一方で、希望の光としても映る。彼女の視線には決意と興味が交錯しており、それが俺にも影響を与える。
「なんというか、お前は本当にマッドサイエンティストじゃないよな?」
「そういう部分があるのは認めるよ」
「でも、その知識と勇気は頼りにしているよ。猫猫」
俺の言葉に、猫猫は一瞬驚いた表情を見せた。しかしすぐに微笑みを浮かべる。その微笑みには感謝と自信が込められており、それが俺の心にも勇気を与える。
「ありがとう。それじゃあ、一刻も早く東京へ向かおう。そしてこの謎を解き明かそう」
「そうだな。それじゃあ、行こう」
そうして、俺達が辿り着いたのは河。
夕暮れの陽射しに照らされた河は、水面に金色の光を反射していた。河辺には青々とした草が生い茂り、風に揺られてそよそよと音を立てる。その河の近くに合流する予定の人物と会う。
彼らの姿が遠くからでもはっきりと見える。その輪郭が徐々に鮮明になり、彼らが俺達を見つめていることがわかる。
「あれ、もしかして猴鬼君かい?」
その声はどこか懐かしさを帯びており、その言葉には親しみが込められていた。
「おぉ、響鬼と威吹鬼もいたとは」
その言葉と共に、今回の共食いの1件は重要になるらしい。
彼らの表情には緊張と不安が交錯し、その声には重みがあった。
河の流れる音が背景に響き渡り、その静けさが一層彼らの存在感を際立たせていた。
夕暮れの陽射しは彼らの影を長く伸ばし、その影が河辺に広がっていた。