鬼となる為には、変身のためには厳しい修行により肉体を極限にまで鍛え上げる必要がある。
その為、俺は師匠の元で鍛えられた際は、特に疑問に思っていなかった。死にそうな事は数え切れない程あった。しかし、それでも生き残る事が鬼となる最低条件だと思っていた。
様々な環境に耐える為に。
極寒の冬の山中。
真夏の灼熱の砂漠。
それらの過酷な環境の中、修行を重ねた。
そのおかげで、俺は鬼となる為の資格を得た。
だけど、それが勘違いである事は理解出来た。
「・・・おい、轟鬼?大丈夫か?」
「しっ死にます」
轟鬼は汗だくになりながらも、なんとか立ち上がった。
「・・・本当に大丈夫か?」
俺は心配しながらも、轟鬼に声を掛けた。
立ち上がっていたが、その脚はまるで生まれたての子鹿のように震えている。
「いや、本当に大丈夫か?」
俺はもう一度、声を掛けた。
「大丈夫っす」
轟鬼は息を切らしながらも、答えた。
「本当に?」
俺は少し疑いの目を向けながらも、尋ねた。
次の瞬間。
「・・・無理」
轟鬼はその場に倒れ込んだ。
「・・・」
俺はその光景を見て、少し呆然としてしまった。
轟鬼はそのまま動かなくなり、その姿はまるで死んだ魚のように見えた。
「やりすぎちゃったのかなぁ、響鬼さん?」
「まぁ、結構過激にやっているからね」
俺が尋ねると、響鬼さんは呆れたように言う。
「とりあえずは、少し休ませれば回復するだろう」
「そうか」
俺は轟鬼を担ぎながらも、木陰へと運ぶ。
木陰で休んだ轟鬼は、その後、翌日まで目覚めなかった。翌日で目覚めた際には、筋肉痛をしていた。
「おい、轟鬼、起きろ」
俺は声を掛けながらも、轟鬼を起こした。
轟鬼は眠そうに目を擦りながらも、ゆっくりと起き上がった。
「やっヤバいっす、こんな筋肉痛、初めてです」
そうしながら、未だにブルブルっと震えていた。
「そうか、とりあえずは、太鼓、叩いてみるか」
「えぇ、そんな無茶な」
「良いから、行け。優しい内になぁ!」
俺はそのまま轟鬼を担ぎながらも、寺にある大太鼓まで連れて行く。
そして。
「叩いてみろ」
「えっ」
「良いから」
俺の言葉を聞くと、轟鬼は少し困惑しながらも、太鼓を叩く。
すると。
「おぉ」「えっ」
太鼓を叩くと共に、轟鬼はその音に困惑していた。
「俺、こんなに凄い音が出せたですか」
それと共に、轟鬼は呟く。
「凄いだろ、猴鬼の修業方法は、ヤバいからな。大体の奴はこれで音撃鼓は上手くなるから」
「まっまぁ、あの時の成果があれば」
そうしながら、轟鬼は苦笑いをしていた。