迫真エリー都!ホロウレイダーと化した先輩   作:我蔦早瀬

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第11話 大噴出

その後の捜索は順調だった。

 

残る2体の知能構造体も、紆余曲折がありつつも無事発見及び保護することに成功した。

 

しかし、最後の1体・フライデーが驚くべき発言をした。

 

「創造主・ホルスに呼ばれた。」と。

 

その名はかつて会社を立ち上げ、知能構造体の基礎を築き上げ、そして会社の資金を持ち逃げして雲隠れした男___クレタの父親に他ならなかった。

 

同時に、グレースの調査により知能構造体は失踪前にとある信号を受信していたことが判明していた。

 

信号の送り主はBLG-Prototype。

 

旧都陥落の折に行方不明となった、白祇重工の知能構造体である初号機のものだった。

 

その調査の結果、プロトタイプの信号発生位置は旧都にほど近い「パイオニア記念公園」の施工予定地であることが判明した。

何の因果か、その場所は先代社長失踪前に最後に請け負った現場だった。

 

当時から白祇重工で働いていたベンとアンドーは奇妙な縁を感じざるを得なかった。

 

 

「いた!プロトタイプだよ!」

 

たどり着いた公園広場。グレースが指さす先に、確かに『それ』はいた。

 

完成すれば公園の観光名所になっていたであろう、白く巨大なモニュメントを支えるような形で微動だもせず静止していた。

 

「調べてみよう。アタシと姉貴とプロキシで操縦席を調べる。

ベンとアンドー、それに空手部はプロトタイプの周りを調べてくれ。」

「押忍!」「ん、おかのした。」

 

810秒後、クレタが書類の束と薬莢をもって操縦席から降りてきた。

 

「クレタ社長、これはなんゾ?」

「…操縦席にあったモンだ。あちこちに、同じ口径の弾痕もあった。

こっちの書類はこのプロトタイプの請求書だ。日付も署名も残ってる。

間違いなくあいつの筆跡だ。」

「社長、この金額はまさか…。」

「14万!?うせやろ!?」「2,450万ね。眼科いったほうがいいよ。」

 

「この金額、会社の帳簿から消えた額と合致してる!日付も、ホルスさんが失踪した日だよ!

つまり、ホルスさんがお金を持ち出したのは、プロトタイプの支払いの為!」

 

「あ~もう一回言ってくれ。」

「三浦先輩、ちょっと黙りましょうか。」

 

「ハン!ホルスさんみたいな正義を重んじる漢が、持ち逃げなんてコスいマネするはずねえと思ってたぜ!

この引渡書があれば、やっと先代の汚名を晴らせるってもんよ!」

アンドーが歓喜の声を上げるのも無理はなかった。

当時から在籍し、今も残る社員の全員が、それを待ち望んでいたのだから。

 

 

しかし、野獣が怪訝そうに顎を撫でる。

「んにゃぴ…。おかしくないスか?

なんでホルスさんは黙って金持って、しかもこんな場所まで自分で重機運転したんスか?

会社の資産を会社の金で買うならなんも後ろめたいことないじゃんアゼルバイジャン。」

 

「…わかんねえ。今は物証が少なすぎるからな。けど、キャビンの中にはこの薬莢が大量に落ちてた。

ここできっとなんかやばいことが起きたんだ。

あいつが、親父が逃げたんじゃねえなら、もう親父はこの世にはいねえかもしんねえ!」

 

震える手で薬莢を握りしめるクレタの小さな肩に、グレースが優しく手を置く。

 

「クレタ、落ち着いて。プロトタイプの論理コアも記憶素子も無事だ。もしかしたらあの夜の映像記録が残ってるかもしれない。

必ず、真実をみつけよう。」

「そうっすよ社長!」「クレタ、パエトーンはいつだってあんたの力になるよ。」「あ待ってくださいよ。俺らもいるんだからさ。」「当たり前だよなあ?」「ナオキです。」

 

「みんな…!へっ!こりゃ社長が弱音吐いてる暇ねえな!

おし、そうと決まれば、早速プロトタイプを会社まで牽引すっぞ!!」

 

 

 

 

4545秒後。

 

パエトーンのおかげで取り戻せた三台の知能構造体に牽引され、プロトタイプがゆっくりと移動していく。

 

しかし、プロトタイプが支えていた白い塔のようなモニュメントを地面に下した瞬間、『それ』は這い出してきた。

 

 

「なんだあの白いの!?(2回目)」

それにいち早く気づいたのは木村だった。

 

破損したモニュメントの隙間から、間接を無視したかのようなグネグネとした動きで身を乗り出す白い体躯の異形。

 

「なんだこのオッサン!?(驚愕)」

「エーテリアス…には見えない。けど、凄いエーテル反応だ…!」

 

それは後にサクリファイスと呼ばれることとなる、パエトーンの宿敵。

 

「来るっ!」

勢いよく飛び出し、一番近くにいたクレタに突撃する。

 

それをクレタはハンマーで弾く。

その勢いのままハンマーを点火させ、後頭部を殴打した。

 

 

吹き飛ばされるサクリファイスを野獣が追撃する。

 

「淫夢之一太刀 三の型 三解黄泉峠(みとけよみとけよ)

 

地を這い襲い掛かる三筋の飛ぶ斬撃。

複雑な軌道を描きながら迫るその太刀筋は一撃必殺。

 

 

「ファッ!?」

 

しかし、サクリファイスはそれをまるで踊るように回避した。

 

驚愕する野獣を尻目に、サクリファイスはアンドーに突撃する。

 

「オルルァ!」

アンドーはそれを兄弟をぶつけて相殺した。

否、相殺させられたというべきか。

 

高速回転するドリルに、サクリファイスは拳で拮抗した。

 

「固ってえ!?」

「よし、はい、じゃあケツ出せぇ!」

アンドーのドリルとサクリファイスの拳、その一瞬の硬直に差し込むように三浦の拳がサクリファイスの臀部にめり込む。

 

「ほら木村。見てないでこっち来て、お前も挿れてみろよ。」

「いいですか?(超小声)」

すかさず木村のダメ押しが挿入る。

 

木村の鋭い貫手のラッシュがサクリファイスの腹部に突き刺さった。

 

スン、スンッ、ポッ、チョッ、ポッ、ジョボジョボジョボジョボジョボジョボボボボッ!

 

ベチッ!ギュッ、ブヂュィ↑ニュポンッ!ブッチッパ!(迫真)

 

 

 

 

…ピトン…ポチョン…(明鏡止水)

 

木村の拳から送り込まれた『氣』がサクリファイスの体内で蠢き、腹部からおよそ生物が出すとは思えない異音と異臭を発生させる。

 

たまらず悶絶するサクリファイスを、知能構造体の鋼鉄の足が踏みつけるように拘束した。

 

「ふうヒヤっとしたぜ。」

「くっせえなお前。」「これこそ食通だな!」

「こいつはなんてバケモンだ?」「多分変態だと思うんですけど(名推理)」

「汚すぎる…。」

 

困惑・抗議・達成感・疑問・嫌悪。

 

皆口々に好き勝手いいながらも、勝利を確信していた。

 

「ナオキキキキ。今回のMVPは僕ですねえ!

これはバイト代は僕の総獲りでナオキですよ!」

 

嬉しそうにアヘ顔ダブルピースで煽る後輩の屑を足蹴にする先輩の屑を尻目に、リンはじっとサクリファイスを見つめる。

 

その頭部に取り付けられたサイクロップス先輩の如きバイザーが怪しく発光する。

 

リンの目に違和感が走る。

 

「リン、どうしたんだい?」

妹のただならぬ様子に、アキラが駆け寄ろうとした次の瞬間であった。

 

 

「ダルビッシュ・・・ (Target)

 

 

ゲッチュ・・・(Capture)

 

 

戊辰戦争 (Body Sensor)

 

 

EMURATED, E M U R A T E D , E M U R A T E D (スペルミス)」

 

「な、なんだぁっ!」

 

サクリファイスは特大の重力波を生み出し、周りの物体を引き寄せ始めた。

 

その範疇には当然生きた人間も含まれる。

 

いち早くそれに気づいたクレタの怒号が飛ぶ。

 

「走れ!屋内や柱の裏に逃げ込むんだ!足場が固定されてねぇモンは根こそぎ持っていかれるぞ!」

 

その言葉の通り、数トンはくだらないであろう知能構造体たちがなす術もなく重力に引きずられ、取り込まれていく。

 

「こいつは大事だな!アンドー!グレース!食い止めるぞ!」

 

ベンが隻眼でそれを睨みつけ、鉄筋コンクリート・タンピングランマーを構えた。

同時にアンドーもドリルを唸らせ、グレースは釘打機(ネイラ)を装填する。

 

「しょうがねぇなあ(悟空)

じゃ助太刀してやるか。」

 

さも突然の如くそれに続く迫真空手部たちをベンが諫めた。

 

「き、君たち!?下がるんだ!これは我々の問題だ!

さっきの攻防でもわかるだろう!命の保証は出来ない!

バイトが受け持っていい範疇を超えている!」

 

「ポチャポチャ!」

しかし、それに反論するかの如くポッチャマポンプが仁王立ちでベンに吠えた。

 

「いや、流石にそれは。」

アンドーの言葉を遮るかのように、パイルバンカーがけたたましく回転する。

 

「!....はは!ちげえねぇ!こいつァ、一本取られちまったな。」

「アンドーさん、ポッチャマと兄弟はなんて?」

「『仕事だからじゃない。ダチ公だからだ。』だとよ。

...背中、任せていいんだよな?」

 

「ポチャ!」

任せろと言わんばかりにポッチャマ・ボンプが短い前脚で胸を叩く。

 

背後で迫真空手部も頷いた。

 

 

サクリファイスが脈動する。背部には知能構造体たちの強烈無比な重機が突き出し、こちらを屠らんと狙っている。

 

「ふふ、こりゃヤバいね。選り好みしてる余裕はないかな。」

 

そう微笑むグレースの頬に冷や汗が伝う。

 

「やむおえないな…!頼むよ、空手部!」

 

「ナオキです。」

「当たり前だよなぁ?」

「ベンさん、バイト代弾んでくれよなぁ~頼むよ~。」

 

 

 

大木の如く太い鉄脚が、クレタに襲いかかる。

それをベンが恵体でいなし、威力を大幅に殺した。

その僅かな隙に差し込むように、木村が脚部の取手を掴む。

 

如何に巨大であろうとも、多脚であろうとも、地に足をつけている限りその動きと重心には必ず(ことわり)がある。

 

「.....はああぁ!!」

 

ましてや渾身の一撃をいなされ、自ら不安定な体勢を晒す相手であれば、その理を崩すことなど木村には造作もなかった。

全身のネジが緩んだかの如く、サクリファイスが体を軋ませる。

巨体を支える鉄脚が膝を突き、大きな隙を晒した。

 

「墳ッ!」

伸び切った関節に三浦が拳を叩き込む。

鍛えられた三浦の拳は、鋼鉄相手でも競り負けることのない正に鉄拳であった。

 

「野獣!合わせろ!」

「ん、おかのした。」

間髪入れずに三浦の反対側からアンドーと野獣が強襲する。

 

双方向からの三連撃に、重厚な金属フレームが大きくひしゃげ、内部の配線が剥き出しになる。

 

「そこだ!」

 

グレースの釘打機から放たれた釘が正確無比にその配線に突き刺さり、放電を行う。

内外から破壊された脚が、煙を上げた。

 

「今だ!おチビちゃん!」

「言われなくても!」

その反撃の狼煙めがけ、ポッチャマの放水を受けて高く飛び上がったクレタがハンマーを振り下ろす。

 

引力を借りた鉄槌の重撃は、快音とともに間接を砕いた。

 

 

「っしゃ!一丁あがりだな!」

 

 

足を捥ぎ取られ、サクリファイスが怒り狂ったようなうめき声をあげる。

 

切断部位から激しいスパークが飛び散り、異常な活性を起こす。

 

Fairyとともに戦いを観測していたリンがいち早くそれに気づいた。

 

 

「エーテル活性上昇!!みんな、気をつけて!デカいのが来るよ!」

 

直後、電撃を纏ったエーテルの奔流が切断部位から発射された。

リンの警告により生まれた猶予は刹那に等しかったが、その一瞬が左右する命運は計り知れない。

 

即座にその場の全員が散開し、ビームから逃れる。

 

それでも、サクリファイスは獲物を屠ることをあきらめてはいなかった。

 

最も遮蔽物の少ない方角に逃げた者。すなわち野獣とクレタのいる方向に狙いを定めた。

 

「うおおお!マジかよあいつ、アタシら狙ってやがんぞ!」

「あっ(死)」

 

地面を耕しながら迫りくるビームから、クレタと野獣は必死に逃げ回る。

しかし、遮蔽物がない方向に追い立てられた二人は文字通り袋のネズミだった。

徐々に距離を詰められていく。

 

 

 

 

「ち、畜生!こんなとこで終わってたまるかよ!!」

「イキスギィ!イクイクイクイク…ンアッー!」

 

 

閃光が二人を包んだ____。

 

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