俺が降り立つと共に、周辺の状況を見る。
未だに雪が熔けておらず、白い雪景色。
だが、その雪景色の中で、一人の鬼の方に目を向ける。
「あぁ、鬼?けれど、お前のような鬼、見た事ないぞ?」
そう問いかけてくる現地の鬼である白鬼。
奴は、その手にある身の丈はあるだろう巨大な音撃管を片手に持つ。
見るからに、パワータイプの鬼だが。
「俺はお前と合流する予定の猴鬼だよ」
すると、白鬼は驚いたように。
「そうか、お前だったのか、けど悪いな。この状況を見ていたら分かると思うけど、こいつらの相手をしなくちゃいけないからな」
呟きと共に、白鬼が見つめた先。
そこにいた、魔化魍。
眼前には、周囲の雪景色に溶け込むように俺達よりも身の丈が巨大なナメクジ。
だが、そのナメクジにはトゲが生えており、周囲の雪にはその跡が見える。
「シシノケか」
「あぁ」
そう、眼前にいる魔化魍の名を告げる。
「面倒な奴だな」
その特性を知っている。
シシノケは、その身体に生えている棘。
その棘には、毒がある。
それは、普通の毒ではなく、この針に刺された人間や動物はゾンビの様な魔化魍に変貌する。
鬼の場合は体液に対してある程度の耐性はあるものの、時間の経過で次第に毒に飲まれ魔化魍に変貌してしまう。
故に。
「けど、単純にやる事は変わらないけどな」
「あぁ、そうだな、こいつを街へと行かせないように、ここで倒す」
そう、俺達が構える。
すると。
「イトッシャノウ」「イトッシャノウ」
それと共に、シシノケの怪童子と妖姫が現れる。
魔化魍と似た特徴を持つ怪童子と妖姫は、その身体にある針を俺達に向けて放った。
俺はその手に持つ如意を構える。
針を無視するの無理そうだ。
けれど。
「おい、猴鬼」
「なんだ」
「俺のはあいつに当てるのは難しいからな、鬼石を叩き込んでくれ」
そうして、渡されたのは、かなり巨大な鬼石。
「でけぇな」
「あぁ、だからこそ」
それと共に、音撃管を構えて思いっきり吹いた。
それと共に音撃管を思いっきり吹く。
「っ!」
音撃管から放たれた巨大な音。
その音は、白鬼の操る氷と共に放たれた。
氷の音は、そのままシシノケの針を凍らせ、吹き飛ばす。
「へぇ、面白いじゃないか!」
それと共に、俺は走り出す。
白鬼が、後ろから放たれる冷気と共に。
怪童子と妖姫は、俺に攻撃を仕掛ける。
だが、その攻撃の前に身体を凍らせる。
「ふぅ、はあぁぁぁ!!」
叫ぶと共に、俺は身体から炎を発しながら、怪童子と妖姫を砕いた。
「こいつは思ったよりもやりやすいなぁ!!」
本来ならば、脅威といえる攻撃。
それらの飛び攻撃を、無力化する事が出来る。
そして、炎を操る鬼の攻撃は、凍らせた奴らを簡単に砕けさえる事が出来る。
それと共に、ナメクジのように滑りのある身体だったシシノケの身体も冷える。
「これだけ出来るんだったら、なんでって」
そこから、一歩も動いていない。
その状況で理解する。
「なるほど、その場から動けないのか」
強い力故に、そのコントロールの為に、その場を動けない。
ならば。
「これを叩き込む!」
そう、俺は手に持った鬼石を、シシノケに叩き込む。
シシノケの凍っている身体に埋め込む形となる。
そして、俺はそのまま腰にある音撃鼓をシシノケにセットする。
「音撃打・夢幻の型!」「音撃射・雪嵐!」
同時に二人で合わせるように、音を叩き込む。
シシノケに襲い掛かるのは、全身を凍らせるような衝撃。
その衝撃はやがて、身体を砕く炎によって消えていく。
「「はぁ!!」」
その叫びと同時に、シシノケの身体が砕け散る。
「ふぅ、いやぁ、助かったぜ。あいつら相手には下手に近づく訳にはいかなかったからな」
「別に、こっちとしても、ある意味、収穫だからな」
「収穫?」
その言葉に白鬼は首を傾げるが。
俺は、シシノケの針を手に取る。
「この毒がな」