迫真エリー都!ホロウレイダーと化した先輩   作:我蔦早瀬

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「言葉で言い表せなくなったときに『音楽』が始まる。」


クロードシコ・ドピュドピュドピュドッピュドクドクフキフキ四国毒吹きッシー(1862〜1918)



第46話 Revolver Fires

 

「初めは、全く理解できなかった。

 

なんでこいつらは男優の動きを切り貼りして紙芝居を作ってるんだ?

 

どうして排泄音を使って曲を作るんだ?

 

RTAのどこにホモビの音声を使う必要性がある?

 

そもそも「イキスギる」ってなんだよ。

 

 

 

しかし、気づけばそれらを観て元気を取り戻している自分がいたんだ。

そこから仕事中にオフィスのPCでBBの切り抜き作業をするようになるまでに多くの時間は掛からなかった。」

 

H.A.N.D.の精鋭『対ホロウ特別行動部第六課』のオフィスで、一本のボイスレコーダーが再生されていた。

 

声の主は、ジャスティン・ブリンガー。

 

治安局副総監にまでの上りつめた英傑であり、幼き日の朱鳶をホロウから救い出して彼女が治安官への道を歩むきっかけとなった男である。

 

 

 

しかし、もはや彼をその肩書で呼ぶものは少ない。

 

新エリー都の影で暗躍し厄災を巻き起こす讃頌会の幹部が一人。

 

そして、風評被害を撒き散らすクッソ迷惑な淫夢厨である。

 

彼の遺品を調査する中、巧妙にデータの隠された録音記録が見つかった。

 

パエトーンの協力のもとで解析に成功したそれに記録された独白は、いろんな意味で耳を塞ぎたくなるような内容だった。

 

ホロウに一人取り残され死を待つばかりだった彼の元に、奇跡を齎す『何か』が現れ、その消えゆく命を救った。

 

そうしてホロウから生還した彼は、変質していた。

 

そこに市民を救う治安官の鏡の姿はなく、何処に出しても恥ずかしいホモガキの屑であった。

 

 

「『神は細部に宿る』。

旧時代の建築家の言葉だ。

その通りだった。そこらじゅうに【それ】はあったんだ。

 

おはぎ・ステーキ・木目・脱いだスニーカー・ソフランの上のパーツ。

 

気づけば日常会話に語録が混じっているのがわかるはずだ。

 

世界はもっとありのままの姿を許容すべきなんだ。

 

そうすれば、ホモでも安心して野球に打ち込める時代になる。

LGBTに理解ある世の中になる。

あとたぶんホロウと共生もできるってはっきりわかんだね。

 

 

だから、そう。

 

 

 

ホモビ、広めなきゃ(使命感)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことしちゃ…ダメだろ!ああこれも語録かやはりヤバイ。」

 

無意識レベルの語録汚染に頭を抱える悠真と、蒼角に聞かせまいと一部始終の再生が終わるまで彼女の耳を塞いでいた柳。

 

再生された独白に顔を覆う朱鳶を見て、雅はその様を「(あまりの惨状に目を覆うMUR大先輩BB.に似てるな…)」などとはおくびにも顔にださず、旧友の肩を抱いて慰めた。

 

「朱鳶さん、大丈夫かい?気を確かに持つんだ。」

 

「ありがとうございます、大丈夫です。

ただ…ある程度予想はできていたとはいえ、改めて聞くと、やっぱり…。

 

…これは…なんというか。

 

えぇえ…?

 

…すいません、頭痛薬ありますか。」

 

悠真は沈痛な面持ちで懐からピルケースを取り出して朱鳶に手渡すと、自らもおもむろに服用する。

 

 

「ブリンガーは当時、一体何を見たのだ?あの男が、(GO)の奇跡などと呼ぶものは…。」

 

「私は、あの事件の報告書を閲覧したことがあります。当時ブリンガー長官がホロウを脱出した際、臀部からの出血以外に外傷の類は一切なく、侵蝕の兆候さえもみられませんでした。

それに、救出した数人の市民を帯同していたという記録もあります。ブリンガー長官は、一人でホロウから出てきたわけではなかったんです。」

 

「もしそうであれば、この録音の内容と辻褄が合いませんね…。どちらが正しいのでしょう?」

 

「どっちも正しい…って可能性もありますよ。ブリンガーが正真正銘の(GO)様に出会ったのなら、体が完治したことだって、そっから市民を助けて回るスーパーパワーをもらったことだって、両方説明がつきますからねえ。」

 

「…つまり、自分の目で『(GO)の奇跡』を見たからこそ、彼は豹変して讃頌会を信じるようになってしまった、と?」

 

「ここまで聞く限り、それを否定する材料もなさそうだが。」

 

「ですが、それでもやはり…私達の衛生観念を遥かに超えた結論ではあります。」

 

「…いずれにせよ、全ての手掛かりは讃頌会を指し示しています。私は引き続き、この件を調査してみます。」

 

「わかった。僕たちのほうも、リンと色々調査してみるよ。またなにか進展があれば連絡しよう。」

 

 

讃頌会による未曾有のテロを防ぐには、まだまだ情報が足りない。

 

六課や朱鳶たちと別れ、ビデオ屋に戻ったアキラとリン。

 

店の開店準備を始めようと表に出たところ、そこに人影がたむろしていた。

 

 

 

 

「君、インムチャーハンは作れるのかな?」

「またお会いできて何よりなのです。親愛なるプロキシさん。」

 

オークション会場でも見かけた日傘をさした少女が、自分を取り囲む迫真空手部を盛大に無視してアキラとリンに視線を投げる。

 

可憐な少女と、それを取り囲むガタイのいい男三人。

 

兄妹が迫真空手部と面識がなければ通報していた絵面である。

というか以前にビデオ屋の店内でやらかした張本人なのでスマホを取り出し「おっ、やべぇ、110番だな!」しようとしたアキラとリンだが、それを木村が止めた。

 

「すんません、すいません!ちょっと止めてもらっていいっすか?どうもこの子、二人がプロキシだって知ってるっぽいんです!なんか明らかに怪しいんで一応足止めしてただけなんで!通報だけはほんと勘弁してください!

 

日傘の少女に聞こえないよう、木村が小声で耳打ちする。

 

あー、成程ね。一応お礼は言っとくわ、ありがと。

そんなに通報を嫌がるだなんて、野獣先輩はともかく君たちもやましいことがあるのかい?

「…」「…」

「即答できないのがもう答えじゃん。」

「ポッチャマ・・・」「ナオキです」

 

 

相変わらずの三馬鹿に兄妹と日傘の少女のため息がシンクロし、お互い顔を見合わせる。

 

「いやもう全部丸聞こえでしたわよ?

お初…ではありませんが、自己紹介をしていませんでしたね。

わたくし、ビビアン・バンシーと申します。」

 

淑女という概念が形を成したような礼儀正しい自己紹介を前に、迫真空手部は顔を見合わせた。

 

「ビビアン・・・」

「バン・・・シィ?」

「んにゃぴ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ユニコオォォォォォン!」」」「(完全勝利した淫夢くんUC.)」

 

 

「ごめんね、スルーしていいよ。どうせこいつらパチスロの知識しかないから。」

「レア役が空気(HTN)状態で...ナオキです。」

 

出会って数分足らずの迫真空手部に早速アホを見る眼差しを向けて咳払いをし、ビビアンは話を続ける。

 

「こそこそと嗅ぎまわっている人たちから、とっくに聞いているとは思いますが…。サクリファイスを利用して、新エリー都に害をなそうとする者がいるそうですね。」

 

「そんなことまで知っているのか?僕だってさっき聞いたばかりだぞ…。」

 

「ふふん、あなたのことをずっと見ていたのです。知っていることはこれだけではありません。ですがわたしはあの偽善者たちと違って、あなたに全てを教えることができます。協力関係を結ぶ以上、当然の誠意なのです。わたしは、ブリンガーの遺物を見つける必要があるのですから。」

 

「ブリンガーの遺物…本当にそんなものがあるのだろうか?」

 

「もちろん。わたし、自分の情報網にはけっこう自信があるのです。だからこそ、協力関係を結ぼうと提案しているのです。ブリンガーの遺物は、例のサクリファイス襲撃事件を調査するうえでキーとなるのですから。

あれを見つけることができれば、彼ら・・・、讃頌会の企みも丸わかりなのです。」

 

手がかりもなく、調査が暗礁に乗り上げていた兄妹にとっては、まさしく渡りに船である。

 

「サクリファイスにまつわる事件の裏には、必ず彼らが暗躍しているのです。

実を言うと、わたしと讃頌会にもいくらか因縁と呼べるものがあるのです。

当然、これ以上の情報はわたしとの協力関係を承諾していただいてから…ですが。

そうそう、念のため確認させてもらいますが――ホロウの中で、あなたは戦力になるのですか?」

 

ビビアンの当然の疑問に、兄妹は顔を見合わせて残念そうに肩を竦める。

 

「ケンカはてんでだめだ。」「プロキシだからね。あ、でも空手部ヒマそうだよね。ちょっと護衛できない?」

 

リンの無茶ぶりに空手部は露骨に顔をしかめる。

 

「すいません。スープカレーの仕込みが。」「ポケモンの新作がゾ。」「今日は女の子の日で体調が。」

『マスター。迫真空手部のまだ立件されていない犯罪(証拠付き)のファイリングが完了しました。

いつでも青衣治安官に送信できます。』

 

「「「すいません許してくださいなんでもしますから」」」

「じゃ、そゆことで。」

 

「この人たちは人権が無いのですか?」

 

「そこになければ無いね。」

 

「ええ…?

ま、まあ、構いません、あなた方は貴重なプロキシ…進む道を示してくれさえすればいいのです。我が最愛の『パエトーン』様でさえ、ホロウで戦うことは不得手でいらっしゃるのですから…さもありなん、なのです。」

 

「「「「「ファッ!?」」」」」

聞き捨てならない一言に、彼ら5人は反応せざるを得なかった。

 

「待った、今なんと?最愛の、『パエトーン』…?」

 

「!そうです!新エリー都で最大最高最強のプロキシ、パエトーン様のことです――!

…まさかあなた、パエトーン様のアンチですか?」

 

東方スレでクッキー☆の話題を出してきたホモガキとレスバするときのような荒々しい雰囲気を醸し出すビビアンに、アキラがたじろぐ。

 

「アンチという訳じゃないけれど…。」

 

まさかの強火ファンガールの登場に冷や汗をかくアキラ。その背後で迫真空手部は口パクで「(どうすんだよコレ)」とリンに語り掛けながら、彼女とビビアンを交互にチラチラ見つめる。

 

リンの決死の「(とりあえず今は黙ってて)」ジェスチャーが通じたのか、空手部は無言のお口チャックジェスチャーで返した。

 

まさか「パエトーン本人です」と言い出すわけにもいかず、推しへの愛を語るビビアンに適当に合わせた結果、なぜかビビアンと同担ということになり、兄妹と迫真空手部は一時間近く「パエトーン様」への愛をみっちり聞かされることになった。

 




【Tips】
讃頌会を見ていると、学生時代にドラクエのソシャゲでザオリク覚えさせたワイトキングに池○大作ってニックネームつけて対戦に出したら対戦相手の創〇2世の先輩にガチトーンで怒られたことを思い出します。

エア本は必要(確信)
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