【仮面ライダーセイバー】 リマジ版セイバーライダーズの設定・短編集 作:北村 貴之
京都府京田辺市。
コーネリア城がある、のどかな街だ。
そこにあるスーパーで…。
「まあ見てこれ。大きなゴールドキウイ。まるであんたのタマみたいなデカさね」
売場に陳列されているサンゴールドキウイを片手に、仮面ライダー剣斬に変身する美少女、桜井レオナが笑っていた。
先端が緑がかった黒髪のツインテールの女の子だ。
整った顔つきをしており、いかにもな美少女であることを示している。
そんな彼女の隣にいるのが、仮面ライダーティルヴィングに変身する青年、香芝直幸だ。
忍者のようにマフラーを首元に巻いている。
そんなレオナの下品な発言に、直幸が顔を少ししかめる。
「おいおいやめてくれよ。そんなに大きくないんだけどなぁ」
そう返す声には、若干の照れが入っている。
「褒めてるんだけど?」
「え、褒めてんのそれ…?」
直幸は、自分の股間に視線を移した。
しかし、ズボンを履いているためかわかるはずもなかった。
そんな彼のスマホがブーブーとバイブレーションで震えた。
「んだよ、こんな時に…」
レオナがクスクス笑うそばで、直幸はズボンのポケットに入れていたスマホを取り出した。
「高田銀之丞」と表示されている。
コーネリア城のすぐそばに建てられているコーネリア高校の校長にして、仮面ライダーバスターに変身する男だ。
「もしもし?銀さん?」
直幸が電話に出た。
「あ!香芝?今どこ?」
関西風のイントネーションの声がスマホから聞こえてきた。
「どこって…。駅近のスーパーだけど?」
と直之が言うと、銀之丞は、
「実はすぐ城に来てほしいねん!悪いんやけど戻れへんか?」
直幸はスマホを耳に当てたまま、眉をひそめた。
何かがあることを察したかのような顔つきだ。
「わかった。すぐに戻る。レオナも一緒だ」
直幸がそう言うと、
「よっしゃ。じゃ、頼んます」
と高田がそう一言告げて電話を切った。
スマホをポケットに直すと、レオナが上目遣いで直幸を見ながら、
「なんだって、あの変態親父?」
と電話の内容を聞いてきた。
「なんか早く帰ってこいって。悪いけど買い物は中止だ」
直幸が若干うんざりしたような顔でそう言った。
その表情を読み取り、レオナもつられて顔をしかめる。
「はぁ…。剣士も楽じゃないわね」
そう愚痴を吐きながらも、仕方なくコーネリア城へと帰ることにした。
場所は変わり、コーネリア城前。
マイクロバスが停まっている。
コーネリア高校所有のマイクロバスだ。
そのキーであろうものを持つ高田が、直幸とレオナの帰りを迎えた。
「おお、来たか。神皇ご一家も直己たちも乗ってるで」
どうやら、他の剣士たちも乗っているようだ。
神皇である西大寺賢とその息子の渉も仮面ライダーなのだ。
そして、直己とレオナの仲間たちも同様、仮面ライダーに変身し人々の平穏を守っている。
「そうか。で、向かう先は?」
直幸は、マイクロバスに乗り込む前に高田にそう聞いた。
「あぁ、まだ教えられへんけど、すごいとこや」
高田がそう返すと、直之もレオナも疑問符を浮かべるような顔をした。
「すごいとこ?」
「まあはよ、乗れ。百聞は一見にしかずって言うしな」
高田はそう言ってから、運転席に座り運転の準備をし始めた。
直之たちはバスに乗り込む。
そこに乗っていた仲間たちが、直之たちを出迎えた。
「おお、待ってたよ」
爽やかな雰囲気の青年がそう言った。
黒ずくめの服装をしている。
彼の名は葛城直己。仮面ライダーセイバーに変身する少年だ。
そんな直己の隣には、西大寺渉が座っていた。
仮面ライダーファルシオンに変身する高校生の少年だ。
「おう」
直之はそう返した。
「まどかちゃんの横空いてるからそこへ」
直己に催促され、直幸は仮面ライダーブレイズに変身する美少女、二階堂まどかの隣に座ることにした。
白いワンピースを着たお嬢様のような出で立ちの少女がスマホを見ている。
「ちっす…」
直幸がまどかに挨拶をする。
「…」
まどかは無言だった。スマホに視線を落としたまま、無反応だ。
(はぁ…。困ったお嬢様だこと)
直幸は心の中で。まどかに文句を言う。
すると、マイクロバスのエンジンがかかる音がした。
「…出発します」
高田がマイクロバスの運転手に合図を送ると、バスは城から発進した。
コーネリア城を後にしたバスが走っていたのは、精華町だった。
バスの車窓から見渡すと住宅街。
ここ精華町には、大学の研究施設が多く存在することで知られている街だ。
「もうすぐですね」
高田が剣士たちにそう呼びかける。
バスは、住宅街を抜けると大きなガラス張りの大きな四角形の建物へと差し掛かった。
「ここは…?」
直幸が気になった様子でバスが向かう建物を見る。
他の剣士たちも初めて訪れた場所なのか、目新しい表情をしている。
そして、マイクロバスがその建物の敷地内に入って行く。
駐車場らしき場所にマイクロバスは駐車され、剣士たちはそこで下車した。
「んーっ、着いた」
直己はそう言い、マイクロバスから降りる。
剣士たちもそれに続くように次々と降車した。
「すごいところってここ?」
直幸がまどかに聞くと、彼女は、
「あたしも初めてだけど…。なんだろうね」
と気になる様子でそう返した。
「修行の場所かしら」
仮面ライダーカリバーに変身する結崎美穂が建物を見あげる。
「よーし。入ろうか」
神皇「ガーランド」こと西大寺賢が剣士たちにそう呼びかけた。
「何があるんだ?」
直幸がそう言って、先頭にいる賢に続いて建物の中へと入った。
「ここは…?」
建物内に入った直己が戸惑いの声を漏らす。
中は至って普通の、大きく開放感のあるエントランスだった。
まるで美術館や博物館のように、広々としており、周囲を見渡せる。
「ここは一体…?」
直幸が誰に尋ねるわけでもなく独り言のように呟くと、
「待ってたよ、剣士の皆さん」
幼い少年の声が聞こえてきた。
直己たちがその声の方を見ると、まだ幼稚園年長くらいの年齢の男の子が立っていた。
その容姿は金色の髪をタマネギのように結んでおり、衣服も異世界の住人のような佇まいだ。
日本人ではなさそうなのは明らかだ。
「何をしているの、あなた?」
と仮面ライダーエスパーダに変身する少女、五條理香がその男の子に声をかけた。
「僕?これでもこの『異世界名産博物館』の管理人さ。名前はギーとでも呼んでよ」
ギーと呼ばれるその少年は、そう答えた。
「異世界…、名産博物館…?」
直己は、ギーの言った言葉を復唱した。
すると、ギーが、
「そうさ。ここは名前のとおり、異世界のあらゆる珍しい品を展示する博物館なんだ」
と説明を始めた。
「…しかし、なんであたしたちを呼んだの?」
理香がそう言うとギーは、
「君たちが異世界で修行しながら異世界からの侵略者たちと闘ってるのを聞いてね。そこで君たちを呼んだわけ」
と言った。
「ハンドレッドを知っているのか」
渉が今自分たちが闘っている組織、ハンドレッドのことを尋ねてみた。
「噂程度だけど。幸いここは奴等に知られてない」
ギーがそう渉に返答した。
「しかし…。俺たちに何をしてもらいたくてここへ呼んだんだ?」
直己が改めて質問をする。
「やってほしいことはひとつだけ。異世界の珍しい品を見つけて保管して、ここに納めてきてほしいんだ」
ギーがそう言うと、
「へぇ、そんな簡単なことでいいんだ」
と直己。他の剣士たちも頷き始めた。
「名産品といっても、どういうものがいいのかな?」
次はまどかが質問してきた。
「兎にも角にも、この世界ではお目にかかれなさそうなものがいいかな。例えば、芸術品とか」
「とりあえずは珍しそうなものを見つけたら納めていけばいいのね」
ギーの説明に、美穂が納得したようにそう言った。
「じゃあ、決まりだな。修行も兼ねて、この博物館の管理を彼とともにやっていこう」
賢がそう言うと、他の剣士たちはそれに頷く。
こうして、剣士たちによる異世界の名産品探しを始まったのだった。