神社の境内が光に包まれた。
変身を終えた猴鬼・斉天の姿が明らかになる。漆黒の体に黄金の装甲を纏い、伸びた髪が風に揺れる。手には獣槍が輝きを放っていた。
「これは……」
響鬼が驚きの声を上げる。
俺は獣槍を構え、敵である魔化魍を見据えた。
マンネンタケ――その姿は異様だった。
竹のように伸びる細長い胴体に、カマキリのような鋭い鎌が生えた枝。八本の蜘蛛の脚が地面を這い、竹の葉が風に舞うように刃となって揺れている。
「竹と虫と蜘蛛の特徴を持つ魔化魍……まさに妖怪だな」
響鬼さんが呟く。
マンネンタケは俺たちを見下ろし、竹の葉を鋭く震わせる。その葉が高速で回転し、無数の刃となって襲いかかってきた。
そして、マンネンタケとは別に、もう一体の魔化魍がいる。
ケルベロスのように三つの首を持ち、その内左右の顔の半分が白骨化した容姿になっており、鬼火の灯った尾を持つ異様な姿をしている。
それが、カマイタチがいる。
「それじゃ、あっちは頼むぞ」
そうして、響鬼さんはそのまま構える。
響鬼さんもまた、アームドセイバーで赤い鎧を構えて、真っ直ぐとカマイタチに構えた。
「来るぞ!」
俺は獣槍を眼前のマンネンタケに向け、戦闘態勢をとった。
マンネンタケの鎌のような枝が素早く動き、鋭い風を起こす。その刃が風を切り裂きながら迫ってくる。その姿は竹林の中を駆け抜ける狩人を思わせた。
しかし、獣槍を握る俺はその刃の軌道を冷静に読み解く。
「はっ!」
獣槍の一閃が空気を裂く。刃の風と獣槍が衝突し、轟音とともに爆ぜた。周囲の空気が振動し、境内の木々がざわめく。
俺の黄金の装甲に風の痕跡が残るが、傷一つない。
「なるほど、この装甲……想像以上だ」
小暮さんの言っていた通りだ。黄金虎の鎧は古の魔物との戦いに耐えうる強靭さを持っていた。
マンネンタケの本体が動き出す。
八本の脚が地面を這いずり、蛇のように滑らかな動きで距離を詰めてくる。その先端には毒々しい液体が滴り落ちていた。
「毒か……」
獣槍の力を解放する必要があると悟り、俺は姿勢を低くする。手に持つ獣槍に鬼の気が満ちていくのがわかる。
「はあぁっ!」
力を込めると同時に飛び出す。地面を蹴る感触さえも心地よく感じながら、一瞬でマンネンタケの懐に潜り込む。
獣槍がマンネンタケの中心を貫いた瞬間、体内から放たれた衝撃波が敵の肉体を内部から崩壊させた。
竹の幹が砕け散り、カマキリの鎌が折れ曲がる。蜘蛛の脚が痙攣するように震え、やがて力を失って地面に崩れ落ちた。
「これがあの獣槍の力……」
俺は獣槍を見つめる。その刃からは淡い光が放たれ、まるで生命体のように脈動していた。黄金の鎧に身を包んだ俺の身体からも同じようなエネルギーが放出されている。
「凄まじいな……」
遠くで戦っていた響鬼さんも俺の方を振り向いた。カマイタチとの戦いも一発で終わっていた。
「どうやら、お互いに終わったようだな」
「はい」
それと共に、俺達は頷き、戦いの終わりを理解する。