【仮面ライダーセイバー】 リマジ版セイバーライダーズの設定・短編集   作:北村 貴之

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その12 食事に誘ったつもりがまさかのデート!?

葛城直己。

コーネリア城直属の騎士団「ソードオブロゴス」に所属する騎士の青年だ。

「聖剣ソードライバー」と炎の聖剣「火炎剣烈火」を用いて「仮面ライダーセイバー」に変身する。

彼が戦っているのは、数多の異世界に侵攻し、それらを手中に収めんとする謎の組織「ハンドレッド」だ。

そんな彼の1日を、今日は見ていこう…。

 

場面はコーネリア高校。

コーネリア城のすぐ隣に建てられた高校だ。

このコーネリア高校は普通の高校とは違い、ソードオブロゴスに所属する仮面ライダーたちが教官となり生徒たちをハンドレッドと戦う兵として鍛えているのだ。

もちろん普通の高校と同じく、普通の授業もやっているし、大学に進学したり就職したりしている者たちもいる。

直己は生徒たちへの訓練を終えたところであり、廊下を歩いていた。

そんな彼の目に、仮面ライダーブレイズに変身する二階堂まどかがやってきた。

白のワンピースに青の上着と、いかにもなお嬢様の出で立ちをした、おでこを出した黒のセミロングの髪の美少女だ。

これでも直己と同じく、生徒たちを兵として鍛える教官なのだ。

「あら、直己くん。もう終わり?」

そう直己に声をかけたまどかの手には、鞄が握られていた。

中にはこれから訓練で使う資料が入っているのだろう。

「ああ、今終わったばかり」

まどかにそう答えながら、直己は彼女の顔をぼんやりと見つめていた。

そんな直己の視線に気づいたのか、まどかが反応した。

「どしたの?あたしの顔ジロジロ見てるけど」

若干キョトンとした表情で、まどかは直己を見ている。

「あ、あぁ…。終わったら一緒に飯でもどうかなって…」

無意識にまどかの顔を見ていたのが恥ずかしくなったのか、直己は少し慌てた様子でそう答えた。

「ま、いいけど…。でもちょっと待っててくれる?訓練の残った仕事しないとなんだ」

そう言ってまどかは鞄を持ったまま駆けていった。

「い、意外とあっさりだな…」

断られると思っていた直己。

ダメ元で誘って見たらその答えは意外だったようで、直己はそんな彼女に驚いていた。

普段は真面目でツンツンとした性格だが、時折女の子らしい一面も見せることもあった。

なので、先程のまどかの反応はレアだ。

「う〜ん、楽しみだぜ」

直己はそう言いながら、城に戻り残った作業をしに戻った。

 

 

 

「お・ま・た・せ」

数時間後、コーネリア城のロビーにて。

直己のもとに、化粧をし直したまどかがやってきた。

服装は数時間前のワンピースと上着だが、直己の目から見ても明らかに顔の化粧が先程よりも違うのが見て取れた。

唇は桜色の口紅を塗っており、頬は桃のような色に染まっている。

そして、髪も綺麗に整えられていた。

「どう?ちょっとおめかししたんだけど」

そんな直己の視線に気づいたまどかは、少し照れながらそう聞いてきた。

「い、いや…、似合ってるよ…」

直己も少し恥ずかしそうにそう答えた。

「じゃ、行きましょ。で、どこ行くの?」

「よし、じゃあ京都駅前。そこにしよう」

直己に連れられ、まどかは京都駅前へと向かうこととなった。

 

 

 

「わぁ〜…。すっご」

まどかが目の前に出された。

四角形の箱のようなものだ。

それは直己の目の前にもある。

場所は京都駅前のホテル内の日本料理店。

店内の雅な雰囲気が、訓練で疲れたふたりの心を癒している。

「開けるか」

直己にそう言われ、まどかは箱の蓋をパカッと音を立てて開けた。

箱の中には、炊きたての白飯の上に乗っけられた肉厚な鰻の蒲焼きがあった。

直己はまどかとうな重を食べるべく、この京都駅前のホテルに足を運んだのだ。

「うわ〜っ、めっちゃ美味しそう!」

まどかが目を光らせて目の前の鰻を見ている。

直己もそんなまどかを見て、思わず微笑んでいた。

普段こんな表情をしないまどかを見て、思わず幸せそうになっていた。

真面目な姿がいつもの姿なので、こうして子供のようにわくわくとしているまどかを見てこちらも笑顔になっていた。

「さ、食べよう?」

「ああ」

ふたりはうなぎを箸で掴み、口に運んだ。

「ん〜っ!」

まどかが目を大きく見開きながら、美味しさを体現している。

そんなまどかの笑顔を見て、直己も思わず微笑んだ。

「美味いな…」

そう呟きながら、直己の箸は止まらない。

あっという間にふたりともうなぎを食べ終わり、おひつに入った白飯も食べ切った。

 

「ふぅ〜、美味しかった」

「ああ、美味かったな」

まどかが満足そうにしているのを見て、直己もそう言った。

そしてふたりは会計を済ませてホテルを出た。

「あ〜、お腹いっぱい。ありがと、久々にこんな美味しいもの食べたわ」

まどかはそう言いながら、お腹をポンポンと叩いている。

そんな彼女の姿を見て、直己は思わず微笑んだ。

「いつも城でご馳走食べてるのに?」

「こういう外食は別!」

まどかは直己に顔を近づけ、少しむくれた顔でそう言った。

「あっはっは…。さて、帰るか」

そう言った直己に、まどかが声をかけた。

「ねぇ…、もうちょっとだけ…。いい?」

「え?」

直己は戸惑った顔をして、まどかの方を向く。

まどかはというと、少し顔を赤くして直己を見ている。

「な、なんか…。もうちょっとだけ、一緒に居たいっていうか…、その…」

もじもじしながらまどかがそう言い始めた。

そんな彼女の姿を見て、直己は思わず目を見開いた。

(お、おい待てっ!普段のあのツンツンした態度はどこに行った!?いつも俺には結構あっけらかんな対応してるんですけど!?)

直己は脳内で慌てていた。

普段なら絶対に言わなそうな発言を聞き、思わず動揺していた。

「だ…、だめ?」

そんな直己に、まどかは上目遣いで聞いてきた。

身長差があるため直己を見上げるようにしている。

(馬鹿野郎っ!そんな目をされたら断れないだろ!?)

直己は心の中でそう叫んだ。

だがしかし、こんな顔をされたら断ることはできなかった。

「い、いいぜ…」

直己のその返事に、まどかの顔がぱぁっと明るくなった。

「じゃあ、あたし、行きたいとこあるんだけどいい?」

「え?ああ、別に構わないけど…」

直己はそう言うと、まどかは彼の手首を引っ張り、ある場所へと直己を連れて行った。

そこは…。

 

 

「意外だなぁ…」

直己は落ち着かなさげな様子で周囲を見回していた。

場所はどこかというと、ゲームセンターだ。

まどかに連れていかれた場所に直己は思わずため息をついた。

「せっかく京都に来たんだから、ゲーセンにも寄りたいでしょ?」

そう言いながら、まどかはコインゲームの椅子に座った。

そしてお金を投入口に入れ、レバーを動かし始めた。

(都会に行けばゲーセンなんてめっちゃあるんですがね…)

直己はそう突っ込みながら、まどかの隣に座った。

まどかの横顔をチラチラと見ながら、直己はコインゲームに興じていた。

本人には気づかれてはいないが、直己はまどかに見とれていた。

「よぉし、貯まった!」

そう叫んで、まどかが椅子から立ち上がった。

そして先ほど座っていた位置に戻る。

「え?もう終わり?」

「何言ってんの!これから大当たり狙うんだからっ」

そう言って、まどかは再びコインを投入口に入れた。

そして再びレバーを動かし始めた。

こうして直己とまどかは、日頃の仕事を忘れ、ゲーセンでのひと時を楽しんでいたのだった。

 

 

「あ〜っ、楽しかった!」

まどかは満足そうに直己と京都の街を直己と歩いていた。

ゲームセンターに何時間いたか忘れ、ふたりは滅多に来ないところでのゲームに大はしゃぎし、満喫したようだ。

「あ、そうだ。ちょっと行きたいとこあるんだ」

まどかがそう言い出したので、直己は彼女の後についていった。

そこは…。

 

「…え?」

「さ、入ろ入ろ!」

直己の目の前にあったのは、先程鰻を食べた日本料理店があるホテルだった。

当の直己はまどかとこのホテルに泊まるつもりで彼女を連れてきたわけではなかったが、こうしてまどかに連れられ戻ってきてしまったために戸惑いを隠せずにいた。

(泊まる気はないんだけど…?)

冷や汗をかき、まどかの方を見る。

「ほら、早く入ろ。でないと怪しまれるから」

まどかがそう言って直己を急かすので、彼は仕方なく彼女についていった。

「あっ、待って…!」

 

フロントで受付を済ませると、ふたりは部屋に向かった。

そこはダブルベッドの部屋だった。

日本料理店が入っているためかかなり気品のある部屋だった。

「えっ?」

直己は思わず間の抜けた声を出してしまった。

そして顔を真っ赤にし、すぐさま状況を理解する。

(ベッドがひとつ…、こ、これは…!?)

1人で勝手に脳内でパニックになってしまった。

「あ、あの…。まどかちゃん…?」

「なに?」

ベッドに腰掛けて、まどかが返事をした。

「あの…、その…」

直己は口をパクパクとさせ、顔を赤くしていた。

そんな彼を不思議そうに見ているまどか。

そして彼女はベッドから立ち上がり、直己の前に来た。

「こ、これはどういう…?」

「ん?ご飯連れてくって言ってたけど、ホントはこういうのなのかなって思って」

そう言ったまどかの顔は少し赤かった。

「え?あ〜…、それは…」

直己も顔を赤くし、頭をかきながら答えようとした。

直己自身、まどかとこういうことをするために京都市内に連れてきたわけではなかった。

しかし、当のまどかはそうは思ってなかったようだ。

「いや、それは…」

そこまで言って直己は黙り込んでしまった。

そんな直己の様子を見たまどかは小さくクスッと笑った。

そして…。

「んっ」

いきなり彼女の顔が近づいたかと思うと、直己の唇に柔らかいものが当たった。

それがまどかの唇だと気づいた時にはもう遅く、彼は彼女にキスをされていた。

(あ…、なんだこの感覚…)

脳が痺れるような感覚と全身が熱くなるような錯覚に陥りながら、直己はキスをされてしまった。

「お、おい…」

戸惑いながら顔を赤らめる直己。

そんな彼の目の前のまどかは、頬を真っ赤にして直己を見ていた。

仕事中の彼女からは想像もできない反応に、直己はただただ困惑していた。

「明日土曜日だからさ…。楽しも?」

耳元でそう囁いたまどかの唇が、直己の耳たぶを甘噛みした。

「んっ…!」

思わず体をビクッとさせて反応する直己。

そんな彼の姿を見て、まどかはくすくすと笑っていた。

「なっ…!おま…!?」

直己が反論しようとした時、彼はベッドに押し倒された。

そして上から覆い被さってきたまどかに顔を近づけられる。

(やべっ…、これ…)

幼さの残る整った美しい顔が、目と鼻の先にある。

所謂「ガチ恋距離」

というやつだ。

「ま、まどかちゃん…?」

思わず顔を真っ赤にしながら、直己はそう口にした。

そんな彼の手をぎゅっと握りながら、まどかが口を開いた。

「うふふ…。じゃ…、いい?」

直己をベッドに押し倒して彼の身体を抑えつけているまどかは甘えたようにそう言ってきた。

(い、いかん…!)

直己はかなり動揺していた。

こういうことをするはずは微塵もなかったはずだが…。

直己はまどかから逃げられない一夜を過ごす羽目となった…。

 

 

 

「はぁ…」

その翌日の土曜日。

直己はため息をついた。

直己とまどかは朝にコーネリア城に帰還していた。

ふたりの帰還を出迎えた、仮面ライダーデュランダルに変身する新大宮渚が昨日のことを聞いていた。

「…なるほどね。まさか京都市内に魔物が出ただなんて。とりあえずご苦労さま」

直己とまどかは夜中に魔物が現れたためにそれらの駆除を急遽執り行うことにしたと嘘をつき、なんとかやり過ごした。

ふたりの上官にあたる渚は疑いもせず、あっさりとそれを信じた。

(よかったぁ…。とりあえず信じてはくれた)

直己は昨晩のことを深追いされなかったことに一安心していた。

「なぁ、まどかちゃん…」

直己は隣にいるまどかに話しかけた。

「ん?」

まどかは何事もなかったようにしている。

いつもと変わらない落ち着いた表情だ。

そんなまどかを直己はじっと見つめた。

「…どしたの?あたしの顔ジロジロ見て」

仏頂面でそう聞いてきた。

その顔を見ると、昨日のことが夢のように思えてきた。

(は…?態度が違う…!?)

そう思った直後、彼女の顔が近づいてきたかと思うと、

「確かまだ仕事が残ってました。さっさと終わらせたいんでこれで失礼します」

と昨日とはまるで違う態度で彼女は言ってきた。

その対応は普段の彼女のものだった。

あの素っ気なくてツンツンとした、いつものまどかだった。

「え?あ、ああ…」

直己が曖昧にそう返事をすると、まどかは颯爽と廊下を歩いていった。

(えぇ…?)

そんな彼女の後ろ姿を、直己は唖然とした表情で見つめていた。

(どういうことだ…?昨日はあんなに甘えてきたのに…)

昨日のまどかの態度の違いに困惑する直己。

「夢だな、こりゃ」

そう呟くと、疲れが抜けていない身体で自室へと向かって行ったのだった。

 

一方のまどかはというと…。

自室のベッドでゴロゴロとしながら、昨晩のことを思い出していた。

青色の上着を脱ぎ、ノースリーブの白のワンピースを着たまま、直己とのひとときを回想しながらにやけていた。

靴である青色のヒールも脱いでいた。

「うふふ…」

まどかは意味深に笑いながら、枕に顔を埋めていた。

(突発的にしちゃったけどまさかあんなにだなんて…)

まどかはひとり、直己と一夜を過ごしたこと、そして彼にキスをした時の感覚を…。

(まだ感覚残ってる。余韻すっご…)

枕に顔を埋めながら、まどかは頬を赤くした。

(なんかまたして欲しいな…)

いつの間にか、まどかはそんなことを考えてしまっていた。

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