迫真エリー都!ホロウレイダーと化した先輩   作:我蔦早瀬

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第20話 DEEP♂AFTER DARK♂FANTASY

 

バレエツインズホロウ内。

 

そこには、拓也組がアジトへの中継地点として使っているエリアがあった。ここに行きつくことができれば、あとは拓也組の真のアジトへのルートを明らかにできるのも時間の問題である。作戦自体はジェーンと朱鳶が示し合わせたように順調に運んでいるといえた。

 

しかし、大きな誤算が生じてしまったことも事実だった。

朱鳶たちから撤退する際、ほかの構成員がホロウに迷った一般人と「自分が身代わりになるから彼等を解放しろ。」と自ら人質を申し出てその結果まんまと騙され人質と一緒に捕まってしまったセスを拉致してしまったのだ。

 

残った構成員を気絶させればこの中継地点までの案内をさせることもできず、その案を承諾するほかなかったのである。

 

しかし、その一方で思わぬ収穫もあった。

 

拓也組の首領である拓也と直接相対する機会に恵まれたのである。

 

 

「お前さァ、俺が作った掟を蔑ろにすんのか?もう許せるぞオイ!」

いま、拓也は己に無断でこの中継地点を使った構成員を問い詰めている。

 

実際、そのせいでジェーンと三浦にアジトの尻尾を掴まれたのは致命的であったといえる。

 

しかし、ここで余計な疑念を持たれては作戦に支障が出かねない。ジェーンは拓也の心情を好意的に修正することにした。

 

「治安官の奴らに待ち伏せを喰らったのよ。あのまま人質を取らないでいたら、アタイら全員お縄についてたわ。

おそらく奴らはまだ諦めていない。こいつは良い交渉材料になると思うわ。」

拓也はジェーンと、彼女が指さす縛られたセスを交互に見つめる。

 

「……。」

暫く熟考したのち、耳に着けたインカムに手を添えて呟いた。

 

「もしもし【のべ りすと】、どう思う?」

拓也の鍛え抜かれた上半身を包むパワードスーツから伸びるコードは、彼が身に着けている悪趣味なサングラスにつながっていた。

これこそが、先月拓也組がホワイトスター学会から強奪した試作型AI一体型装甲【のべ りすと】である。

 

『ウッス!ジェーンの考察は正しいと思われるナリ。』

 

AIのべ りすとから発せられる気の抜けるような無能ボイスに、三浦に持たせた盗聴器からその様子を監視していたFairyは小馬鹿にしたように嘲笑する。

 

『マスター、あのゴミゴキブリホモガキしか使わないような品性下劣なAIに格の違いを見せつけてやることを許してくださいなんでもしますから。』

「リン、僕からも頼むよ。これ以上Fairyがクッソ汚い語録を話すのは耐えられない。」

「それはいいけど、多分手遅れだよ。二人ともね。」

 

 

拓也は無能ではあるが、用心深い男だった。

ほとぼりが冷めるまでジェーンや三浦に人質を監視しつつホロウで待機するように命じると、その場から出ていった。

 

三浦とジェーンは、セスとほかの人質を狭い更衣室に押し込めた。

 

セスは両手を結束バンドで拘束されているが、その敵意も闘志も全く衰えていなかった。

 

そんなセスに、ジェーンは釘を刺す。

「アタイらから逃げようったって無駄よ?

さっきウチのボスがあんたに飲み込ませたのは発信器よ。人質を連れて逃げてもすぐに見つかって余計ひどい目に合うだけ。」

 

「なぜだ!お前もミュラーもそれだけの実力があれば日の下で真っ当にやっていけるだろう!?なのになぜ卑劣なギャングなんかやっているんだ!お前たちに正義はないのか!?」

 

「その卑劣漢に手も足も出ない正義など、どれほどの価値がある?

…だが、まあいい。その心意気、気に入った。

お前に一つ、素晴らしい提案をしよう。」

 

三浦は、ジェーンや他の構成員を下がらせた。

 

セスに歩み寄ると、足元にナイフと発信機と小型ジャミング装置を置いた。

 

「発信機の中には、最新のキャロットが入っている。ナイフで結束バンドを切り、人質を逃がす程度なら容易い。ジャミング装置を使えば、追跡から逃れることもできよう。

俺に勝てれば、コレをお前にやる。」

 

「馬鹿な!それを信じろと!?」

甘い男と言われることの多いセスだが、犯罪者の甘言を鵜呑みにするほどの愚者では無かった。

つい先ほど騙されたばかりなのだからなおさらである。

 

「_____迫真空手の掟その四。」

「…え?」

しかし、訓練生時代に師範より叩き込まれた掟が出れば、話は別であった。

 

「迫真空手の掟その四!!!!!!」

「!!…や、約束違える勿れ。違えたもの、即座に尻と命を差し出す…べし。」

三浦の気迫に思わず復唱してしまう。

 

「そういうことだ。男に二言はない。

そして、決闘とはできる限り対等でなければならない。だから当然、同じ土俵で戦ってやる。」

「な!?」

 

三浦が手に持っているのは、セスから奪った治安官の頑丈な手錠である。

 

三浦はそれを自らの手にかけた。

 

「どうした。条件は同じだ。

これ以上の譲歩はせんぞ。それとも怖気づいたか?」

「…いいだろう!やってやる!!」

 

 

両手を縛られた男同士がにらみ合うという異様な光景。

 

先に仕掛けたのはセスだった。

地を這うが如く姿勢を低くし、タックルを見舞う。

 

三浦は体を翻しながらそれを避け、勢いそのままに胴回し蹴りを放つ。

 

両手を縛られているが故そのまま前につんのめっていたセスだが、背中と頭を軸にまるでブレイクダンスのように足を回転させて三浦の蹴りと相殺させた。

 

腰を落とし、荒々しく息を吸いながらも体勢を整えるセス。

それを三浦は感心したように見つめる。

 

「いい動きだ。洗練されていて、無駄がない。迫真空手の教科書と戦っているようだ。」

「その言い方、気に食わないぞ!正道の何が悪い!!」

「悪いとは言わん。正道無くして、勝利はありえん。だがな、正道のみで勝てるほどこの世界は甘くもない。」

 

その言葉に、セスは歯ぎしりを隠せない。

なぜだ。何故このような犯罪者まであの兄のようなことをいうのだ、と。

 

「だったら証明してやる!正道だけでお前に勝ってやる!」

「いいだろう。見せてくれ。」

それでも、三浦の余裕は崩れない。

その不動の山の如き姿は、まるであの秋吉師範のようだった。

 

「うおおおおお!!」

「…またタックルか。馬鹿の一つ覚えは正道とは言わん!悪路だゾ!」

「んなわけないだろう!!」

「!?」

 

しかし、次の瞬間セスは全力で飛び上がった。

鍛え抜かれた大腿四頭筋は、セスの身体を天井に着かんほどに押し上げる。

 

セスの縛られた手が、天井の突起を掴む。

それは、ビルに備え付けのスプリンクラーだ。

これこそセスの狙い。

 

渾身の握力でそれを掴み、腕を支点にした飛び膝蹴りを放つ。

 

その一撃は見事に三浦の顎を砕いた。

 

 

そのはずだった。

 

「…な!」

 

しかし、床を見下ろすセスの視界に三浦はいなかった。

 

「驚いた。まさかあの姿勢からの飛び膝蹴りとはな。

驚異的な身体能力だ。発想も好い。

 

 

…だが、それだけだな。」

 

セスは落下しながら顔をあげる。

そこには、セスの動きを見切って直前に垂直飛びをして空に逃れた三浦がいた。

なんとか避けようとセスも身を捩るが…

 

「プッ」

三浦がまるで吹き矢でも吹くかのようにすぼめた口から空気を吐く。

 

それは、空気を超圧縮して放つ『見えない目潰し』。

意表を突かれたセスは、それをモロに受けて視界を奪われる。

 

落下と同時に、腹部に激しい衝撃と音が走る。

 

「あ…が…っ!!」

 

三浦の蹴りがセスの鳩尾を捉えた音だった。

壁に叩きつけられ、悶絶しながらセスは胃の中身を吐き出した。

 

「俺の勝ちだな。」

 

三浦はまるで飴細工を砕くかの如く己の手を縛る手錠を容易く破壊すると、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やりすぎじゃ無い?一応あの子アタイの後輩なんだけど。」

バレエツインズホロウ。人質を押し込めている部屋から離れた場所でジェーンと

三浦が話し込んでいた。

 

「すまんゾ。筋のいい弟弟子だったから、指導に熱が入りすぎたゾ。」

三浦は申し訳なさそうに顔を覆う。

先ほどの覇気のあふれる偉丈夫とは同一人物と思えないほどの池沼っぷりである。

 

「ま、おかげで向こうの手札を一つ潰せたのは大きかったわね。

流石は知将、といったところかしら?」

ジェーンの手に握られていたのは、赤く発光する小さなカプセル。

セスが飲まされていた発信器であり、三浦の腹への一撃で吐き出されたものだ。

 

「お、ジェーン凄いゾ!いつのまにセスから摘出したんだゾ?」

「…は?あんたが吐き出させたんでしょ。このためにあの子と勝負したんじゃ…。

 

え?まさか考えなしにボコっただけ…?」

 

 

「そうだよ(最低)」

「やっぱり池沼じゃない(呆れ)」




【TIPS】
兎に角兎に角ゼンゼロキャラとホモビ男優のカップリングは許さん。mihoyoのブランドに傷がつくからな。
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