「まさか、獣槍が自ら飛び込むとは」
そう、猫猫の爺さんは呟く。
だが、俺は現状、起き上がる事は出来ない。
「あんなの、普通に操る事なんて出来ないぞ」
「まぁな、そもそも、あれは鬼の生命力を使い、強化する代物だからな。普通に考えれば死んでも可笑しくなかったからな」
「そんな物騒な物がこんな所にあるなんて」
そうしながらも、俺達は獣槍の方を見る。
先程、よく見る事はなかったが、それはかなり古い槍であるのは一目で分かる。
刀の部分は、かなり巨大な石であるのは分かる。
持ち手の部分は、かなり大きく、俺の持つ如意と似た長さをしている。
「とりあえず、こんなのは封印だ封印」
「それは、不可能じゃ」
「なっ、なんでだよ!」
獣槍がどれ程厄介な代物であるか理解し、俺はすぐに封印するように呟く。
しかし、猫猫の爺ちゃんはそれを遮った。
「その槍は所有者として認めた者を何時までも追い続ける。本人が望む望まないと関係なしにな。故に、お主が槍から逃れるのは死しかない」
「そんな」
猫猫はその言葉に呆然とするしかなかった。
その言葉に対して俺は驚愕するしかなかった。
あの槍がどれだけ危険なものなのかは理解しているつもりだったが、まさかそれ程の事だったとは。
猫猫は困惑していた。目の前にいる獣槍という存在はあまりにも強大であり、とてもじゃないが倒すことなど不可能だと思えたからである。
しかし一方で放置することもできないと判断していた。
何故なら先ほどの戦いで十分すぎる程に思い知ったからだ。
(どうすればいい)
今の俺には解決策が見出せない。
だが考えていても何も始まらないのでとにかく行動を起こすことにした。
獣槍の厄介さは嫌と言う程に理解させられた。
けれど。
「・・・だったら、やるしかないな」
「えっ」
同時に、俺は獣槍を見つめる。
「力のヤバさは実感出来た。ならば、それに負けない力をつけるだけだ」
「それって、どういう事」
俺の言葉に猫猫は疑問に思う。
「鬼は鍛える事でその力を高める。そんなのは当たり前だ。だったら、俺は獣槍を使いこなせるまで鍛える必要がある。それが今の俺のすべき事だ」
考えれば、これは俺にとっては大きな一歩かもしれない。
これまで、自分がどのように鍛えれば良いのか分からなかった。
けれど、この獣槍のおかげでその方向性が見えた。
ならば、後はやるべき事をやるのみ。
「・・・けど、どうやって鍛えるの?」
その言葉を聞いて、俺はしばらく止まる。
そして。
「とりえあず、響鬼さん達に相談してみるか」
一人で分からない事も、先人達であれば分かる事だろう。
そうして、俺は猫猫と共に神社から離れる事にした。