戦いの後、たちばなに戻るとすぐに小暮さんから連絡が入った。いつもの席に座りながら待っていると、小暮さんが小さな箱を持って入ってきた。
「どうやら、獣槍は安定したようだな」
「はい」
「その獣槍と黄金虎の融合システムについて詳しく話を聞かせてほしい」
俺は神社での戦いの詳細を小暮さんに伝えた。獣槍の制御と黄金虎の装甲との相性が良いこと、その結果として戦闘力が飛躍的に向上したことなど。
「なるほど……黄金虎のデータと獣槍の特性を組み合わせたか。興味深い」
小暮さんは興奮した様子でメモを取り始めた。
「その調子なら次のステップに進めそうだな」
そう言うと、小暮さんは机の上にアイテムを見せた。
「これって」
「獣槍の正体か……」
小暮さんは俺の言葉を聞いて目を輝かせた。彼は机の上に置いた資料を広げながら続けた。
「これは重要な発見だ。3つの音撃。それを一つの武器に全て詰め込んだ存在が、この獣槍というわけだ」
俺は獣槍を手に取った。普段は静かに収束しているこの槍が、いざというときにはその真価を発揮する。小暮さんの説明を聞きながら、俺はこの不思議な武器の能力を再確認した。
「獣槍の柄は、音撃打として直接魔化魍を叩くことができる。この赤布で柄を結ぶと音撃震となり、遠隔からの衝撃波を放つことが可能になる。さらに石突の部分を吹けば、音撃鳴として特定の周波数の音波を発生させる」
小暮さんは興奮気味に説明を続けた。
「これは革新的だよ。通常ならそれぞれ別々の武器で対応する音撃三種を、一本の槍で完結させている。これが、太古の時代に作られたとは信じられない」
「資料だけでは分からない技術が集結している訳ですか」
俺は獣槍を眺めながら考え込んだ。これまで獣槍が暴走していたのは、その圧倒的な力のせいだった。普通の鬼なら制御不能になり、場合によっては変身すらできなくなってしまう。
「しかしその力ゆえに、多くの鬼が命を落としてきた。使用者の鬼の気を極限まで引き出すことで初めて真価を発揮するが、その制御は並大抵ではない」
小暮さんの言葉に俺は頷いた。
「だからこそ俺が必要だったんだ。戦国時代の鬼に近い身体を持つ俺が」
神社の境内を見渡すと、静寂が広がっていた。これまでの激しい戦いの余韻がまだ残っているようだ。
「でも、本当に俺にしか使えなくていいんだろうか」
俺の問いかけに小暮さんは真剣な表情で答えた。
「それが問題なんだ。今の所この獣槍を使えるのは、戦国の鬼の特訓を受けた君にしかいない。これは大きな課題だ」