【仮面ライダーセイバー】 リマジ版セイバーライダーズの設定・短編集 作:北村 貴之
ここは京都府木津川市…。
大阪のベッドタウンとして知られる、京都府の南に存在する市だ。
その木津川市の田畑で…。
「ガブガブ…、ムシャムシャッ」
生々しい咀嚼音がきこえる。
田畑を見ると、なんと怪異「アナザーライダー」の一種である「アナザーゴースト」が、大きなカボチャを一心不乱に噛み砕き食べている。
アナザーゴーストは干からびたトマトもしくは、ハロウィンのカボチャを彷彿とさせる顔が何よりのトレードマークだった。
全身を黒衣で纏い、いかにもハロウィンにはお似合いの姿だ。
しかしながらいまはハロウィンの時期ではない。
アナザーライダーたちはこうして人々を困らせている厄介な存在だ。
そんな彼らを倒してくれる存在は、勿論存在している。
その一員が、ご機嫌にお食事中のアナザーゴーストに襲いかかろうとしていた…。
「あいつね。報告にあったアナザーライダー」
報告を受けて駆けつけた結崎美穂が、アナザーゴーストの現れた田畑の前に着ていた。
茶色の巻き髪のセミロングの美少女だ。
彼女はコーネリア城の直属剣士「ソードオブロゴス」の剣士のひとりで、仮面ライダーカリバーに変身しアナザーライダーと、彼らを統率する組織「ハンドレッド」と戦っている。
美穂の腰には、闇の聖剣「闇黒剣月闇」が装備されていた。
もうひとり彼女の仲間がいた。
「あっ!あいつなんなことしてる。よーし、ちゃっちゃと倒しちゃおっ!」
美穂の近くに、仮面ライダー剣斬に変身する少女、桜井レオナがいた。
先端が緑がかった黒髪のツインテールで、154cmの身長の美少女だ。
黒色のパーカーにデニムのホットパンツ、黒のハイソックスという出で立ちで、どうも剣士には見えない。
彼女は美穂ら「ソードオブロゴス」の上官的な立ち位置にある「四混沌」の一員だ。
しかしながら、美穂たちとは歳が近く本人自体上下関係を好まないので、互いにタメ口で接している。
レオナの腰には風の聖剣「風双剣翠風」が収められていた。
「せっかく一生懸命に育てたってのに…。ホントアナザーライダーって害悪よね」
レオナはそう言いながら、風双剣翠風を出し、「猿飛忍者伝」ワンダーライダーブックをセットした。
美穂も腰に巻いた邪剣カリバードライバーに、「ジャアクドラゴン」ワンダーライダーブックをセットした。
ふたりとも変身の用意はできていた。
彼女たちの気配に気づいたのか、アナザーゴーストが振り向いた。
「ゲゲッ!」
ふたりが現れたことに怯んだのだろうか、アナザーゴーストは田畑の中で構えたポーズをする。
レオナと美穂は高らかに言った。
「…変身!」
ふたりがそう言うと、全身が光り輝き、レオナは仮面ライダー剣斬と、美穂は仮面ライダーカリバーへと変身したのだ。
カリバーは闇黒剣月闇を構えている。
同じく剣斬も、双刀モードにした風双剣翠風を握ってアナザーゴーストに斬りかかろうとしている。
剣斬はすかさず駆け出した。
「はぁぁぁー!」
力強い声とともに、剣斬はアナザーゴーストに攻撃を仕掛けた。
アナザーゴーストは口から炎を連続で吐き出し迎撃した。
剣斬は双刀で火球を破壊しながら抵抗する。
アナザーゴーストは剣斬たちを近づかせまいと、何度も火球を吐き出す。
「ちょっと待って!こいつスタミナの概念とかないの!?」
剣斬はやや後退りし、アナザーゴーストが吐く火球に翻弄される。
カリバーは、彼女を助太刀しようとアナザーゴーストに近づく。
火球の方向は正面にいる剣斬に向かって放たれている。
正面以外はがら空きのため、カリバーはアナザーゴーストの側面から攻撃しようと試み、駆けていった。
闇黒剣月闇を握ったまま、畑の上を足早に駆ける。
アナザーゴーストに食い荒らされた農作物が散乱しており、思わず踏んではいけないものを踏んでしまいそうな感じがした。
しかしカリバーは気にせず、そのまま駆け続けアナザーゴーストに斬りかかろうとした。
「そこね!」
アナザーゴーストの側面まで来ると、カリバーは闇黒剣月闇を振り上げ、斬り裂いた。
攻撃を食らったアナザーゴーストは、
「グウェッ!?」
と悲鳴を上げて吹っ飛ばされる。
ドガッ!
勢いよく吹き飛ばされ、田畑の側に立つ大木に激突するアナザーゴースト。
勢いは強烈で、大木に亀裂が走るほどだ。
「さて、仕上げね!」
怯んだアナザーゴーストを見て、剣斬はとどめを食らわせようと猿飛忍者伝ワンダーライダーブックを取り出す。
そして、それを翠風にスキャンする。
「猿飛忍者伝!ニンニン! 翠風速読撃!ニンニン!」
ワンダーライダーブックと聖剣からそう音声が鳴り、緑色の風に包まれた剣斬が、アナザーゴースト目がけてキックをお見舞いする。
一方のカリバーは、ジャアクドラゴンワンダーライドブックを月闇にスキャンする。
「必殺リード!ジャアクドラゴン!月闇必殺撃!」
カリバーの月闇が紫色の闇のオーラを纏い、カリバーが剣を振ると衝撃波が放たれた。
剣斬のライダーキック、カリバーの刃王斬波は共にアナザーゴーストに命中し、大爆発を引き起こした。
大爆発を起こし、アナザーゴーストは消滅し、倒された。
「ふぅ…。手応えがなかったわね」
カリバーの変身を解き、美穂が荒れた田畑の中で呟いた。
特に苦戦することもなくアナザーゴーストを倒し、むしろ楽勝ともいえる展開であったので拍子抜けしていたようだ。
「私たちが強すぎたんだよね」
剣斬から変身を解除し、レオナが美穂に向かって笑みを浮かべて言い放った。
それに対して、美穂が微笑みかけた。
アナザーゴーストを倒し終えた美穂とレオナは中華料理店でラーメンを食べていた。
相手が雑魚だったとはいえ、戦闘の後にすするラーメンは格別だった。
2人は並ぶ形で椅子に座り、豚骨ラーメンを啜っている。
「うぅーん、美味しいっ」
美穂がうっとりした表情で、レオナのほうを見る。
そんな美穂の表情を見て、レオナは思わず苦笑してしまった。
「ふふっ、美穂ちゃんったらほんっと美味しそうに食べるわねぇ」
レオナは豚骨ラーメンの具材であるチャーシューを箸でつかみながら、美穂に話しかける。
「う、うん。だってほんとに美味しいんだし…」
美穂は照れくさそうに答えると、再び豚骨ラーメンを啜り始めた。
「ところでさ…、近頃アナザーライダーも弱くなってきたわね」
「んん? まぁ言われてみれば確かに…。数は増えても、以前に比べると強さが落ちてきている気がする」
レオナのその言葉に、美穂は同意見のようだった。
それもそのはず。
最近は各地でアナザーライダーによる被害が増えている。
しかし、日に日にその強さはどこか弱まっているような気がしなくもないのを美穂は感じていた。
「アナザーライダーの出現率の高さに反してあの弱さ。ハンドレッド、何を考えてるのかしら」
レオナがラーメンをすすりながらそう呟く。
ずるるる、と音が鳴る。
「あつっ」
少々熱かったのか、レオナが唇を少し火傷する。
ふたりがそう話をしながらラーメンを食べしばらくすると、ふたつのどんぶりは空になっていた。
「あとで話してみましょ、高田や直己たちた」
レオナがそう言うと、
「ええ。奴らの作戦かもしれない…」
美穂はそう回答した。
「じゃあ決まりね」
そう言い、レオナは椅子から立ち上がった。
「あっ、代金おねがーい」
「ちょ、ちょっと!」
レオナは美穂より先に、中華料理店の外に出てしまった。
美穂はそんなレオナの姿に少し呆れたように、ため息をついた。