猫猫を安全な場所まで避難させた俺は、ゆっくりと振り返り、九尾の狐を見据えた。その目には、確固たる決意が宿っていた。
「猫猫、ここは俺が何とかする。絶対に出て来るなよ」
そう言うと、俺は手に持つ如意をしっかりと握りしめた。如意の重みが手に伝わる。その感触は、まるで俺の決意を支えてくれるかのようだった。
九尾の狐は、ゆっくりと立ち上がり、その巨大な体を揺らしながら俺に向かって歩み寄ってきた。その足音は大地を震わせ、周囲の木々を揺らしていた。
その姿は圧倒的な存在感を持っており、その巨大な体躯はまるで山の一部のようにも見えた。その巨大な身体から放たれる圧力は、まるで重力が増したかのように感じられた。
九尾の狐の毛は、白銀と深紅のグラデーションを持ち、その輝きはまるで太陽を反射しているかのようだった。その美しさは、恐ろしいまでの迫力を持っていた。
「猴鬼」
「とにかく逃げろ」
それと共に、俺は懐から取り出したディスクアニマルを投げ、猫猫をその場から離す。
ここが安全かどうか分からない以上は油断は出来ない。
それと共に、俺は脚に力を込め、真っ直ぐと九尾へと向かう。
九尾もまたこちらに存在を察したように九尾は、その尻尾が槍のように襲い掛かる。
その一撃に、俺はすぐに避ける。
「身軽で良かったよ、本当に」
如意を器用に回転させながら、その一撃を受け流す。その瞬間、如意から火花が散った。
「……」
俺は如意を強く握り締めながら、九尾の狐を睨みつけた。その目には、覚悟が宿っていた。
「今までにない強敵だ」
俺は呟きながらも、九尾の狐に対する恐怖を必死に押し殺そうとした。その強大な存在感は、俺の心に恐怖を植え付けていた。
けれど。
「負ける訳にはいかないんだよぉ!!」
同時に尻尾に向かって、俺は如意を振り下ろす。その一撃は、九尾の狐の尻尾を地面に叩きつけた。
「ぐおぉぉぉぉ」
九尾の狐は悲鳴を上げながら、その巨大な体を揺らした。
その悲鳴は、まるで大地を揺るがすかのような力強さを持っていた。その音は、森全体に響き渡り、木々を震わせていた。
そして、悲鳴は衝撃波となって、俺に襲い掛かる。
それと共に俺は木々の枝葉で受け止めながら、そのまま九尾の狐に接近する。
接近する最中。
九尾は槍のように尻尾を襲い掛かる。
その一撃に、俺は如意を使って受け止めようとするが、その威力は圧倒的であり、俺は吹き飛ばされた。
地面を転がりながら、俺はなんとか体勢を立て直した。しかし、その体は既に限界に近づいていた。
「まだだ!」
俺は叫びながら、再び九尾の狐に接近する。
しかし、その身には炎が灯り。
「まずっ」
俺はすぐに避ける。
九尾の狐の口から放たれた炎は、周囲の木々を燃やし、地面を溶かしていた。
その炎はまるで生き物のように蠢きながら、俺を追いかけてきた。
あと少し、追いつかれそうになった時。
「まさか、たった一人で挑む馬鹿がいるとはな!」
聞こえた声と共に、迫る炎を防いだ影。
見ると、そこにいたのは。
「白鬼に、誰だ?」
そこには見た事のない鬼が二人。
「おい、白鬼、まさかこの人が?」
「あぁ、ここ最近になって話題の旅をしている鬼だ」
「強いのか?」
「あぁ、勿論」
「そうか、これ以上、こいつを放っておく訳にはいかないからな」
そうしながら、二人はこちらを見る。
「私は鳳鬼、こっちは弟子の隼鬼だ」
思わぬ助っ人に対して、俺は思わず笑みを浮かべた。