「なんて生命力だ……!」
再生していくヤマタノオロチを見上げながら呟く。周囲に散らばる魔化魍の死骸を取り込むたびに、失った首がみるみるうちに復活していく。
「くそっ……」
いくら斬ってもキリがない。しかも今は俺一人。響鬼さんは儀式の最中だし、猫猫は戦えない。このままじゃ消耗戦になる。
だがその時―――
「まだ生きてるか?猴鬼!」
鋭い声が森に響き渡った。
振り返ると木々の間から飛び出してきたのは二人の鬼。
「威吹鬼さん!?轟鬼さん!?」
驚きの声を上げる俺の前で、二人は着地するや否や戦闘態勢に入る。
「状況はどうだ?」
「ヤマタノオロチです!倒しても魔化魍を食べて再生します!」
手短に状況を伝えると、威吹鬼の瞳が鋭く細まった。
「なるほど……」
轟鬼も頷きながら雷鳴剣を抜く。
「なら我々の役目は明白だな」
その言葉が終わらないうちに別の方向から更なる足音が聞こえてきた。
「猴鬼!待たせたな!」
茂みから次々と姿を現すのは他の地域の鬼たち。京鬼に虎鬼、犬鬼……他にも見たことのある顔がいくつも。
「みんな……!」
思わぬ援軍に胸が熱くなる。
「各自散開して魔化魍を殲滅!ヤマタノオロチの再生を阻止するぞ!」
威吹鬼鬼の号令一下、鬼たちが散らばる。
あちこちで武器が唸りを上げる音が響き渡り、魔化魍の断末魔が森に木霊する。
俺はその喧騒の中、ヤマタノオロチに向き直った。
「さぁて……第二ラウンドだ!」
翼を広げて宙に舞い上がる。眼下では仲間たちが次々と魔化魍を屠っていく。
「これで再生は抑えられるか……!」
その時だった。
「猴鬼!」
地上から猫猫の声。振り向くと彼女が何かを投げてくる。
弧を描いて飛んでくるそれは――
「アームドセイバー!?」
思わず受け取ると、それは確かに響鬼さんが使っていた愛刀だ。
「響鬼さんから預かったの!使えって!」
猫猫の声が風に乗って届く。
刀身に触れると温かい清めの気配を感じた。まるで響鬼さんの鼓動そのものだ。
「ありがとう……!」
自然と感謝の言葉が出る。
深呼吸一つ。
「師匠、力を貸してください」
心の中で呟きながら構えると、体に変化が起きた。
「なんだ……これ?」
皮膚が硬質化していくような感覚。全身から赤い波動が立ち昇る。
鏡があれば分かるだろう。今の俺は……響鬼さんに似た姿になっているはずだ。
「今ならば、負ける気がしねぇ!」
それと共に片手には獣槍、もう片方には託されたアームドセイバーを構え、俺は眼前にいるヤマタノオロチを睨む。