握り絞めている槍から感じる力に対して、俺は歯を食いしばりながらもその衝動を抑え込もうと試みる。
しかし一向に収まる気配がない。
それどころかどんどんと強くなっている気がする。
このままでは周囲に被害が出るどころか俺自身が危険であると悟った俺は苦渋の選択を行うことに決めた。
だが、そうしている間にもカシャが俺に向かって襲い掛かる。
俺はカシャに向かって突進していくと同時に手に持つ槍を横薙ぎに振り払う。
その動作によって巻き起こされた突風によりカシャの体が吹き飛びそのまま地面に叩きつけられた。
「ぐっ!」
カシャは苦痛の声を上げる。
そのまま俺は追撃を仕掛けようとした時だった。
いつの間にか復活していたカシャの尻尾が俺に襲いかかってきたのだ。
咄嵯に身を捻って回避するも完全に避けきれず肩口を僅かに切り裂かれてしまった。
「っ」
俺は一瞬だけ顔をしかめながらもすぐに表情を引き締め直し再びカシャへと向かっていく。
だが今度はカシャの方が先に動いた。
しかし、肩に感じる痛みは、既に回復した。
同時に、獣槍を真っ直ぐとカシャに突き立てる。
それに対してカシャは避けるも槍から放たれる衝撃波によって大きく吹き飛ばされる。
さらに追い打ちをかけるようにして振り上げた足を振り下ろすことで地面に叩きつけた後その上から踏みつけ続けるという行動に出る。
これによりカシャの動きを封じる事に成功する。
そのまま更なる攻撃を与えようと考えていた矢先のことだった。
突如として異変が起こる。
それは今まで感じたことの無い種類のものだった。
まるで何か別の生き物が自分の中に入り込んだような奇妙な感覚だ。
「きっキシャァァッ」
カシャは、獣槍から感じる力に恐怖を感じたのか、その場から逃げだそうとした。
それに対して、俺は脚の力を込めて、跳ぶ。
空を飛ぶカシャに向かって、獣槍で貫く。
槍の一撃を受けたカシャの身体は貫通し地面へ落下していく。
だが俺の攻撃は終わらない。
地面に着地すると同時に右手に持つ槍を全力で投げ飛ばす。
その勢いで空中に浮かんでいたカシャを真っ二つに斬り裂いたのである。
勝利を確信した俺はそのまま元の姿へと戻ろうとする。
だがその直前に全身の力が無くなったように倒れる。
「うっ……」
それと同時だった。
「猴鬼!」
すると、猫猫は俺を受け止める。
「大丈夫かっ」
「あぁ、けれど」
それと共に見つめた先には、俺の力を極限までに高めてしまった獣槍を見つめる。
封印された原因も理解出来た。
「こいつは、確かにヤバいな」