猫猫の爺さんが、俺の事を知っている。
それに対して。
「爺ちゃん、鬼の事を知っているのか?」
猫猫もまた、その事に対して驚いたように見つめる。
すると、爺さんは少しだけ腕を組む。
「・・・まぁな、儂はここでとある物の管理を行っているからの」
「とある物?」
「そんなの初耳だぞ」
猫猫もまた、その事を初めて知ったようで、思わず言う。
けれど。
「それは、猫猫が鬼と関係を持つ事はないと考えていたからのぅ。まぁ、まさか鬼の彼氏を連れてくるとは思っていなかったが」
「いや、彼氏じゃなくて、どちらかと言うと仕事仲間だけど」
「まぁまぁ、それで聞くが、君は確か、猴鬼君じゃったな」
「はっはい、そうですが」
「なるほどなるほど、猴鬼君」
すると、爺さんはそのまま俺を見る。
「すぐにここから立ち去りなさい」
瞬時に鋭い瞳でこちらを見る。
「ちょっと、爺さん、いきなり何を言っているんだよ。確かに猴鬼は鬼だけど悪い奴じゃないよ」
「分かっているよ、ここまで猫猫を守ってくれたのは知っている。だからこそ、これは親切心で言ったのだよ」
「親切心で?」
「この寺に封印されているのは、君達、鬼にとっては厄災となる物が封印されている」
「厄災になる物」
そう、爺さんは頷く。
「獣槍」
「獣槍?」
まるで聞いた事のない物に対して、俺は首を傾げる。
「あぁ、かつて、どこからかやってきた槍。その槍は魔化魍だけではなく当時の鬼達も殺したとされるとんでもない代物。手にした物には絶対的な力を与えるが、それと同時に暴走する危険性もある」
「そんなの、なんで破壊しようとしなかったんだ」
「破壊出来ないんじゃよ、獣槍は破壊しても、すぐに再生される。故に封印するしか手はなかった。それを守る為に、儂はここにいるんじゃ」
「・・・マジで、そんなのが」
俺は思わず呟く。
「獣槍は、持ち主を選ぶ際に鬼、特に獣の性質を持つ鬼を持ち主にする事がある。猴鬼君、君の名前からして猿の鬼だとすれば」
そう考えていると、聞こえて来たのは、狐の鳴く声。
その声に、俺は知っている。
「猿鬼、これって」「っ」
すぐに俺は、飛び出す。
こちらに迫る巨大な火車。
俺は、腰から音叉を取り出し、そのまま構える。
「はぁ!」
すぐに鬼へと変身すると共に、手に持った如意で、迫る火車からの攻撃を受け止める。
同時に火車は、そのまま後ろに下がると共に、その姿を露わにする。
「あれは」
その顔には覚えがあった。
北海道で戦った九尾ではあった。
しかし、顔の周りには火炎を模した車輪があり、そこから正体が分かった。
「カシャか、けど、なんで九尾の要素が」
そう疑問に思っている間にも、カシャが襲い掛かってくる。