「なんだこれは!?」
「ビリー・キッドよ。お前は今より超人サイバーZ 1号となったのだ!」
「誰だッ!?」
「私は秘密結社メガデスの首領である!」
「…メガデス?」
「そうだ。我々の目的は世界征服である!
そのための戦士としてお前は選ばれ、改造人間として生まれ変わったのだッ!!」
「改造人間…?」
「ビリー・キッド。いや超人サイバーZ 1号に告げる。我がメガデスの世界征服の野望の為に働くのだ!!」
「…断る!」 「何っ!?」
「悪の手先になんて、なるもんか!」
「おのれぇ!MUR戦闘員!脳手術を!」
「ふん!俺はこの力を正義のために使う!!」
「おのれぇビリー・キッド!生かしてはおけぬゥ!!」
ブレイズウッドの大通りにて、ビリーと野獣と三浦はいい歳こいてスターライトナイトごっこを一通り楽しんだ後、超人サイバーZごっこをしていた。
「おやめなさい!淫夢ごっこは郊外において最も恥ずべき行為でしてよ!?」
いくら退職した身とはいえ、古巣でそんなことをされてはたまったものではないとルーシーが止めに入った。
「お、大丈夫か大丈夫か。一般お嬢様は黙っていろ!(BSKOM)」
それに応戦するのはどこからともなく奇妙なゴーグルとニット帽を取り出した野獣先輩である。ぜんぜんキラキラしていない。
「家出してパンキッシュな服装で運び屋やってるなんJ民お嬢様は流石に外れ値も外れ値でしょ。」
「プロキシさん、最後だけおかしくありませんこと!?私、あんな痰壺の住人ではありませんわよ!?」
「33-4」「なんでや阪神関係無いやろですわ!」「正体現したね。」
「声無しだとヤニキの台詞はお嬢様に聞こえるって与太話が本当だと知れたのが今日の収穫だね。」
三馬鹿とつるんでからいろんな意味で耐性がついてしまったパエトーンと邪兎屋は、この程度ではもはやツッコミ側に回ってくれないのだ。
「お互い妙な先輩がいると苦労するな。」
そんな馬鹿騒ぎを呆れた眼差しで見つめるのは、カリュドーンの子の
「ははは。代わってみます?(半ギレ)僕からしたらビリーさんの方があのアホどもより億倍マシですよ。」
「悪いがそれだけは勘弁だ。」
「あっ、そうだ(唐突)おいKMRァ!」
「あっ、はいなんですビリーさん。」
「お前さっき俺ら着替えてる時チラチラ見てただろ」
「いや、見てないですよ」
「嘘つけ絶対見てたゾ」
「何で見る必要なんかあるんですか(正論)。
それ猫又のマネですか?三浦先輩のマネですか?後者ならやめるべきです邪兎屋の評判が落ちますよ(今更)。」
「あっお前さKMRさ、さっきヌッ…脱ぎ終わった時にさ、なかなか風呂来なかったよな?(橘福福)」
「そうだよ(便乗)」
「い、いやそんなこと…」
「見たけりゃ見せてやるよ(震え声)」
野獣とビリーは
「で、
アキラが指摘するように、野獣の腕には猿のような奇妙な生き物がしがみついてきた。
その正体について、シーザーは「スローロリスだろ」と言い、ルーシーは「リス猿ですわ」と言い、ライトは「テンだな」と言った。
「あれは淫夢くんだゾ。」
「えっ、何、それは・・・」
三浦の説明になっていない説明に、リンも流石に困惑した。
「なんか師匠の刀から出てきた精霊?スタンド?らしいゾ。」
「ええ....。大丈夫な奴なの?あの刀、たしか邪剣だか妖刀だかなんでしょ?」
「ヘルバたちがちょっかいかけようとしたら、脇から毒液分泌してきましたわ。」
「特級呪物じゃん。」
いまも件の淫獣は野獣の腕にしがみつきながら右手を高らかに掲げて完全勝利したかの如くガッツポーズをしている。
「それで野獣先輩はそんなのを腕に巻きつけていて大丈夫なのかい?」
「なんか平気らしいゾ」
「野獣先輩は はがねタイプだった....?」
「色合い的には じめんタイプだけどね。」
「それはともかく、木村のやつは力を隠してるな。」
ライトの目線の先には服を脱がされる木村がいる。そのサングラスに隠された瞳の奥は伺い知れない。
「え?どういうこと?木村さん、ほんとはもっと強いの?」
「そうなのかい?正直、僕らにとって空手部の皆は色んな意味でおはぎと牡丹餅くらいの違いしかわからなくてね。」
木村の「いやだ ひぎぃ~」というエロ漫画みたいな叫びを華麗にスルーしてライトとプロキシ兄妹はバカ騒ぎする彼らを見つめる。ビリーにはイチモツがないので木村が掘られることはないだろう。多分、きっと。
「ほう、わかるかゾ。」
それに反応を示したのは、ビリーに己の代役を任せた三浦だった。
「さっき軽くスパーリングしたんだが、明らかに俺に技を決められる隙があったが仕掛けなかったからな。
だが強者故の余裕とはまた違う。どうにも解せん。」
それを聞いた三浦は、感心したように頷く。
「ライトさんは流石だゾ。
木村の柔拳は、相手の力を利用する技が多くてな。使い方次第では簡単に相手を死に至らしめたり、一生残る障害を負わせることも出来るんだゾ。ある意味、俺の使う剛拳より危険なんだゾ。
木村は優しいからなあ。対人相手だとそういうのは無意識に封印してるんだゾ。」
プロキシ兄妹とライトが三浦のその言葉の真の意味を知ることになるのは、それからすぐのことだった。
次の日 ブレイズウッドにて。
「郊外周辺のホロウデータ?」
「ああ、僕らとしても事前に知っておきたいんだ。HDDシステムの試運転も兼ねてね。」
HDDシステムはRandomPlayのトランクに積載され、郊外のネット回線に接続して無事オンライン状態であるが、レースの前にバイクだけでなく此方も試運転をするに越したことはない。
事前にホロウ内に設置していたデータスタンドを回収するだけの簡単な作業のはずだったのだが…。
「データスタンドなんて影も形もないんですがそれは…。」
「ルーシーさん、どういうことですかコレ?」
野獣が怪訝そうにあたりを見渡し、木村はルーシーたちをチラチラ見る。三浦はポカンとあほ面を晒している。
「おかしい!確かにここに置いたはずですわ!地面に設置痕もあります…。
誰かが持ち去ったに違いありませんわ!
ヘルバ・アルボル・ラテレム・三馬鹿!!急いで探しなさい!
見つけられなかったらオヤツ抜きですわよ!!」
「お、おかのしたァ!!」「僕らは一纏めなのか…」「ポッチャマ…」
ルーシーが引き連れるイノシシのシリオンの子供にすら子分扱いされながら、三馬鹿たちが手分けしてホロウを探索すること数分後。
それを発見したのは木村とライトとイアスに同期したパエトーンだった。
「あ、ライトさん!プロキシ!見てくださいよ!データスタンドを盗んだホロウレイダーどもです!」
「よお、ホモの兄ちゃん。誰が盗人だって?証拠はあんのか!アア!?」
視線の先のホロウレイダーたちが、荒々しく得物を構える。
「あるに決まってんでしょうがこのナオキ野郎どもが!データスタンドの仕入伝票はこっちで控えてるんです!表面の番号と照合したら一発ですよ!」
木村が、念のため貰っていた仕入伝票のコピーを懐から取り出す。
「おい、てめえ確かカリュドーンの子相手に追突事故起こして飼われてる木村とかいうホモの屑野郎だろ?」
「な、なんて酷い誹謗中傷を!!」
「いや、何一つ間違ってないぜ?」「反省しなさいよね ほんと。」「ひぎぃ~」
「ははっは!残念だったなあ!てめえの味方はどこにもいねえ!見ろ!このデータスタンドには番号なんてねえぞ!」
確かにホロウレイダーたちが指さす先…本来データスタンドのシリアルナンバーが刻印されている場所はツルツルになっていた。よく見れば、研磨されたような痕跡がある。
「こいつら、グラインダーかなにかで番号を削り取ったんだ!」
「ったく用意のいいこった。おい、木村は兎も角データスタンドはウチの大事な資産だ。返してもらうぜ?」
「ライトさん!?僕も大事な資産ですよ!?」「歩く負債野郎が何言ってんのよ。」「ひぎぃ~」
ホロウレイダーたちが「(こいつマジで人望ねえな…)」と若干の同情を抱き始めたところで、「勝手に俺っち抜きで話を進めんじゃねええ!!」と何者かが飛来した。
その男は、人間の倍はあろうかという山の如き体躯のオラウータンのシリオンだった。
「あんたがこいつらの大将かい?」
ライトが大柄なシリオンを、体格差も物ともせずに睨みつける。
走り屋同士が揉めたのなら、決着は互いのチャンピオンの勝敗に委ねられる。
それが郊外の流儀であり、法なのだ。
「てっめえ!おれっちの顔を忘れたのか!?」
しかし、それとは別にまるで己のことを初対面のように扱うライトに、オラウータンのシリオン…名をベルラムという…は怒り狂った。
かつて地下闘技場で名を挙げ、そして20連勝を阻んだこの男に雪辱を果たすこと。それだけを糧に今まで生き、鍛えなおしてきたのだから。
「ラ、ライトさん…なんか知り合いっぽいけどいいの?」
「知らん。」
それなのに、このイケメンで強くて人気でイケメンの傲慢野郎は己のことをろくすっぽ覚えていないのだ。
「もう許さねえ!氷炎アタッカーが実装されるたびに株をあげやがって!
おれっちなんてプレイアブル化もまだなんだぞ!」
「なんなんだこの猿ゥ!ライトさんの太鼓持ちか猿ゥ!」
謎の会話を繰り広げるベルラムと木村に、ライトとリンと一般ホロウレイダーたちは首をかしげるしかなかった。
「もういい!…てめえとの因縁も今日限りだ!!」
ベルラムの号令に、一瞬フリーズしていたホロウレイダーたちも慌てて応戦する。
「くっ!こいつ等強い!!」
「あたぼうよ!俺らはベルラムの兄貴鍛えられてんだ!都会暮らしの半端モンどもとはものが違う!」
普段のホロウで相手をするチンピラ紛いなら、木村もここまで苦戦はしない。
地下闘技場で20連勝をするほどの猛者。その手ほどきを受けた精鋭。
その強さが口先だけでないことを、木村もライトも肌で感じていた。
「(くっ!このままじゃやられてしまう!『アレ』を解禁するしか…!いや駄目だ!下手を打てば殺してしまう…。それに、『例のアレ』はブレイズウッドに置いて来てしまった。いまの実力で何とかするしか…)」
殺さないように、しかして負けないように。いままではそれで何とかなっていた。
しかし、此度の相手はそのような手加減でどうにかできる相手ではなかった。
ついに、防御を貫かれ、手痛い一撃が木村の腹に入る。
「おおっと!いいのが入っちまったなあ!」「うぐう!」
ホロウレイダーの腕_事故で失ったのか、大柄な義手_拳を受け、悶絶する木村。
「木村!!」「よそ見してんじゃねえ!!」
その痛みでうずくまる木村をみて、一瞬動きが止まるライト。
その動揺を見逃すほど、ベルラムは甘くはなかった。
「ぬおおお…!」
寸前のところで身体をひねり、致命打を避けるがダメージは小さくなかった。
これが試合なら、判定負けしていたところである。
ベルラムと距離をとり、痛むわき腹を抑えながら木村に目をやる。
木村はライト以上にダメージを受けていた。
これ以上は危険だ。
ならば残る手は・・・・。
ライトは、顔にかけていたサングラスを外す。
手術が終わってずいぶん経つのに、日光が増すこの感覚はいつまでたっても慣れなかった。
思わず目を細める。
「ライトさん、アレを…!?」
ライトの足元でリンが跳ねる。ライトは無言で頷いた。
「木村ァ!!こっちを見ろ!!」「な、なんだあ!!?」
ライトは己の顔にかけられていたサングラスを投げた。
回転しながら飛ぶサングラスは、ぴたりと木村の顔に納まる。
「……」
「へっ!仲間にてめえ血に染まるのを見せたくねえってかァ!?そんじゃあまずこいつから血祭りにあげてやら…」
次の瞬間、口を開きかけたホロウレイダーは天高く舞い上がり、そばのバラック小屋に落下した。
死んでこそいないようだが、虫のようにピクピクと体を震わせるのみだ。
ホロウレイダーを打ち上げたはずの木村の拳には、いつの間にか赤ワインが並々と注がれたグラスが握られていた。
「て、てめぇ!やりやがったな...。戦闘中にワインだと、ふざけやがって!そのグラスどっから持って来やがったんだ!?」
逆立った髪を下ろし、サングラスごしに木村はホロウレイダーに告げる。
「よぉ、ホモの兄ちゃん。もう終わりか?」
別人と見まごうほどの雰囲気を纏う木村に、ライトとリンは唖然とし、三浦の言葉を思い出していた。
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「ライトさんとプロキシなら、万が一のために教えておけるゾ。
サングラス!それが木村の力のセーブを外す方法だゾ。」
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そして思った。
「「セキュリティがガバガバすぎる...。」」
闘志あふれる木村が、次に標的にしたのは先ほど己に手痛い一撃を加えた義手のホロウレイダーだ。
「散々いたぶってくれた行儀の悪い腕はこれか…。」
「ち、調子こきやがって!また黙らせてやらあ!!」
そういって、拳を振りかぶる。
しかし、木村はそれを流れる水のように華麗に避け、背後に回り込む。
そのまま死神の鎌が如く、機械の腕を掴んだ。
「兄ちゃん、頂いていくぜ?」
次の瞬間、義手はばらばらに砕け散った。
続けて手刀が振るわれ、ホロウレイダーの意識を狩り取る。
「てめえ、ほんとにさっきのホモ野郎か!?纏う空気が…違え!!」
ベルラムも、ライトと同じく木村のその別人のような空気を肌で感じ取っていた。
無言でベルラムとライトに歩み寄る木村。
「……」
ベルラムという死線をあまりに悠々と通り過ぎ、ライトの腹に手を当てる。
「
「なんだ…痛みが…和らいでいく?」
「体内エーテルの循環を良くしただけだぜ。応急処置だからあとでちゃんと診てもらいな。俺がするのはここまでだ。」
チャンピオン同士の決着に水を差すわけにはいかないからなと告げ、木村は腕を組んでベルラムとライトの間の壁にリンと一緒にもたれかかる。
「…どうやら、お互い次の一撃で最後のようだな。」「…だな。」
「名前、もう一回聞かせてくれよ。」「やっぱり覚えてなかったか畜生!ベルラムだよベ・ル・ラ・ム!」
「ベルラムだな、わかった。二度と忘れん。俺はライトだ。」「知ってるっつーの!…俺も忘れん。」
互いに真正面から向かい合い、まるで西部映画の決闘のように隙を探る。
タンブルウィードがさらさらと二人の足元を撫でた。
「…」
木村が懐から1ディニーコインを取り出し、大きく弾く。
金属の甲高い音が響き、夕焼けに反射されたコインがきらきらと光る。
時間にして数秒。
しかし、その落下までの猶予がまるで永遠のように感じられた。
コインがチャンピオンの顔を撫でるように真横で重力に引かれていく。
互いの頬から落ちる汗の音さえ聞こえる気がした。
硬い地面に
コインが
触れる。
「「______!!」」
木村は懐から煙草を取り出し、居心地が悪そうに咥えた。
ジッポを何度か開くが、一向に火がつかない。見れば、先ほどの戦いで底部が割れてオイルが流れ出ていた。
不意に、横から火が差し出される。ライトが、無言で自分のジッポを取り出して煙草に火をつけた。
「…ありがとうございます。」
木村も一本取り出して勧めるが、ライトは無言で断りのジェスチャーをした。
「ベルラムたちの具合は?」
「一応、軽く処置しました。プロキシがイアスに救護セットを持たせてくれてて助かりました。誰一人死んでません。
…軽蔑したでしょう。命のやり取りをする場所で全力を出せないなんて。
…嘲笑って構いませんよ。」
ため息とともに木村が紫煙を吐き出す。
口を開いたのはライトだった。
「....少し、昔話をしようか。
むかしむかし、あるところに一人の馬鹿な男がいた。そいつはとある傭兵団の団長だった。
ある日、そいつの驕りが招いた事故でホロウで仲間を死なせちまった。
そいつは傭兵団を解散して、資材も稼ぎも全部仲間の遺族の賠償金に回した。足りない分の借金で首が回らなくなったら、次は違法な地下闘技場で来る日も来る日も殴って殴って殴られて金を稼ぎましたとさ。
めでたしめでたし。
どうだ?」
「...もっと別の方法があったんじゃないですか?傭兵団を解散せずに稼げば...。いや、ホロウを使えば行方をくらませて借金を踏み倒すことだってできたはず。」
「まったくだ。違いない。
でもな、俺はそんな道を歩きたくなかったんだ。自分を痛めつけて、罰してやりたかったんだ。それを怒ってくれる奴も、許してくれる奴も、みーんな俺が死なせたくせにな。酷い奴だろ?
嘲笑ってくれて構わない。」
「...笑いませんよ。絶対に。」
「なら、俺の返事も同じさ。合理的な生き方でも、自分が納得できないなら、許せないなら。そんなの死んでるのと同じさ。
でもな、戦いに身を置くなら、いつか必ず答えはださなきゃならない。」
そう言って、先ほどのジッポをライトは握り締める。
それはきっと、かつての仲間の忘れ形見なのだろう。
「ライトさんは…それでも戦う道を選んだんですね。」
「ああ、大将の育ての親__ビッグダディに救われて、パイセンに救われて。
…そんな救われっぱなしの俺が返せる方法といったらこれしかねえからな。」
力強いエンジンの唸る音が聞こえる。
リンが皆を運び出すために呼んだ、アイアンタスクの音に違いなかった。
「ああそうだ。木村、さっきのタバコだけどな。
やっぱ一本貰えるか?
その銘柄、あいつも好きだったんだ。
香炉に差しゃあ、あいつも味わえるかもしれん。」
【TIPS】
S級男キャラ皆湿っぽい…湿っぽくない…?
助けて白祇重工!