「ここが、山口県」
その言葉と共に、既に定位置となっているサイドカーに乗っている猫猫は到着した山口県の光景を見渡す。
中国地方の西端に位置する県。本州最西端の地にして九州および韓国の玄関口。
そんな山口県のどこまでも海を見渡す事が出来る橋、角島大橋の上を走っている。
「結構綺麗な海が見れるんだ」
「北海道でもそうだけど、日本はこういう風景が多いよね」
猫猫の言葉に続くようにしてハンドルを握っていた俺は、自然と口から笑みが零れる。
鬼として活動している事もあり、こうした自然の光景を見る機会はあまりなかった。
それは、自然の中に。
けれど、俺達鬼にとって、自然は最大の味方であると同時に最大の敵がいる場所でもある。
だからこそ、自然を楽しむという思考は今まで持たなかったというか考える余裕すらなかったといった方が正しいだろう。
「……それにしても、ここに本当にいるのか?その合流する予定の月鬼がいるのは」
「そのはずなんだが」
俺達は、角島大橋を走っている最中で。
「んっ、電話、猫猫」
「えぇ、私が出るのか」
そうしながら、連絡が来た。
俺は運転している為に、電話に出る事が出来ないので猫猫に頼む事にした。
そのまま、電話に出た猫猫が頷いていた。
「猴鬼、何やら近くの島で騒ぎがあるようだが」
「騒ぎ?」
疑問に思い、俺達は近くの島に目を向ける。
その島から僅かに見えたのは、何か飛んでいる存在。
それには見覚えがあった。
「何あれ?えっと蚊?」
その姿を見た猫猫は首を傾げる。
だが、その正体を理解した。
「ニクスイ!」
「にくすい?なんだ、それは」
「等身大の蚊の魔化魍だ。奴らは他の魔化魍と比べても繁殖力が凄まじいから、すぐに倒さなければヤバいっ」
俺はそのまま道の端にバイクを止め、そのまま変身を行う。
「おい、相手は空を飛ぶ奴だぞっ」
「問題ないよっと」
そう言いながら、俺はバイクに仕舞ってあったディスクアニマルを取り出す。
ディスクアニマルに音叉の音を出す。
それと共に、ディスクアニマルを起動させる。
そのまま、ディスクアニマルは、そのまま動物の形である鷹へと変わる。
けれど、その大きさは通常のサイズよりも巨大になる。
「なっなんだ、これは」
「師匠から受け継いだ貴重な物だ、頼むぞ、相棒!」
そう、俺は茜鷹に乗る。
茜鷹に乗ると共に、そのまま空を飛んでいるニクスイへと向かい。
「ウキイイィィィ!!」
そう、ニクスイを叩き込みながら、そのまま島へと降り立つ。
ニクスイは、そのまま簡単に潰れる。
「なんだぁ!」
すると、その島には、俺以外の鬼もいた。
その姿は三日月を思わせる入れ墨があった鬼がいた。
おそらくは、月鬼だろう。
「お前が月鬼かって」
俺がそう言いながら、見渡す。
それと共に。
「おいおい、幾ら繁殖力が高いからと言って、なんだよこの数」
そのまま周囲を見渡すと、そこに立っていたのは、これまで見た事のないニクスイが飛んでいた。